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第一章 勇者転送

第1話 男勇者と女勇者


「―――た、来た、来た来た来た!!

 第2勇者さんいらっしゃい!!

 いやぁ、まじか、すげぇ美人!

 ジーパンに白Tシャツで美人とか最高かよ!

 モデル?芸能人?すげー良い身体!」


 ここはどこだ?

 真っ白な世界に男子高校生と修道女がいる。


「はいはいはいはい!またまた来たよぉ!

 マジカマジカ、小学生きたよ!!

 神様何考えてるの?ひどくない!?」


 !?


 まばゆい光の中からセーラー服の子が現れた。

 これは何、現実?夢の中?


「神様神様、次はしっかりお願いしますよ!

 世界平和がかかってるんですから!」

「勇者転送は私が選んでいるわけではありません」

「あ、また来た!

 はいお姉さん、巨乳のお姉さん来ましたー!!

 なにこれ、ハーレム異世界なの?

 俺の時代きたんじゃね?」


 再び光の中から胸が大きい女性が現れた。

 キャビンアテンダントのような服装をしているが。

 …なんだろうこの不快な夢は。


「次でひとまず、最後です」

「はいー来た、来た!また女性来たよ!

 あーうん、いらっしゃい、5人目の勇者さん」


 5人目の勇者と呼ばれた女性は高校生からすれば母親くらいの年齢だろうか。少しふくよかな身体でパーカー姿だ。


「全員揃いましたので、改めて説明します」

「あ、神様、俺が説明しますよ!

 こんな事になるんじゃないかってずっとイメトレしてたんですよ!」

「そのほうが良いなら任せましょう」

「えー!皆さん初めまして!

 俺は14歳のツルギヤタヨ!中学生してました!るすに詐欺サギのギで、吊欺ツルギです!

 で、皆さん驚いてると思いますが、ここにいる俺達は神様に選ばれて勇者として異世界に転移中なんです!!」


 沈黙。

 ワケガワカラナイ。


「あれあれ、皆さんもしかして異世界転生とか異世界転移の小説とか漫画とか知りません?

 あの刺激とロマンに満ちあふれた異世界ですよ?!知りません?」


 異世界転移、確かに最近流行っているがあれは空想で事実ではない。夢物語だ。


「悪役令嬢とかですか?」

「そうそう、第5勇者さん知ってるねぇ!

 でも残念ながら、令嬢に転生じゃなくて転移みたいなんだ、勇者として」

「……」

「はいはい!皆さんあまり知らないようだから簡単に説明しまーす!

 今回このベルフェ様は異世界に通常一人だけ勇者を送る所をまとめて5人一斉転送されたそうです!

 英断!英断ですよこれは!

 この5人で世界を救うんですよ、最高じゃないですかこれ?」

「5人では――」

「それで、その世界というのがどうもモンスターでちゃうらしいんですよ、だから俺たちが魔王から平和を取り戻す!」

「いえ、魔――」

「それで、今の俺たちじゃ全く戦力にならない、だから神様は2つの力を授けてくれるそうなんです!

 俺は剣の達人と世界最高で最強の剣を頼みました!」


吊欺ツルギは興奮しすぎて自分の世界に入ってしまっている。あれは誰も止められないだろう。


「皆さん異世界のお話、詳しくなさそうなので、こうなる事を想定していた俺が皆さんにあった2つの力を選びたいと思います!!

 皆さん女性ですから、俺がしっかり前で戦いますから、その点は安心して下さい!

 えーそれじゃあ第2勇者さんから説明します!」


 吊欺ツルギは理想の編成を練っていたようで、私達に意見する暇を与えなかった。


 第5勇者は渋った顔をしていたが、他のメンバーはこの事態を上手く処理できていない様子で熱心に聞いている。


 吊欺ツルギのいう理想のパーティーの説明が終わった。

 簡単にまとめる。


 第1勇者 吊欺ツルギ 剣の勇者

 第2勇者 私  弓の勇者

 第3勇者 少女 魔法の勇者

 第4勇者 巨乳 支援の勇者

 第5勇者 令嬢 回復の勇者


 どうやらこれが理想のパーティーだという。

 それぞれ能力や武器の詳細を説明された。


「はい、それじゃあ俺の口から願ってもだめらしいので、皆さんベルフェ様にお願いしてきちゃって下さい!!

 時間が限られてるそうなので、ちゃんとお願いして下さいね!異世界転移場所は同じらしいので、そこで落ち合―――」


 パッと吊欺ツルギの姿が消えた。

 個人的に一生消えてて貰いたい。


「皆さん、大変な事に巻き込んでしまい申し訳ないです、とにかく時間がないので先ずは恩寵の2つを私に願ってください、時間が残っていれば詳しく説明します」


 巨乳の女性が少女の肩に手を置いて話し始めた。


「大丈夫?」

「うん。私、魔法使いになりたかったから」

「それじゃ、お願いしようか。神様、私とこの子に吊欺ツルギ君の言ってた能力をお願いします」

「お願いします」

「わかりました、そちらの貴方はどうしますか?」

「私は…弓じゃなくて光学迷彩と、身体強化能力でお願いします」

「え」

「わかりました」

「それじゃ私は回復魔法とてん――



私の意識はそこで途切れた。


―――

――

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