霧の中
日本語破綻者
第1話霧の中
霧というのは幻想的である、いや霧に限った事ではない。雨であろうと風であろうと、幻想的なのである。考え方次第でそれは変わる。雪であろうと吹雪であろうと、台風であろうと、そこに価値を見出すことが出来れ幻想的へと様変わりである。
しかし、今現在霧が立ち込めているのでそれもあって霧をチョイスした次第である。
霧を目にした事で私はわくわくしていた、ちょうど向こうから足音が聞こえたどんな人が来るのだろうか。不安と期待が入り混じった感情を覚えた。次の瞬間無性にくしゃみがしたくなった。
「ハックション! 畜生!」
ちなみに畜生は癖である。
「きゃ、キャー!!」
私のくしゃみの声にびっくりしたのだろう。向こうからくる姿が見えない女の叫び声が聞こえた。
私はとっさに姿を隠した。
「あ、あれっ、くしゃみの声が聞こえたと思ったのに、だれもいない?」
姿を現した大学生ぐらいの女が不安そうにそうつぶやいた。
「も、もしかして幽霊? ゴースト? 未確認生物なの?」
女は自分の頭の中の不安が増大したのか、おろおろし始め、そして「お、お化けが出た―!」と言ってどこかへ走り去って行ってしまった。
結局はお化けなのか。
私は相手に霧の中の魔物として話題になるのだろうか。いや多分ならないだろうが。
全ての真相は霧の中へと消えたのであった。
霧の中 日本語破綻者 @mojiuchisyuukann
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