第233話 3つのじんざい
次に行なったのは国としての帳簿のチェックだ。
不審な数字はやはり出てくるもので、各地方全てで不正が数件出てくる。
いわゆる2重帳簿があり、個人の懐に入っているのを容赦なく突き止めていた。
俺も銀行では一時的に監査部にいたのもあり、見るポイントは押さえている。
時折取引先の経理部の者から二重帳簿の可能性を相談され、犯人を依願退職に追い込んでいたりする。
本来は懲戒免職だろうが、株主に知らせる必要から弁済をしたりと示談にて対応していた。
まずはクマーシャルから始め、何人かに経理のいろはを叩き込んだりした。
銀行は窓口が閉まってからその日の分のお金を数えて締めるのだが、1円でも合わなければ皆帰れないんだ。
足らない分は計数機に落ちているかもで、そっと自らの財布から出して合わせる事もある。
でもね、余るのが問題なんだよ。
お客様から預かったお金の入金処理を間違っていたり、何かの処理中の機械のトラブル等で処理していない事もあったりもあるが非常にまずい。
単純ミスもある。
出納の計数機がストップしてしまい、その時の処置が悪かったりしたり、ATMが止まった時の処理が悪かったりと最悪の場合、メーカーのサービスマンを呼んでストップした時の処置やお金の動きをトレースしてもらい助けてもらう。
実に恥ずかしい処置だが、自力で合わせられなければ、社外の人に恥をを忍んで頼まなければならないルールがある。
メーカーの人もそのルールを知っているから文句は言わないが、残業代が出ている事を祈ったりした。
そんな銀行の仕事を思い出していて、この世界にも銀行の仕組みを取り入れるか?と考えたりしていた。
即席だがクマーシャルで監察官となる者を教育し、各地方に飛ばした。
不正を働いて私腹を肥やした者に対し、こちらが見付けた者に対し容赦をするつもりはないが、自首した者は弁済だけで済ませる事とし通達を出した。
勿論自首した者は誰1人としていない。
現在のコンプライアンス事務局のような組織を作り、密告をさせた。
最終的に秘密厳守で、不正を暴く事に協力した者には金一封を授けるとしたが、出るわ出るわと呆れるしかなかった。
この際1度徹底的に綺麗にしないと駄目だなと、行政府の職員にアンケートを書かせた。
上司の名と不適切な行為の有り無しについてだ。
その部署に調査員が訪問し、仕事を一旦止めて全員が紙に書き、その場で回収する形だ。
示し合わせての不正も考えられるが、最終的にシャルルが指摘された者の罪を確認する。
指摘された時点で自白すれば少しは罪を軽くするが、逆に嘘の告発だった場合、その部署の者を全員集め嘘の告発をしたかの調査をする。
その旨を伝えての調査だが、残念ながら嘘の告発も後を絶たない。
そんなこんなで実に1割の者が犯罪者となる等、膿出しを行っていた。
人がいなくなり回らなくなるのでは?となるが、そのような人罪がいなくなる方が仕事の効率も上がるというものだ。
勿論募集を掛けるが、行政府のクリーニングには時間が掛かる。
俺が欲しいのは3つの【じんざい】のうち人財だ。
人罪、人財、人材があるのは有名な話で、今回は人罪を潰した。
そうしてある程度目処が立つまで指導をするのであった。
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