第223話 魔王討伐に向けて!

 ニーナが町に入ってから2時間半程経過した頃、急に瘴気が薄くなり始めた。


 ニーナには気配遮断の腕輪を持たせているので、戻ってきても気が付かないし、万が一存在がバレたとしても逃げ果たせるだろう。


 もしもの時は昨夜の野営場所に集合とすると予め決めている。

 

「あれ?栃郎さん、気の所為か瘴気が薄くなっていませんか?」


「気の所為じゃないよ。それに町が騒がしいな。何かあったのかな?まさかニーナが捕まったとか?」


 皆瘴気が薄くなった事を理解した。


「ちょっと皆良いか?」


 全員が俺を見る。


「気が付いているかと思うけど、瘴気が薄くなってきている。もう少し薄くなれば中に入れると思うけど、皆の意見を聞きたい。行くか行かないか等だ?」


「ニーナさんの戻る予定時間までまだ1時間はあります。取り敢えずそれを待ちませんか?来ないはずの私達が来れば敵と誤認識する恐れが大きいですわ」


「2号に見に行かせてみたら?」


「見たらって、自分の事だぞ?」


「もし死んでも平気だし」


「まあ、現状それが良いか。他に意見は?」


 結局みっちゃんがドッペルゲンガーで2号さんを出し、30分で行けるところまで行き、それから引き上げる事にした。


 みっちゃんに装備を身に着けさせ、そっと送り出す。


 だが、町に入って見えなくなったと思ったら直ぐに戻ってきた。


「栃郎、中に来て!他は待機ね!」


 俺は首を傾げつつ2号の後をついていく。


 すると巨体を引きずってくる人影が見えた。

 よく見ると多分ニーナだ。


 俺は急ぎ駆け寄ったが、首の無い死体を引きずっていた。


「終わったぜ!」


「何だこいつは?」


「こいつが魔王だぞ」


「へっ?倒したの?」


「チョロかったぜ」


「どういう事?」


「皆の所で話すから、取り敢えず死体を収納して欲しいんだ」


 言われるがままに死体を収納し、皆の所に戻った。


「ニーナが魔王を討伐したらしい。瑞希、悪いが魔王の首を鑑定して欲しい」


「う、うん」


 ニーナから渡された生首を地面に置いて瑞希に促した。


「えっと、魔玉デイズンって有りますね」


「おま!魔王をやったんかい!?」


「ふふふ!褒めても良いんだぜ!アタイを誰だと思っているんだいい?」


「詳細を教えて欲しい」


 オイオイオイと叫びたくなる。

 魔王を倒すのは俺じゃないのか?

 そう突っ込みたくなるが、俺達はニーナの話に耳を傾けるのであった。

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