第182話 追跡開始
俺はメッセンジャーを送り出してからある事に気が付いた。
「しまった!忘れちゃったな・・でもまあいっか」
「陛下?どうなさったのですか?」
人前では陛下と呼ばれるそうな。
心配そうなシャルルが聞いてきた。
「いや、目覚ましをセットしたんだけど、止め方の話をしていなかったんだ。スヌーブにしているから、何度か大きな音が鳴るんだけど、そのうちに消えるからまあいっか」
「体に害がないのですわよね!?」
「うん。でもパニックになるかも」
「男の子なんですから、なんとかするでしょう。武器は持っていますから、いざとなれば斬れば良いと思いますわ」
「まがりなりにも陛下と呼ばれる者から下賜された、又は貸与された物を壊すのは出来ないだろう。それこそ命の危機を感じてならともかく。後で誰か聞いておいて。同じのをチラつかせて、壊したならそっと渡せばおかしな行動は取らないだろう?」
「流石よく考えますわね。アイリーンとニーナの準備が整ったようですわ。それと陛下が捕らえた貴族達を回収する部隊も早々に発つとの事ですわ。気を付けて行ってきてくださいまし。万が一陛下がお亡くなりになるような事があれば、シャルルは命を断ちますわ」
「それもどうかと思うし、後で話そうか。死体を見るまでは死んでくれるなよと今は言っておくよ」
俺は真面目に2人の安全具の確認をする。勿論胸にも手が当たるし、手直しをするから乳房をベルトの内側に押し込めたりとしたが、命に関わる事は真面目にやっている。
後からの話で、胸をがっつり触ったはずなんだよな?と、感触を堪能しなかった事を後悔していたりする。
一通り確認と手直しが終わるとシャルルとみっちゃんに後を託し、首謀者を捕らえる為に飛んだ。
町を出るまでは堂々としており、ゆっくりと飛んでおり、町を出てからすぐに地上に降りた。
フルフェイスのヘルメットを装着する為だ。
バイク乗りが使うそれだが、あまりにも異質過ぎて目立つからだ。
また、ヘッドセットも装着し、会話ができるようにした。
また、ニーナにはパラシュートを装着させた。
いざとなればベルトを切って突っ込めるようにしたのだが、パラシュートの操縦方法は正直分からんのでどちらかというと、俺が気絶して落下してしまった場合を想定している。
骨折程度ならポーションかニーナの魔法で治るからだ。
テスト会話をし会話が出来る事を3人共確認して、再び空の人になる。
時速120キロ程で飛んでいる。
ヘルメットのお陰で風切り音がうるさい以外なんともない。
俺はコントロールするのが精一杯で、索敵まで手が回らないので、ニーナとアイリーンに索敵を任せている。
ただ、1時間飛んでも発見できず、進む距離の予測を超えていなければ追い越した事になるので、1度小休止してから少し戻る事にした。
少し話をしたが、1つ手前の町が大きな宿場町なので、そこまで戻ってみる事にした。
それと、高度が高いのと、速度が早いので高度を提げるか速度を落として欲しいと言われ、速度を時速40キロ程にして捜索を再開したが、町の近くに馬車が数台おり、聞いている特徴等と合致するので漸く発見したようだ。
先回りし、アイリーンを茂みに置き、スナイパーライフルを収納から出した。
いつの間にかポチっており、アイリーンは狙撃の練習をしていた。
俺とニーナは徒歩で街道を歩き、程なくして視認出来る位置に来た。
すると騎馬2人が誰何しに来たのであった。
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