第157話 ワイバーン(誤)戦決着

 そう、投げたのはナイフだが、2本のナイフの間はピアノ線で結んでおり、狙い通りの位置に飛んでいった。


 そして投げたナイフが引っ掛かった事を確認し、重りを投げた。

 勿論引っ掛かったのはピアノ線だ。

 重りはそのピアノ線に括り付けられている。


 その重りは奴の首の周りを回り、やがて首に軽く当たる。


 そして予めポチってもらっていたパラシュートの出番だ。

 パラシュートを展開する時に引く紐を引いてから、パラシュートを落とした。

 するとパラシュートが開き、奴はパラシュートにより速度が落ちて失速していった。

 勿論先の仕掛けは、パラシュートをワイバーンに装着させる為の物だ。


 パラシュートはハーネスと合わせて着けて貰おうとポチって貰っていたのだが、ふと閃いて、予め作っていた仕掛けに付け足したのだ。


 俺は最後の仕上げとして網を落下させたが、見事に当たった。

 その金属製の網と絡まり、ワイバーンは錐揉み状態で落下していく。


 元々飛行体に対して網を絡ませようとしていて、色々なのをポチっていた。

 ワイバーンを見て足らないなと思い、アイリーンに少し買い足してもらった。


 アイリーンにパラシュート目掛けて矢を射かけて貰い、パラシュートの機能を奪う。


 そしてその上に2号岩を出して、落下するワイバーンの後を追わせた。


「ようし、これでワイバーンもぺったんこさんだ!」


「あのう、栃郎さん、あれはド・・・」


 ドゴーン!ドゴーンと、ワイバーンが落下した音と、岩がその後即時に落ちたので連続した音と振動が発生した。

 地上にいればものすごい振動を感じただろう。


「えっと、話は後だ。とどめを刺すよ!」


「あっはい」


 俺は仲間が駆け付けるのを待った。3分程で皆が来たのでひと声掛けてから岩を収納に入れる。


 すると半ば土に埋まっているというか、全て埋まっていたがまだ生きていた。


 横向きに倒れており、首を上げようとしていたので、頭を隠すように岩を落とす。

 体をばたつかせるが、岩が重く逃れられない。


 さくら達から凄いとか、うわぁ!とか聞こえてくるが、俺は滾っていた。


「皆とどめを刺すよ!いっけぇええ!」


 無防備にさらされた横っ腹に各々攻撃をする。


 俺も散々斬り付けたが、皆の邪魔にならないように硬い鱗や外皮を斬り裂いていた。


 特に男子は彼女に良いところを見せようとハッスルしていた。


「五月雨突いぃぃ!」

「ウルトラサンダーアタックゥ!」

「秘技トルネード斬り」

「壱の型スペシャル円空檄」


 多分それっぽい事を言っての雰囲気やノリだろうが、こいつら揃いも揃って中二病だなと思う。

 でもさくら達はうっとりと見ているけど、何気にさくらのステータスアゲアゲ?その効果が凄い。


 ただでさえ滾っているのに、更に力が漲っておりあそこもビンビンで攻撃していたさ!


 5分くらい経っただろうか?突然ワイバーンの体が輝き、一瞬暗くなったかと思うと「ぽすっ!」っと間の抜けるような音と共に霧散し消えていく。


【ドラゴンスレイヤーの称号を得ました】


 謎メッセージが頭の中に流れてきた。


「ほう、ワイバーンってドラゴンの一種なのか!」


 双子の姉であるコナリナスが叫ぶ!


「お父様やりましたわ!私達ドラゴンを倒すのに1撃を入れる事が出来ました!やはりお父様の血の兄弟は凄い方でしたわ」


 コナリナス配下の女騎士達が俺に臣下の礼をする。


 更にシャルルがうっとりしながら俺の手を取った。


「やはりレオン様はシャルルの見込んだ殿方です。流石です!ドラゴンを討伐だなんて私感動いたしました。あはあ、レオン様、お慕い申し上げます。是非とも妻の1人に!いえ、妾でも大丈夫ですわ」


「あんたね!倒したから良いけど、ドラゴン相手に瑞希を抱えて飛んで行った時は流石に焦ったわよ!でも流石私達の旦那様ね!」


 他の者からも俺と瑞希は称賛され、ドラゴンを倒したぞ!と歓喜が沸き上がっていた。


「ちょっと待て、高々ワイバーン位で皆大袈裟だぞ!」


「あのう、栃郎さん、あれはグリーンドラゴンでしたよ」


「へっ?」


「ご主人様はあれを本気でワイバーン思ったのきゃ?アタイもドラゴンを見て死を覚悟したにゃ。凄いのかアホなのかどっちにゃ?」


 谷本君達からもさすが兄貴!と握手をされた。


 そうそう、皆からもあり得ないレベルの上がり方をしたと言われ、皆の反応にとまどっていたが、護衛の冒険者からドロップの回収とそこら中に落ちているドラゴンの鱗等を回収しませんかと言われハッとなる。


 どうも俺が斬り裂いた鱗は綺麗に残っていたり、外皮が散乱していて、これらから良い装備が作れると言われ、皆で警護と回収班に別れて、お宝をゲットするのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る