第142話 公爵登場
その場にいる者は財務大臣、外交大臣、内務大臣、第1騎士団団長で、騎士団団長以外は老齢の者達だ。
自己紹介がなければ、何だこの爺さん達は?となっていた。
自己紹介をしあっている間に、騎士団団長が控えていた部下に椅子を持ってくるように命じていた。
自己紹介が終わったので席に座るのだが、席を詰めた為、国の重鎮達が入り口から見て右手に寄り、俺達は逆側だ。
国王の隣がシャルル、ニーナ、俺、アイリーン、みっちゃんが座る。
エンピアルは俺の後ろ、アウィンはシャルルの後ろに立っている。
国王も後ろに従者と護衛を控えさせており、他の重鎮は副官を後ろに立たせている。
また、ドアの入り口に歩哨がいるのとメイドがいる。
エンピアルに座るように促したが、奴隷なので主の後ろに用を申し付けられるのを待機するのが当たり前と諭された。
アウィンは聞くまでもない。
人が後ろに立っていると正直な所、居心地が悪い。
因みにセレネはニーナの従者としていた。
ニーナはエンピアルを苦手にしているが、セレネは大丈夫だ。エンピアルの話し方が抑揚がなく表情を読み取りにくい為に苦手だと言っていた。
先ずは当たり障りのない挨拶があり、特にニーナの事を歓迎している。
俺達異世界人については微妙な反応だった。
高校生たちのうち、男子は牢獄に監禁されており、扱いは明日の期限まではただ単に身柄を拘束しているだけだ。
こちらは国王暗殺未遂事件となっている。
また、女子は宮廷魔道士団預かりで、教育と称して軟禁している。
建物から出る事を禁じているが、建物内は比較的自由だとか。
そんな話をしていると、いきなり扉がバーンと開き、我が物顔で1人の男が供回りを2名連れて入ってきて、席次を一瞥した。
40〜45歳位でやたらと立派な服を着ており恰幅が良い。
円卓の国王と相対する位置に当たり前のように座ると、いきなり話し始めた。
また、シャルルが俺の手の上に手を重ね、意味ありげに首を振る。
流石に俺でもあれがキーマンになる何とかいう貴族なのだなと理解した。
「シャルルよ、約束通りに剣聖を連れてきたのだな。お前にしては上出来だな。1度襲撃を受けたそうだが、よく生き残れたな。言っておくが刺客を差し向けたのは儂ではないからな」
「公爵殿、おかげさまで無事に戻ってまいりましたし、ニーナ様のご助力を取り付けて参りました。私の身を案じていただき有難うございます。勿論公爵殿を疑ってはおりません。公爵殿が刺客を差し向けたのならば、今私はこの場にいないでしょう」
「その通りだ。これは儂に対しての敵対行為でもある。折角剣聖より指導を得られるチャンスを潰されるところだったからな。背後関係は分かっておるのか?」
「言え。サルベル国の貴族の子飼いの刺客までしか分かっておりません。公爵殿、そろそろ本題に入りませんか?こちらにいらっしゃる方々が、もう1つの条件の異世界人でございます」
いきなり席を立ったかと思うと先ずはニーナの前に行き、淑女に対する挨拶を始めた。
俺は突っ込む。
先ずは自分が何者かと、国王に臣下の礼や挨拶もしないとは何だよ!と。
まあ、横暴な奴とは聞いていたが、おいおい、いきなりニーナを口説きに掛かるんか!アホだな。
「・・・儂の妾になれば良い暮らしが出来る・・・・」
ニーナは流石に足蹴にはせず、俺と婚約していると丁寧に辞退していた。
いつした?
その後俺をじっと見ていきなり握手を求めてきた。
かなり強く握ってくるが、俺は涼し気な顔をしておいた。
多分レベルの差だろうが、ほとんど痛くない。
その後俺を睨むとアイリーン達を値踏みするように見た。
そして、フン!と唸り席に着く。
そしてこの場にいる中で1番身分が高い者の様に仕切り始めるのであった。
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