第135話 ドロップ回収!

 俺は目の前にというか、抱きしめていたシャルルにくらくらしていた。

 リアルお姫様だ。

 それだけでご飯3杯は行ける!と言いたくなるだけの身分だ。


「さて、これからどうするのですか?流石にこの高さは怖いですわね」


 そう、俺達は1号さんの上に立っている。

 まあ、高さは大した事は無いと言えるのか分からないが、先端の高さは15m程だ。

 面積は学校のグラウンド位だったりする。

 尖っている部分もあるが、基本的になだらかな丘だ。


 立つ事が出来るのは高さ10m程の所だ。

 足場が悪いので気を付けないと岩から落ちてしまう。


「よし、サイクロプスも死んだし、降りますか!」


 シャルルが少し警戒しているようだ。


「どうした?さあ、ハーネスを繋いで上に上がろうか」


「また破廉恥さんになられるのですか?婚約すらしておりませんのよ」


「破廉恥?する訳無いやん。まあ、確かにシャルルは魅力的だけど、セレネもいるんだよ」


 シャルルは何故かジト目だが、俺は先ずセレネをおんぶし、ベルトで固定する。

 それからシャルルをお姫様抱っこだ。

 うん、やっぱり柔らかく心地良い触り心地だ!ヨカヨカ!


 それから少し浮き、軽く足が岩に触れた時に収納した。

 すると眼下に魔石が固まって20個ほど落ちている場所と、何かのアイテムと魔石が落ちているところがある。


 俺は先ず数が多い方、つまりワーウルフのいた場所に行き、セレネに警戒をさせてシャルルとドロップを拾う。


 次にサイクロプスがいた辺りだが、何かのネックレスと魔石が埋まっていた。


 掘り出したあと収納したが、その後周りを見渡したが特に何かの気配がするとか、草むらでカサカサと音がする事もなかった。


「御主人様、ぺったんこさん凄いのだ!流石なのだ!」


「セレネさんではないですが、むっつりさんかと思わなくはなかったですが、流石に規格外と申し上げるしかありませんわね。我が夫に相応しいですわ・・です」


 最後の方は何を言っているか分からなかったが、2人を伴い本体に戻る。


 警護が周りを警戒しているが、馬車が全て健在なので戦闘が行われた気配はなかった。


 俺が2人を抱えて降りてきたので皆安堵していた。

 言付けを守り、誰1人としてその場を離れなかったようだ。

 着陸してハーネスを外しているとアイリーンが涙を浮かべながら俺に抱き着いてきた。


「遅いよ!心配したのよ!1号さんをおとしたからびっくりしたの。怪我はなかった?」


 俺はくすぐったがったが、アイリーンはペタペタと俺の体を触り異常が無いか確かめている。


 俺はそっと頭を撫でた。


「心配してくれて有難う。勿論3人共に無傷だよ。サイクロプスが出たんだ。これを鑑定して欲しい」


 アイリーンに首飾りを渡す。

 鎖の色はシルバーで、中央に10円玉位の宝石が500円玉サイズの台座に鎮座している。台座は上品なデザインだ。宝石は薄いブルーだ。


「はーい。では鑑定しまーす!ピピピッピピピッと!」


 俺は固まった。可愛いから良いが痛い。中二病か?


 ニーナ、シャルル、みっちゃんがその様を見てついつい固まっていたが、エンピアルは相変わらず無表情だ。

 そして皆からの痛い視線を感じたのかアイリーンが顔を真っ赤にした。


「ちょっと瑞希、それは痛いわよ!スキルを発動するのにひつようなの?」


「気分だけど駄目?だってレオンは飛ぶときシュワッチ!ってやるじゃない。私も何かしようかなって。効果音があればそれっぽいでしょ?駄目?」


 みっちゃんはアイリーンに抱きつき、良いよぉ!と唸っていた。


 アイリーンよ、やっぱり君は痛い子だった。でも可愛いから許す!

 美人は何をやっても様になるな!


「アイリーン様、この首飾りが何か判りましたか?」


「あっ、シャルルさん、えっと、これはですねぇ、魔力を込めると装着者の見た目を変える事が可能ですね。フェイクフックの首輪だそうです。名前は変ですね」


 俺はアイリーンから首飾りを受け取ると、魔力を込めてからシャルルの首に装着した。


 するとそばかすだらけの町娘にしか見えなくなったが、シャルルは固まっていた。


「おお!これでシャルルとは分からないな。取り敢えず目的地まではシャルルが使うんだ。魔力は俺が込めるから、忘れていたら言ってね」


 皆シャルルのその変わりように固まったのであった。

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