第130話 やっぱりアウト!

 馬車が進み始めてすぐにみっちゃんが文句を言ってきた。


「ちょっとレオン、それにしても酒臭いわよ!気持ち悪くなるから近寄らないでよね!」


「みっちゃん、そんな事言ったらレオンが可哀想よ。確かに物凄く酒臭いけど、あの冒険者さん達と交友を深めるのも必要だと思うの。レオン、でも程度というのがあるわ。いったいどれ位飲んだんですか?」


「ごめん。その、酔っ払ってしまって覚えていないんだ」


「えっとねぇ!ジョッキで20杯は飲んだのだ!やっぱり勇者様はお酒も勇者様だったのだ!」


「今回は仕方がないけど、お酒に飲まれてたら駄目じゃん。ちゃんと大人の飲み方を次からはするのよ!」

 

 俺はやらかした事からしゅんとなった。

 でもおかしい。

 20杯程度じゃ酔わないんだけどな。


 あっ!いかん。

 銀行に入るまではそんなに強くなかったな。

 独身の頃は上司と頻繁に飲みに行き、20代半ば頃から強くなったな。そうか、体は18歳前後だったな。気をつけないとな!


 そこからは俺はまだ酒が残っていて半ば寝ていた。


 休憩ポイントの少し手前辺りだっただろうか、アイリーンとみっちゃんがセレネに同情し、仲間として受け入れるような話が聞こえてきた。


 そこまでは良かった。

 何とか乗り切ったと安堵した時も俺にも有りました。


「アイリーンは御主人様と夫婦きゃ??」


「一応そういう事としてとうろくしているけど、違うんだよね・・・」


「じゃあ、いつもあんなに激しくやっているのきゃ?」


「激しくって何の事?」


「アイリーンは変な事を言うにゃ?夫婦が夜にやる事といえばまぐわる事しかないのだ!昨夜リカねぇとツーシルねぇと激しくやっていたから、あたいも番になったらいつもあんなに激しく求められるんきゃなって。それに勇者様はあそこも勇者様にゃ!・・・・」


 俺は真っ青だ。セレネが赤裸々に昨夜の事をバラしやがった!口止めしていない俺が悪いが、普通言うかよ!

 段々思い出してきた。

 金はいらないから、気に入ったから1人の女として抱いてくれと言われ酒が入っていたのもあり、数年振りに女を抱いたのではっちゃけていたと、2人相手に無双していたと断片的に思い出してきた。


「ちょっと、セレネ!レオンが2人の女の人とその、いやらしい事をしていたって言うの?」


「当たり前なのニャ!女と男がベッドの上でするのは1つに決まっているにゃ!」


「ちょっ、ちょっとどういう事!?女をナンパしてお持ち帰りしたって事?それとも女を買ったの?」


 アイリーンは目に涙を浮かべ、みっちゃんはすごい剣幕で捲し立てる。


「違うニャ。御主人様がお待ち帰りされたニャ。あたしのいた店は飲み屋兼娼館にゃ。本当はお酒を飲んで気に入った女を客が買ってエッチするニャ!でも御主人様飲みすぎたけど、色々なところで勇者様だったから、ねぇねぇ達は勇者様に抱かれたいって言って、酔い潰れた御主人様を部屋にお持ち帰りしたのニャ!だから買ったのでも、口説いたのでもないにニャ!」


「で、何でセレネが何があったか知っているのよ!?」


「御主人様酷かったのだ!あたしの胸を見て、ぺったんこさんは子供過ぎて抱けませんって言って、ねぇねぇ達と激しく始めたニャ!2人共足腰立たなくなっちまったよって言ってたニャ!ねぇねぇ達はあたしに勉強の為に見てろって言っていたニャ!」


「ちょっとレオン、瑞希がいるのに他の女とエッチしたって、どういう事よ!それにセレネの眼の前でってありえないわよ!この獣!不潔!変態!サイテーね!」


「みっちゃんは何故怒こっているのキャ?みっちゃんは御主人様の女じゃないニャ!アイリーンは番と言う事にしているけど、本当は違うにゃ?だったら御主人様が女を買おうがエッチしても、無理矢理やないなら文句を言われる事はないニャ!みっちゃんはおかしな事を言うにゃ!」


 その後取り敢えずみっちゃんはセレネに対し、倫理観を話すも通じない。

 困ったとなったが、休憩ポイントで馬車が止まり、アイリーンは泣いて出ていった。即時にみっちゃんは2号さんを発動し追い掛けた。


「あんたサイテーね。瑞希が泣いたじゃないの!もう今日は一緒の馬車には乗らないわよ!シャルルとアウィンと替るわよ!宜しくて?」 


「ほんと済まない。軽率だった。言い訳になるけど妻以外の女を抱いたのは結婚してから初めての事だった。本来だと酔わない量の酒だったけど、若い頃はそうじゃなかったのを忘れていたよ。それより何でアイリーンは泣いたんだ?確かにデリカシーのない話だったけど」


「あんたそれ本気で言っているの。って瑞希も苦労するわね。あのねぇ、あんたねぇ!鈍感にも程があるわよ。泣いていたのは好きな男が他の女とエッチしたからに決まっているでしょ!このあんぽんたん!あんたなんかとっとと死んじゃえば良いのよ!」


 みっちゃんも馬車を出て行き、俺は暫く放心状態だったが程なくしてシャルルとアウィンが入れ替わりで来た。


 みっちゃんの言葉に俺は愕然となった。

 アイリーンに嫌われるどころか好かれていたのか!?

 つまり本気で口説いたら彼女になっていたのか・・・

 やっちまった。

 よりによって娼婦紛いの女にお持ち帰りされたのか・・・ぐふ。

 あっ!ちゃんとゴム付けたけど、1箱空に・・・そらあかんわな。

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