第124話 尋問の開始

 殴るのを俺がやろうとしたが、シャルルを護衛していた冒険者達に殴らせる事にした。結構苛烈だった。平手打ち・・・ではなくグーパンチだった。


 一応、グーパンチをしようとしていたから殴る前に一度止めた。


「殴るのはちょっと待って!」


「私達には殴る権利がないというのですか!」


「いや、グーパンチしたら流石に殴った側が手に怪我をするかもだから、タオルでも巻いて保護してからにしてね。これ以上ニーナの負担を増やしたくないんだ。この後こいつに少しであっても治療する事になりそうだからさ」


 俺は手にタオルを巻いた。


「よし!尋問しなきゃだから殺さない程度にね」


 そういうと謝辞を述べてから嬉々として殴ったり蹴っており、股間というか多分玉が潰れたと思う。

 つまり睾丸だ。まあ、身から出た錆だな。ご愁傷さま。

 勿論殺そうとしたり行き過ぎる場合はそれとなく止めていたりする。


 程なくして顔を腫らした状態で目覚め、少しぼやっとしていた。


「おい、そろそろ起きたらどうだ?」


 俺はそいつの顔に水をぶっ掛けたが、お陰で意識がはっきりしたようで呻きだした。


「ゔゔぇ?いだい、いだい!儂を誰だと思っての狼藉だ!早くロープを切らんか!無礼な」


 俺は奴に平手打ちをした。


「口の聞き方がなっていないぞ。ご主人様に対してなんて口を聞くんだ。お仕置きだ!」


「ギャアアア!」


 俺が首輪から1秒ばかり痛みを送ると奴は情けなく絶叫した。


「これで自分の立場が分かったな?首輪を見ろ。お前の好きな首輪だぞ。ニーナ、悪いが口が聞けるように治してやってくれ」


「ちっ。こんな奴ほっとけば良いのに」


「悪いな。俺も正直に言うとどうでも良いが、会話に支障が出るからだよ。間違った。尋問だ」


 実は俺がニーナにお願いしたのには2つの狙いがある。

 1つは建前である会話の事。歯が折れたり、口を切っていて何を言っているか分かり難くなる事だ。


 2つ目は、己が剣聖ニーナがいる隊を襲った事、シャルルが剣聖を味方につけた事を知らしめたかったからだ。


 そこからは堰を切ったように聞いてもいない事も話し始めた。俺は念の為スマホでその会話を録画していた。


 因みにアイリーンとみっちゃんは尋問の場から締め出し、アウィンと共に救助した者達の相手や襲撃者の馬車を出せるように馬を繋いだりと準備を監督して貰った。


 シャルルは当事者だからこの場にいるのと、あの女性2名に同席させていた。


 聞いてもいないのに、この女性達に何をさせたか、したのかについて洗いざらい話してきた。


「此奴らは見た目は大した事が無いが、男心をくすぐるエロい体をしている。XXXが少し臭いが、お尻の穴は・・・」


「ざけんじゃねぇ!冒険者を舐めんな!」


 縛られた状態で座らされていたが、2人は腹を殴っていた。


 俺はため息を付きつつ、何をしたか、させたかを聞いたが、処女を奪う以外はやり尽くした感がある。


「お前に命ずる。今後主人が変わろうとも、許可なく女に触れる事を禁じる。この2人に何をしたのか、させたのかについて、俺以外に話す事を禁じる。俺と2人きりの時のみ、更に俺が聞いた時だけ許可する」


 ニーナが刀を振り抜いたが、咄嗟にグラムを出して剣を止めた。


「甘いぞ。こんな奴は生きる価値はないぞ」


「分かっているが、尋問しなきゃならん事もあるし、殺してしまったら今は思いつかなくても新たに聞きたい事があった時に聞けなくなるだろ?だから役に立つ間は生かしておくんだよ。生き長らえる希望がなければ何も話さないよ。まあ、話さなかったらその時は処刑だけどな」


「な、何でも喋りますから、どうか命だけは!どうか御慈悲を」


 そこからは基本的にこちら側からの質問に答える形を取り、尋問を始めた。


 そして尋問の最中にみっちゃん2号がテントにいた者について至急だと連絡に来たのであった。

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