第121話 野営地へこんにちは

 俺は佐東と共に野営地の真ん中に降り立った。文字通り空からこんにちは!であり、俺達が突如現れたから混乱しとるな!うんうん。

 とはいえ流石にすぐに発見され、あっという間に囲まれた。


「貴様ら!な、何者だ!どうやって来た!」


「あー、シャルルを殺そうとしたのはあんた達か?」


「貴様!ターゲットの護衛か!皆、」敵襲だ!殺すなよ!捕まえて尋問だ! 


 すぐに20人以上に囲まれ、抜剣した。


「佐東、コイツラを眠らせろ!」


「わ、分かったから、やるけど暫く無防備になるから、ま、守って欲しい!」


「ああ。それは大丈夫だ。任せろ」


 すると佐東は地面に手をつき、即時にスキルを発動したようで次々と敵が倒れていった。


 流石に佐東も野営地をできるだけカバーしないと自分がやばいと理解し、今可能な範囲で行った。

 当初は半径1mの者限定だったが、何度か行う間に強さを落とせば範囲を広げられるようになっていた。

 元々できたはずなのだが、能力を細かく検証して判明しており、その内容をレオン達に話させられていた。


 スキルを発動する範囲が狭ければ簡単には起きられない。だが、今回は半径20m位で、全てのテントを内包できた。


「やったが、多分10分と持たないぞ!」


「でかした。それで十分だよ」


 俺は皆に手を振った。


 そしてアイリーンに頼んでポチってもらったインシュロックを佐東にも渡し、手と足を固定するように伝えた。

 これで逃げようとしてもぴょんぴょんと跳ねながらしか無理だ。


 皆が来たのでやはりインシュロックを渡して敵を拘束していく。

 しかし、野営地から離れていた2人が藪から戻って来て、異変からナイフを構え切り掛かってきた。

 近くにいた今居が咄嗟に手で顔を庇い、結果手を斬られた。


「ギャー!いでぇぇ!うぎゃー!」


 情けない絶叫が木霊する。

 しかし、アイリーンが放った矢が今居に斬り掛かった奴の目を射抜いた。

 もう1人はニーナが投げたナイフが額に刺さり即死だ。


「レオン、す、すまない。癖で急所に投げちまった」


「大丈夫だ。寧ろ反応してくれてサンキューな!それよりも矢が刺さった者の方を治療して欲しい。命を救う事が可能ならば、例え悪党や敵だとしても救いたいんだ。甘いかな?」


「あいよ!」


 ニーナはニコリと微笑み、矢傷を負った奴を無力化してから治療していった。

 ニーナ的には誰がリーダーなのか分からないから、リーダーを確実に尋問する為に全員を生かしたかったのだと勝手に解釈した。

 ただ、この2人は斥候が何かであると判断し、下っ端なのになと呟いていた。


 そして俺はというと、震えているアイリーンから弓矢を半ば奪い、そっと抱きしめた。


「あたし、人を傷付けちゃった・・・」


「アイリーン、それは違うよ。クラスメイトの命を救ったんだよ!それにニーナは殺しちゃったけど、アイリーンの方は片目の失明だけで済みそうだよ」


「う、うん。ありがとうございます」


 全てを縛り上げてからみっちゃんを捕まえた。


「みっちゃん、アイリーンが人に矢を放った事で沈んでいるんだ。俺も後でケアするけど、友達からのケアがいると思うんだ。頼めるかい?」


「ふっふっふっふ!誰に言っているのかしら!?勿論するわよ。それよりコイツラどうすんのよ?まさかここで処刑とかしないわよね?」


「コイツラ次第だな。今から天幕を全部調べ、一切合切収納に入れるよ。こいつらの沙汰はそこにある物次第かな」


 みっちゃんにジト目をされたが俺はお構いなしだ。


「じゃあそういう事で頼んだよ!よ、ヨロピコ!」


 と言ってニーナ達と天幕を確認していく。みっちゃんはあっ!とか唸っていたがスルーだ。


 何者かを確かめるのは後でする事にしており、取り敢えず全員をインシュロックで拘束している。


 そんな中、兵士や傭兵崩れとは明らかに違う者達が1つのテントにいる事が判明したのであった。

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