第120話 偵察と作戦

 先程俺が佐東にした事を捕えた賊も見ていたのもあり、嘘をついたり、嵌めようとしたり、例え逃げても上空から見つけられるのと、その場合地面に落とすと脅してやった。

 その為かなり震えており、真面目に拠点へと案内しているようだ。

 もっともエンピアルが質問をしていたので大丈夫だろう。


「私には嘘は通じません。真言のスキル持ちですから。レオン様に落とされたくなければ、正直にアジトへ案内しなさい」


 賊はエンピアルの無表情な口調からか、気の毒な位に怯えており嘘偽りなく案内するようだった。


 また、佐東達の事については、お前らとか貴様らとかだと、誰に対して言っているのか分かり難くかったりするので、結局みっちゃんに名前を聞く事にした。


 特に佐東の瑞希に対する視線が尋常ではなかったから、俺に許可を求めない限り話し掛けるのを禁止し、視界に入らないように瑞希は早々に馬車の中に押し込んでいたりする。


 そうして俺達は賊のアジトに向い出したが、程なくして案内されたアジトを遠目で見える位置に来ていた。

 何処かの洞窟とかを根城にしているものだと思ったが、ちょっとした空き地に数人が横になれる大きさのテントが10張程張られている。

 そう、野営地だ。

 馬車も荷馬車を含めて数台があり、30頭以上の馬が柵の中にいる。


 今はニーナを抱き抱えて上空から観察している。


「まるで軍隊だな。いや、私兵か?違うな。あれは傭兵団だな」


「ニーナ、分かるのか?」


「ああ。戦場を渡り歩く奴等だよ。岩を落としていたりしていたから、盗賊にしてはおかしいとは思ったんだ。アタイらに直接ちょっかいを出してきたのは下っ端で本隊が来るまでの時間稼ぎだな」


「どうする?やっちゃうか?中心部を1号さんでぺったんこすれば殆どを殺れるぞ」


「駄目だ。そこにいるのが全員賊とは限らないからな」


「どう言う事だ?」


「ああ。いくつがあるが、この規模だと、アタイが可能性が高いと思うのは2つだぜ。1つは娼婦を連れてきており、コイツラが何者か知らないかもだ。それと、街道で悪さをし、商人や貴族を捕えていて、依頼主に差し出したり身代金を要求する奴等がいると聞く。この規模だと可能だろう」


「じゃあどうする?」


「フッフッフ。今回はあの佐東という奴の出番だぜ。彼奴の能力は一定の範囲内の敵やターゲットを気絶させるやつだよな?」


「どうやってやる?」


「アタイらは周りで様子を見て援護をするから、2人で中心部に行き、シャルルを殺そうとしたのはあんた達か?って聞いて、剣を抜いたらスキルを使わせるんだ。


「もう一度佐東を抱き抱えるのはいやだぞ」


「足首に捕まらせておけば良いさ。1分位行けるだろ?その後気絶しなかった奴はアタイら近接組が倒してやるよ」


「分かった」


 そう言ってから馬車に戻り、皆に偵察結果と作戦を伝えた。

 偵察結果はタブレットで野営地の写真を撮り、皆で見ていた。

 カメラはしょぼい望遠レンズがあった。

 重くなるが、28mm−300mnの望遠レンズを汎用として持っているから、それで木の上から何人かを撮り、傭兵崩れだと確認できた。

 また、上空からの偵察前に望遠レンズにて撮った写真を瑞希やみっちゃんに見て貰い、それから感じたり判断した事を聞くようにしていた。


 確かに従軍している兵士以外もいる感じだった。


 幸いバッテリーは気にしなくて良くなった。勿論アイリーンのスキルを使い、ソーラータイプの充電器をポチっているからだ。


 佐東以外の3人には馬車の護衛を命じ、敵に対してと味方を助ける為にスキルを使う許可を出した。


 今回の目的は、この隊を率いている者を捕えた上で尋問し、背後関係を探る。捕えた後はタイラップ(インシュロック)を使って縛り上げ、馬車に放り込み隣町にてギルドに犯罪者として突き出す。


 そんな感じで対処するとした。

 まあ行き当たりばったりで、ニーナの力に依存する形だ。


 そして俺は泣きそうな面をしている佐東をぶら下げて、野営地へ上空からこんにちわ!をしに向かうのであった。

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