第105話 side さくら4

 私はおしっこを我慢していたけど、もう我慢の限界が来たのでスカートを捲ってパンツを下ろし始めたの。するとどうやら降下し始めたわ。半分程下げている最中だったけれども、元に戻したわ。


 着陸?してすぐに膜が消えたら、お尻丸出しでおしっこをしている最中になるかもなんてあり得ないもん。大丈夫、あと5分位なら我慢できるわ。幸いナプキンをしているから、ちびる位は吸収してくれるはずよ。


 そうしていると何処かのお庭?に降り立ったわ。周りを見ると私と同じようにキョロキョロしている和美がいるわね。それと2号君、3号君、4号君、5号君と、この世界に来れなかった1号君以外は全員集合ね。


 谷本 優流(たにもと すぐる)

 阿雅佐 久利須(あがさ くりす)

 椎那 斗枡(しいな とます)

 鈴樹 博(すすき ひろし)


 皆私の元に来たわね良きかな。でも私は手で制したの。

 そこには2人の女性がいて、お茶を愉しんでいるところのようね。春の陽気?過しやすい気温ね。外で何かを食べるのはさぞ気分が良い、そんな気温よね。それとメイドさんが2人控えているわ。この2人、又は少なくとも1人は身分の高い者か金持ちの女性ね。大学生位の歳かしら。メイドさんはメイド服を着ているから分かるわ。秋葉のナンチャッテコスプレメイドと違って本物のメイドね。


 4人は口をポカーンと開いていたわ。

 ハッとなった女性が片膝を付いたの。


「これは天より舞い降りし異界の方よ。よくぞ参られました。私はこの館の主であるサルベル王国第12王女のシャルル・アルベル・サルベルと申します。どうかシャルルと及び下さい」


 私は少しもじもじし始めたの。

 照れていると思ったかしら。

 意を決してトイレに行きたいと言おうとしたら、4号君もとい、とます君が発言をしたわ。


「お姫様?あのう、申し訳ないけど、トイレに行きたくてさっきから我慢していたから、トイレに行かせて欲しいんです!」


 ナイス!3号君に昇格よ!


「これは失礼しました。先ずは館の中にお入り下さい。小さな所で申し訳ありませんが。リシア、殿方を、ハンナは女性をそれぞれトイレに案内し、居間に通して。女性には私用を、殿方には来客用を。私はお茶の準備をさせておきますから。先ずは落ち着いてから事情を聞きましょう」


「畏まりました。お客様方はこちらに」


 小さい?そうかしら?2世帯住宅位の大きさよ。うわ!中は豪華ね。ちょっと派手過ぎやしない?

 取り敢えず女性はこの館の主が使うトイレに、男子は来客用のトイレへと案内されたわ。


 えっと、ちゃんと間に合ったわ。ふう。私がトイレを出ると和美も急いで入ったわね。


「さくらちゃん、無事で何より。危なかった!おしっこずっと我慢していたの」


「ごめんなさいね。それなら先に行かせてあげれば良かったわね」


「ここは何処なのかな?これから私達はどうなるのかな?私怖いわ」


「それをこれから確認しましょう!」


 トイレの後に居間に行ったけど、お茶の準備が出来たとの事で食堂に案内され、テーブルに座ったわ。軽く自己紹介をした後に、経緯やこの国の事等を伝えあったわ。


 召喚された事、騙されて奴隷にされた事、仲間の1人のスキルにより奴隷の主がその男になり、便宜上主人になるがそのままだとまた騙されて奴隷にされる事を防ぐ事が出来ると言われた事等々を、皆の補足説明を含め伝えたの。


 この国は小さい国で、面積は精々滋賀県位しかないようよ。

 大国であるクマーシャル王国と隣接する国で、その庇護下にあると。この町は王都なのだが、クマーシャル王国との国境に近いと。

 クマーシャル王国とは連合を組んでいて、この国は実質的な植民地らしく、クマーシャル王国に守られている。貿易が盛ん。本来1つの国だったけど、植民地として受け入れるならと独立し、王都は国境近くにさせられ、反抗が出来ないようにされているとか。事が起こってもクマーシャルの国境近くだからすぐに制圧できるかららしいわ。

 それに独立させたのは、隣国との緩衝地とし、無用な戦を防ぐ意図がある。


 等どざっくりと教えて貰ったわ。


 取り敢えず冒険者をする事を勧められたの。古来より異世界から来た勇者は魔物と戦う事を強いられるから、強くなるには冒険者をするのが1番だと。

 シャルルさんは私達を保護してくれるそうよ。客間を2つ使わせてくれるわ。有り難いわね。勿論男女別よ。

 それと皆の立ち位置や振る舞いからか、私がこの一行のリーダーとして扱われたの。冒険者パーティーは4〜6人が推奨だから丁度良いと言っていたわ。


 これからと明日も買い物をする事になったわ。近いうちに国王陛下に謁見し保護下に置いてもらう要請をする事に。


 取り敢えず体を休める事になったわ。


「シャルル殿下?何故・・・」


 手で制されたわ。


「シャルルとお呼び下さい。勇者様方に殿下や様付けをされるのは心苦しいですわ。それに私は殿下と呼ばれるのが嫌いなのですわ」


「ではシャルル、何故見も知らぬ私達に手を差し伸べでくれるのですか?お金もないのよ!」  


「さくら様・・・」


 私も手で制したわ。


「私がシャルルとお呼びするのですから、私の事もさくらとお呼び下さい」

 

「はっきりと言われるのですね。わたしさくらの事を気に入りましたわ。改めてさくら、宜しくお願いします。そうですね。軽るんずる者もいますが、古来より異世界から来た者は色々な奇跡を起こすと、国の発展に寄与してきたと伝えられております。ですから今は助ける立場ですが、いずれ倍返しをしてくれるものと期待しておりますの。それに、失礼ですが、お持ちの物、つまり異世界の物品は好事家が高値で買うと思いますから、いざとなればそれで当面過すお金位はすぐに作れるはずですわ」


 取り敢えず今日は冒険者をするのに最低でも必要な物を買いに行く事になったの。今着る服については、軽くサイズを測り、メイドさんが買いに行ってくれるわ。

 私達は冒険者をする服を買い、明日冒険者をする為の登録や、講習を受ける段取りをする事に。


 今日は執事さんが一緒に行くので、取り敢えず外に行く服を2〜3時間でメイドさんが用意すると。今の格好は目立ち過ぎるから着替えは必須。


 待ち時間は部屋で休むのだけど、私と和美はシャルルの部屋に呼ばれたわ。


「さくら、和美、失礼を承知で聞きますが、あの余人の中に想い人や恋人は居ますか?」 


「いえ。彼らは私へ想いを馳せてはいるようですが、ただの友達ですわ。聞いてください!誰も告白してこないの」


「なら良いのですが、誤解を招くかもですので、距離を置くか特定の 恋人を選びなさい。間違っても複数の殿方と恋人になったり、関係を持たないように」


 変な事を言うと思ったら、この世界、少なくとも大陸?は一夫多妻制で多夫一妻は禁忌とされており、女は悪女として殺され兼ねないと。 

 男が兵役や魔物との戦いで多く死に、婚姻出来る年齢だと1:3から1:4の男女比になっているのが現状。

 それもあり、穏やかでお人形のようなシャルルからきつい口調で言われたわ。それにしてもいるところにはいるもんね。上品で綺麗だわ。

 間違っても暑いからとスカートをパタパタして涼むなんてしないわよね。


 身分ある男は妻や妾にする女の事を、子を産む為の道具、下手をすると性的な欲求を満たす道具としか考えないから気を付けるようにと言われたの。白馬に乗った王子様というのが幻想だと知り、私と和美はショックを隠せなかったわ。

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