第100話 屋敷に連れ帰る
屋敷まであと少しというところまで来た時に、背負っている者の意識が戻ってきたようで呻き出した。
「ひ、姫様!」
俺に背負われた状態でキョロキョロしていた。流石に俺もふらつく。
「こら、危ないから動くんじゃない」
「な、なななななな!貴様なぜ私を!姫様をどうした!」
「ちょっとあんた黙んなさいよ。レオンが助けてあげた上に、その場に捨て置く訳にもいかないから無理に背負って安全な所へと運んであげているのよ。それに起きたのならとっとと降りなさいよ!」
その女性はさっと降りると俺の腕に抱かれている女性を見に行く。
「なっ!貴様姫様を手籠にしたのか!」
「ちょっと人の話を聞いている?その子レイプされ掛けていて、上着を破られた辺りで私達が助けたのよ。パンティーは剥ぎ取られていなかったから最後までやられていないはずよ。心配なのは分かるけど、今は黙りなさいよ!」
「みっちゃんが言うと説得力が無いなあ。それはともかく、ニーナのいる屋敷がすぐそこだから先ずは安全を確保しようぜ」
「分かったが、不埒な事をすればちょん切るからな!」
俺は背筋に寒気を覚えた。こいつ本当にやり兼ねないと。
胸が多少あるようだが、声は中性で見た目は男だが、この人は彼女と言われていたから女騎士?戦士か?
「女連れで他の女に不埒な事をする訳ないだろ!ほら行くぞ。歩けるんなら周りを警戒してくれよ」
今にも斬り掛かろうとしていたが、ハッとなり周りを警戒し始めた。面倒臭い事になってきた。暗がりだからよく分からないが、2人共精々20歳位迄の細く若い女性だ。顔は暗くてよく見えなかったが、今抱いている女性の胸は、そこそこ大きいからまず子供ではない。
姫様と言っていたから、どこぞの王族か?1番関わりたくなかった手合だ。
屋敷に着くと門番に誰何された。
「こんな時間に何用だ?」
「悪いが俺だ」
「失礼しました。お帰りなさいませ!」
「うん。警護有難う!」
女騎士?はきょとんとしていたが、俺の後ろをついてくる。みっちゃんは先に中に入り、アイリーン達を呼びに行く。
俺はメイドに告げる。
「こんな時間で悪いけど、客間を1室準備して欲しい。お願いね。取り敢えず2人で使って貰うから」
「すまない。この人達が着る服を用意するのに、取り敢えず皆が持っている服を提供して欲しい。これで足りるか分からないが、明日にでも代わりの服を買ってくれ」
俺はそう言うと、メイドの手にお金を少し握らせた。俺の認識は少しだったが、かなり多かったようだ。まだ、この世界のというか、国の金銭感覚が分かっていない。
「多過ぎますわ!」
「お釣りは服を出してくれた人達で分けてくれ。お礼のお金だから小遣いにでもしてね」
メイド達は急いで動いてくれた。
すると慌てたアイリーン、ニーナ、エンピアル達がみっちゃんと共に表れた。
「レオン、何があったの?それにこの方達は?」
「詳しくは後で話すけど、暴漢に襲われているところを助けたんだ。服を破られているから、なにか着せてやって欲しい。ニーナ、悪いけどこの子を俺のベットに運んでくれ。客間が準備出来たら客間に移そう」
俺はニーナに気絶した女性を託した。
「レオン、お前、この人が誰か分かっているのか?それにお前は見た事があるな?護衛だったか?」
「良かった!ニーナ様だ!お久し振りです」
「取り敢えず部屋に行こう!先ずはこの子を寝かせてやらないと。それと詳しい話をお互いにしたいぞ」
そうして皆ハッとなり、3階に向かった。
取り敢えず俺のベッドに寝かせ、執務室の応接に座り話を始めた。
「まず自己紹介からだな。冒険者パーティーレオーネのリーダーをしているレオンだ。ニーナも俺のパーティー員だ。また、俺はこの屋敷の主でもある。理由が分からないが、取り敢えず客人として俺の保護下に置かせてもらう」
次にニーナ、アイリーン、みっちゃんと順次軽く自己紹介をしていくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます