第17話 困った時のロープさん

 残念ながらラッキースケベは起こらず、30分位すると寝間着に着替えた瑞希ちゃんが出てきたけど、どうやら服や下着を洗っていたようだ。ほんのりと石鹸やシャンプー等の良い香りがする。石鹸まで持ってきていたんだ。へー!と俺は思っていたんだけど、瑞希ちゃんが困っていた。


「どうしたの?」


「あっ!うん。その、服とか下着を洗ったんですけど、干せないなあって。流石にロープとか紐なんて持っていないですよね?」


 俺はひょいっと出した。


「えっ!?なんでそんなのを持っているんですか!?」


「ほら、城の中を物色していたじゃない。その時に見掛けてさ、何かと使えるからと収納に入れていたんだ。悪い奴を縛るのにも良いかなぁって」


「あっ!ひょっとして盗賊とかやっつける感じですか?」


「そうそう。それ。異世界だとヒャッハーと唸るモヒカン野郎とか出そうじゃない。備えあれば憂いなし!ってそうだったね、紐を使えば洗濯物を干せるね。うん、俺も瑞希ちゃんみたいに風呂場で洗おうかな」


「はい。シャンプーとか洗濯用の洗剤を置いているので、使っちゃってください!」


「貴重品を使うのは申し訳ないなと思うけど、今日は遠慮なく使わせて貰うね」


 俺から石鹸の匂いとかした方が安心するかな?と思ったんだよね。


 だから俺も風呂に入り、先ずは湯船に浸かった。彼女が入っていたから先に体を温め、体と頭を洗って、お湯を一旦捨てて、魔道具にチャージしたよ。俺もパンパカパーンとなったんだよね。


 体に着いた石鹸やシャンプーを流してから、服やら下着を洗ったけど、何故か2L位の容器に入った柔軟剤入の液体洗剤が置いてあって、それを使って洗ったけど、よくこんな重いのを修学旅行に持ってきたよな!?と首を傾げていたんだ。


 そうそう、俺も洗濯物を干したけど、彼女は恥ずかしそうにしていたな。何せブラとパンティーが干されていたからね。白の大人しいデザインだったな。ブラを見ればカップがモロ分かるが、Dのようだ。奥様のより大きいぞ。着痩せするタイプのようだな。


「あ、あのう、恥ずかしいのであまり見ないで欲しいんです。その、下着も校則で決まっていて、学校で検査もされるんで、こんな子供みたいなのなんです」


 論点がおかしいが、お兄さんは中々好きだよ?清楚で良いじゃないか。黒も好きだけど、白はそそるよね!いかんいかん。ベクトルを変えよう。


「若い行員から聞いた事があるよ。ブラック校則ってやつだよね?」


「そうなんですよ!ちょっと聞いてくださいよ!」


 彼女はブラにレースの模様がついていたら駄目だとか嘆いていた。


「見てくださいよ!今時の高校生がこれってないですよね!?このブラも隠しポケットに無理やり隠して検査をパスしたんですよ!」


 そうぼやいて俺の目の前に、黒い大人っぽいデザインのブラを突き出してきた時には苦笑いをしたけど、ハッとなり鞄にしまっていたな。何か黒のブラを着けたアイリーンを想像してしまう。あかんあかん。雑念を捨てねば。


 アイリーンはあっ!と唸って逃げるようにして髪にブラシを掛けていた。話題に困ったなと思う。新人の行員とも話が続かないので食堂で困る事が多かったんだよね。可能な限り最近のドラマを見たりして、なるべく今のトレンドを把握しようとはしていたけど。そういえば怖くて聞けないけど、瑞希ちゃんの親の年齢と大して変わらないような気がするんだよね。そして俺も気恥かしさから、洗濯物のシワを直していたりしていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る