第16話 宿の部屋へ

 ここはギルドの受付嬢に教えられた宿だ。討伐した魔物のお金はかなりの高額となっており、気を利かせたのか高級宿を案内されていた。だが、この世界の金銭価値が分からない為、どういった宿を案内して貰ったのかについて、分からないまま来たのがこの空飛ぶウサギ亭だった。受付嬢に確認しておくんだったなと少し反省。宿の内装やスタッフの感じから、どうやらここは高級宿のようだと思った。 

 

 俺達の服装は一般人としては仕立ての良い服だったのも、高級宿を紹介された要因の1つだろうか。


 宿の人に言われたのが、一応部屋には風呂場が有るが、もしも魔力持ちなら魔道具に手をかざせばお湯が出ると。ただ、魔力持ちであっても大抵は洗面器に1〜2杯程度が限界だと。一応ゲージが有り、それを見ればどれだけの魔力がチャージ出来たか分かると言われていた。お湯は洗面器1杯は無料だが、それ以上は有料で、1杯につき銅貨2枚だと言われた。


 体も汚れたし、風呂に入りたいなと話しながら部屋の扉を開けた。12畳程の広さと中々の大きさだ。机とテーブル、椅子が2脚あり、作り付けのクローゼットがある。トイレは部屋にはなく、各階にある共用を使う。取り敢えずドアは内開きだったので、石を出して簡単には押し入られないようにした。

 そして浴室だが、そこには小さい浴槽というか、でかいタライが有り、それにお湯を貯めるようだ。 


 そしてクローゼットの前で上着を脱いでいると、2人同時に違和感に気が付いた。違和感の正体はベッドが1台のみだという事だ。ただ、キングサイズとかなりでかい。


 一瞬固まったが、問題を先送りにする事にした。取り敢えずベッドの上に寝間着が置いてあるのが確認できた。


「ふう。瑞希ちゃん、お風呂を見てみようか?」


「はい!」


 そうして先ずは瑞希ちゃんが魔道具?に手をかざすと、魔力チャージの状況を示すゲージがグングン進み、やがてパンパカパーン!と気の抜けるアラームが鳴り、チャージの完了を告げた。


 風呂場の作りは、1坪位で半分位が脱衣場となっており、浴室にはタライが置いてある。

 どうやらタライの中で体を洗うようで、一応お湯を貯められるように栓もあった。


 タライは直径1m、高さ60cmほどだ。一応カーテンがあり、なるべく脱衣場が濡れないようになっていた。浴室を確認するとお湯を張り始め、風呂場を出た。


 「あの」「えっと」


同時に声を掛けたが、アイリーンが俺にどうぞと促した。


「アイリーンの魔力でチャージしたから、先にお風呂に入ってね」


「は、はい。有り難うございます!」


 瑞希ちゃんは寝間着とバスタオル、鞄から替えの下着を出してそそくさと風呂場に入っていった。そして風呂場のドアを閉める時にニッコリと微笑んだ。


「覗いたら、めっ!ですよ!」


 小悪魔にしか見えなく、可愛くて破壊力抜群だった。勿論俺はそんなみっともない真似はしない。ラッキースケベを期待する!だけだ。


 さて、俺はアイリーンがお風呂に入っている間、覗き以外の何をしようかな。


 

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