第49話 ニーナはおっさんくさい
夜中にボリボリという何か擦れる音で目が覚めた。
どういう事か、2人はベッドをくっつけて使いたがった。どうやら俺が真ん中らしい。2人で話し合った結果、俺を挟んで寝るのだとか。アイリーンは腕にしがみついてくる。やはりこの異世界についてかなり不安のようだ。
今はほぼ同じ年齢の体だけど、残念ながらアイリーンは、お兄さんや父親が自分の事を守ってくれる、そんな家族が持つ感覚のようだ。だって一生守ってとか言っているしね。兄貴が妹を守ったりするし、勿論父親はそりゃあ子供を全力で守るよね。
少し異性としてアイリーンに惹かれているし、それとなく口説き言葉を入れているけど、全てスルーされているから、1人の異性としては見られていないようだ。ぐすん。
そして問題はこのおっさん臭い女だ。
最初はサバサバしている美人な姉御に見えたし、確かに見た目はすんばらしいけど、この人駄目な人だった。中身がおっさんだ。ある意味女の人だけど、やる事なす事、全ておっさんのそれだ。
夜中に目が覚めたのはニーナがパンツに手を突っ込み、おしりをボリボリかいている音だった。
色気が全く無い。多分乳首をぽろりしないと女を感じない。それに寝相も最悪だ。
ラッキースケベが起こっていても、そう思えないんだ。夜中に抱き着かれ、胸に顔が埋まっていて苦しくて目覚めたりするんだよ。下着姿にエロスがないんだ。まあ、パンティーじゃなく、トランクスだからね。アイリーン、教育を頼む・・・
そして朝は血圧が低いのか、寝起きが悪い。部屋にトイレがないが、下着姿のままトイレに行こうとするのでアイリーンと2人して全力で止めた事もある。
こんな綺麗な女性が再婚相手になったらな!と思った時期もありましたよ。今はそんな気にはなれないよね。はあ。アイリーンには男として見られていないし、せっかく美人と知り合えたと思ったら中身おっさんだし。こりゃあ、再婚相手が見つかるのにかなり時間が掛かりそうだな。
ニーナはおっさんくさいのと、少し子供っぽい所を除くと、凄腕の剣士であり、中級ヒーラーと頼れるお姉さんだ。でも少し抜けているから、腕の良い妹分になるんだよね。
アイリーンが最近俺からオッサン臭い所がなくなっていて、自分と同い年にしか感じないという。分かった!俺のオッサン臭い所がニーナに移ったんだ。なるほど。駄目やん!俺の所為でレディーが台無しなんて・・・
コホン。ニーナの教育はアイリーンに任せよう。
そんな事は置いといて、いよいよ王都だ。これまで高校生達と出くわしていないんだよね。飛ばされた国の王都に向かってくれると助かるけど。飛ばされたんじゃなくて、俺が飛ばしたんだけどね。
今のレオンが誰かに高校生の事を話したとしたら、こんな感じで話したであろう。
そうそう、ニーナは俺への対応とアイリーンへの対応が明らかに違い、アイリーンの言う事は大人しく聞いているが、俺に対してやけに饒舌なのはなぜだろう?まあ、気にしてはいけない。
そんな残念なニーナはともかく、乗合馬車にて王都を目指す事にした。流石に王都は上空から失礼します!は不味いらしい。なので無用なトラブルを避けるのに乗合馬車を選ぶ事になった。
この町からは概ね4〜5時間だそうで、乗客は馬車2台で18人。
同行者は護衛の冒険者や傭兵らしい。
この馬車は3人掛けのベンチが3列あり、扉は観音開きで進行方向左に扉がある。俺達はそちらから入りと奥に詰めていく。アイリーン、俺、ニーナの順だ。
異世界で初めて乗る馬車。ウキウキしていた時期が俺とアイリーンにもありました。
出発してから5分で2人共ダウン。アイリーンは吐き気を催してしまい、ニーナに手当てをされたり御者から酔い止めの薬を貰っており、何とか堪えていた。俺はと言うと、昔はジムカーナやラリー紛いの事をしていたんだ、多少バウンドしても酔わないさ!とあアイリーンを見て可哀想だなと思っていたらお尻が痛い。やたら痛い!痛いぞ!このままだと痔になるぞ!と思う程痛い。
ニーナが厚意から俺を両手に花にさせてくれたのではなく、この馬車の構造上、真ん中に座るのがきつくて、アイリーンにそんな思いをさせたくなくて俺を真ん中にしたらしい。そうして暫くの間、苦行としか思えない馬車に揺られるのであった。
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