第9話 無限収納5段階活用

・・・・・・・・・・・・・・・


 飛翔との組み合わせでの無限収納5段階活用だ。勿論栃朗の持論である。


1 大量の物を収納すべし!

  大量輸送が可能だ!

2 金庫として活用すべし!

  安全安心お金は大事!

3 上から岩等の物を落として攻撃せよ!

  落下速度を活かせばとんでもない威力になると知れ!大岩をジャンプして出せば即プレスだ!

4 時間停止を活用せよ!

  温かいものは温かいままだ!

5 不意打ちをせよ!

  走ってくる奴の目の前に槍等を出せば、向こうから来てくれたよ!で刺さるだろう!


 フラグ臭がするが、無限収納を使えると分かった時に栃朗はそのように考えていたのだ。今後はともかくとして今はこれしかないと。



・・・・・・・・・・・・・・・・


 そして早速その技を使う時が来た。


 1つ目の化け物が目の前いや、眼下にいて、俺の方を見て「グォー」と叫んでいた。


「さようなら!」


 1言発すると手を前にかざし、2番目に大きい岩を収納から出した。ドゴーン!凄まじい衝撃と振動が発生し、瑞希の体は少し浮いた。


「キャッ!」


 彼女は短い悲鳴をあげる。


 そして又もや謎メッセージが現れた。レベルアップした旨だった。


「よおし!瑞希ちゃん、お兄さんは出来る子だったようだよ!」


「なんですかその出来る子って?」


「ほらほら、今さ、1つ目の化け物を倒したっぽいでしょ!」


「またぺったんこ?」


「そうそう、そのぺったんこだね。だってさ、お兄さんがあんなんとまともに戦ったとして、倒す事が出来る訳ないやん。行けると思う?」


「私は怖かったよ。うん。普通の人、ううん。鉄砲でも持っていないと無理よね。うん!すごい!栃朗さん、いつの間にこんな事をするって考えたの?」


「うーん、ほら、あの時、スキルを得る端末でスキルを見ていた時にね。俺の腕っぷしじゃあ剣で戦うなんて無理無理!ってね。少なくとも人を守りながらじゃ無理だから、出来そうな事を考えていたんだよ!」


「凄いなぁ!やっぱり大人なんですね!。その、ずっと守ってください!」


「うん。俺が生きている限り守るけど、瑞希ちゃんも、いざという時に身を守れるようにしてね」


「死んじゃ嫌ですよ」


「万が一があるからさ。流れ弾とかさ。勿論ちゃんと歳食ってから老衰で死にたいけど、こればかりはね」


「そうだよね。うん。私も頑張る」 


「よし、そろそろ岩を退けてみようか」


 瑞希は嬉しかった。ずっと守ってくれると。そしてハッとなる。ずっとって、これじゃあ私からプロポーズしてOKされた感じだと。勿論今そんなつもりでお互い話していないけど、瑞希は栃朗の事を意識してしまう。助けられたのもあり、王子様!になりつつあった。白馬ではない、白魔だ。まるでマジシャンだから白馬に乗ったのとは違うのだ。


 岩を収納に入れるとやはり石が地面に埋まっていた。

 取り敢えず収納から出した剣で掘り起こす。先程のよりもかなり大きい。プラレールの車両位の大きさだった。


「おおぅ!大きいな。他はなんかないのかな?おっ?」


 何か金属?の輪のようなのが見えた。ほぼほぼ埋まっており、表面が僅かに見えた。


「瑞希ちゃん、これって何だと思う?」


「ブレスレットですか?めり込んでいますね!?」


「掘ってみるよ」


 魔石が埋まっていた場所から2m程離れた所に有った。


 剣を突き刺して周りの土を解していく。

 ふと思ったんだよね。なんで俺は剣で土をほりほりしとるんや?と


 呟いていたようで、瑞希ちゃんがジト目をしていた。やめてそれ!ドキドキするから。


「栃朗さんって天然さんですか?」


 へっ?と唸る


「だってなるべくしてなったんだと瑞希は思うんだよねー」


「ど、どういう事?」


「だって、あんな重たい岩でぺったんこさんをしたら、めり込んじゃいますよ?」


 確かにそうだが、この子天然だなぁとお兄さんは思ったんだよね。あの重さで押されたら普通はブレスレットなんてめり込まずに潰れるよ。

 それよりもこのブレスレットはどこから現れたのか?それにサイクロプスの死体が無い事に対して疑問に思わないのかな?


 多分ファンタジーモノでよくある、魔物は倒されると霧散し、魔石を残したり偶に魔石以外のドロップアイテムを残す。それだよな?と思うんだよね。瑞希ちゃんに突っ込むのは可哀想だから、落ち着いたら事にしようかな。取り出したブレスレットには緑色の宝石がちょこんと嵌っている。


「おお!ブレスレットだね。瑞希ちゃん、これはなんだろう?」


「栃朗さんに分からないのに、私に分かる訳がないと思いますよ?」


「ああ、鑑定して欲しいんだ」


「えっ?鑑定って?流石に高校生が宝石の鑑定なんて無理だと思いますよ?男の人よりは詳しいかもですけど・・・」 


「あっ!そっちじゃなくて、ほら、瑞希ちゃんは鑑定のスキルを取ったよね?それで見て欲しいんだ」


「いや~ん!もう、早く言ってくださいよ〜!じゃあ行きます!ピピピピピーっと」


 ?・・・・・固まってしまった。


「ちょっと、何か言ってくださいよ〜!これじゃあ私ってまるで痛い子じゃないですか!」


 いやいやいやいや、十分痛いよW。

 でも、可愛いのは正義だ!素晴らしいよ!うん。取り敢えずスルーしよう。


「えっと、それじゃあ何だったの?」


「あっはい。えっと、ウインドオブプロテクションですって」


「何か説明文とかない?もしあれば、お兄さんの方で判断するから、正確に読み上げてくれるかな?」


「はい。えーっとですね、装着者の魔力を糧にして、風属性の初級魔法を放つ事が出来る。また、装着者の防御力を5%アップする。以上です」


「折角だから瑞希ちゃんが着けてみるか。デザインも良さげだよね」


「えっ?これを私にですか?高そうですよ?」


「気に入らないならあれだけど、瑞希ちゃんは戦う術がないやろ?風魔法を使えるようだから、俺が前で、瑞希ちゃんが後ろから掩護とか出来ると思うんだよね」


「やっぱり私も戦わないと・・・ですよね ?・・・」


「否応なしにそうなると思うんだよね。出来れば戦いからは遠ざけたいけど、そんな甘い世界じゃないと思うんだよね」


「そう・・・ですよね・・・はい。では頂きます!」


 そうして瑞希ちゃんはブレスレットを装着するのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る