第5話 城がなくなる
直ぐに隣の部屋にいた神官2人が駆け寄ってきた。
ドアから入ってきたので、栃朗は即足を引っ掛けて転がした。
1人目の顔を押さえつけながらコントラクトと発すると、奴隷取得のアナウンスが入る。
〘奴隷147を獲得しました〙
「そいつを取り押さえろ!」
残りの1人に対して3人で取り押さえさせた。俺はすかさず顔に触れ、触れた途端にコントラクトと発した。
〘奴隷148を獲得しました〙
「瑞希ちゃん頼む!あの子達にこれは何かを手短に話してくれ。あと4分以内に皆を手と手を握った輪っか状にさせなきゃだ。そしたら俺が首輪を外す!」
瑞希は頷いた。
「時間がないの!皆騙されたのよ!この人を見て!これは奴隷の首輪よ!こちらの栃朗さんが外してくれるから言う事を聞いて」
「済まない。時間がないから一度痛い思いをしてもらう」
ぐぁ!と叫び声が聞こえた。
「時間がない。痛みの通りだ。奴隷の首輪から痛みを送った。これで君達を支配しようとしたようだ。だからこれを外して俺の奴隷扱いにする。これで別の者の奴隷落ちになる事は不可能だ。それと紋様が体のどこかに発生するが、条件は俺に敵対行為を取るなだけだ。もし俺が性的に何か要求したら拒否するのと自衛を認める。皆手を繋いで反対側の人が俺の手を繋ぐ形で、1つの輪っかを作れ!あと3分しかない。時間がない!」
皆涙を浮かべながらあっという間に輪っかが出来た。拙い説明だったが、何とか伝わったようだ。残り2分。
「チェンジングスレーブーション!」
皆の首輪が一斉に外れた。
「おい、お前!王女の説明の死ねば帰る事が出来るとか、首輪の事は嘘なのか?本当の事なのか?どうだ?」
「は、はい!嘘にございます」
俺は奴隷商?を取り押さえさせ、
チェンジングスレーブーションと唱えた。首輪を外し、奴隷契約を紋様で縛るタイプへ変更した。多分周りからは奴隷だとは分からないはずだ。
ここで時間切れだ。
「もう一度言う。召喚者以外で俺の奴隷となった、かつてお前の奴隷だった者達を、俺と別れた後に出来る限り速やかに奴隷から開放しろ。最低でも1ヶ月は生活出来るお金をちゃんと渡してな。その後は奴隷商以外の真っ当な商売をしろ!」
「は、はい。畏まりました。」
その間に瑞希ちゃんが皆に話しをしてくれていた。
「よし、お前は俺がこいつらに話す事が正しければ頷き、間違っていたら指摘しろ!俺の名は杉浦栃朗。ここから逃げないとだ。それとここでの死は本当の死だ。悪いが俺は1人を連れて逃げ延びる事位しか出来ない。だが、皆をこの国以外の他の国に飛ばす。人が多く居る安全な所に飛ばすつもりだ。その為のスキルを得た。君達はバラバラになるだろう!仲間を探すなりして生き延びてくれ。俺と瑞希さんは、君らを逃す為に茨の道を進まなければならない」
茨?自分で言っておいてだが不思議だった。
ドスン!ドスン!と扉を破ろうとしている音がする。
「どうやって生きろと言うんですか?」
気の強そうな1人の女子高生が聞いてきた。
「君らが得たスキルを使え!それと間違っても日本人同士で殺し合うなよ!扉が破られる!死にたくなかったら自らの才能で生きろ!手を繋ぐんだ!そして目を瞑れ」
この部屋のドアも破られる直前だった。
「お前らは俺を守れ。俺の姿が見えなくなったら冒険者をしながら俺を探せ!3日したら隣国にいる。取り敢えず隣国の王都を目指せ」
皆が手を繋いでいるのを確認したが、スキルを使うには上空に飛ばさなくてはならない。飛翔もだ。
その為に無限収納を取ったのだ。
床に手を付いて城全体をイメージし、収納する!と頭の中で念じると急に城の建物が消え、多くの人々がその場にいた。正確には地面にだ。
俺は急ぎ輪っかになっている左右の手を握った。そして俺以外の者に対して、この国ではない国でかつ、人の多くいる町の中で安全な場所をスキルに指示した。
「タウンドリフト!」
そうすると38名の高校生は上空に上がり、そして消えていった。高校生が消えた途端に5分が経過した。ギリギリのところだった。
周りを見ると俺の方に駆け寄る奴がいたので、こちらも急ぐ。次いで予め決めていた行動を取る。
瑞希ちゃんをお姫様抱っこすると、彼女は俺にしがみつく。
「飛翔」
口に出す必要は無いが、瑞希ちゃんには必要だ。
立ったままの姿でビューンと飛んでいる。眺めが良いな!
あっという間に町の上空を出たようだ。
「瑞希ちゃん、見てご覧!絶景だよ!」
「すごい!すごい!鳥みたいに飛んでいるのね!それよりお城が無くなっちゃったけど、大丈夫なんですか?」
「発狂するレベルだろうねぇ!」
「あっ!私って重くないですか?」
「軽い軽い!40kg台だろう?」
「は、はい。一応40kg台はキープしていますよ!」
直ぐに町を飛び越え、20分位飛んだかな?おっさん少し腕が痺れてきたんだよね・・・一応街道の上を飛んでいるんだけどね。おっ!岩場だ!あっ!もうおっさんじゃなかったな。
「少し休もうか?」
「あっはい。私も腕が痛くて」
俺達は岩場に降り立った。
「瑞希ちゃん、少し周りを警戒していて!」
「はーい!」
俺は瑞希ちゃんに警戒して貰いつつ、確認したい事があったからそれを見ていたんだよね!
ステータス!と思うと有った。
レベルとか経験値とか有るな。
それとあったあった。ぽちっとな!
「きゃっ!?なんですかこれ!?杉浦栃朗からパーティーへ誘われましたって頭の中に現れたの!栃朗さん?何かされたんですか?」
「おっ!出たか!受託しといてね!おうっ!よしよし!来たな!これで経験値は2人で半分こだね!うん。パーティーを組んだんだよ」
ゲームのような何かがあると思っていて、試したのだ。ドラクエリアル世代は伊達ではない。
彼女はキョトンとし、ジト目をするのであった。
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