第2話

 その夜はさすがに寂しかったわ。

 だって、ずーっと一緒にいたフレッドがいないのだもの。ベッドも冷たかった。そうするとね、昔のことを思い出して、フレッドが食欲だけの時は良かったなと思ったの。性欲なんてものを覚えたら、このあり様。


 2、3日は私から寝とった魔法使いがみんなに紹介するようにフレッドを連れ回していたの。あれは、辛かった。あの女、きっとこの天才の私から男を奪ったっていう勲章バッチをつけている気分だったに違いないわ。


 でも、それも3日まで。

 私は彼女には魔法を教えるのを止めたわ。誰かに魔法を教えるときも、魔法で彼女に教えることができない魔法をかけさせてもらうのに了承した魔法使いにしか魔法を教えないようにした。それと、まぁ、腹が立ったから、彼女から魔力の最大値を奪ったわ。私が育てたフレッドの分としてね。こんな魔法を使えるのも、私くらいだから誰もそのことに気づかなかったけどね。


 そして、フレッドも3日まで。

 私がかけた魔法もだけれど、ずぼらな彼は彼女がお風呂を提案しなかったからお風呂にも入らず、同じ服を着て、髭も生えて、臭くなり出したの。そしたら、彼女を含めて、彼の相手をする女性は誰もいなくなったわ。もちろん、私ももう知らない。彼に残されたのは食欲と、持て余した性欲だけになったみたい。まっ、貴方が磨けばダイヤのように美しいことは知っている女性もいるから、私のように磨こうとするかもしれないけれど、私ほどの魔力がある魔法使いにあったことはないし、それを魔法無しでやるとしたら、白衣の天使と呼んであげたいわ。


 ざまぁみろっ。

 スカッとはしたけれど、私の寂しい心はそのまま。冷たいベッドもそのまま。

 でもね、4日目くらいから状況は変わったわ。


 私が街を歩いていると、なんと、いろんな男性にアプローチをかけられたの。やったね。実は私のことに興味があって、フレッドから奪いたいと思っていた男性たちって多くいたみたいなんだけど、フレッドって結構口うるさい名家のところのお坊ちゃんで、勘当されたとはいえ、ちょっかいを出すとねちねち嫌がらせをするような御家だったらしくて、自分の家のことや、私の身を案じて声をかけられなかったんだって。きゃっ、照れちゃう。


 でも、フレッドは勘当されたままで、噂によると雪山に言って、本当の雪男になったとかなっていないとか。ドンマイ。まぁ、あの男のことはどーでもいいのよ。私の話ね。私、モテモテになったんだけど・・・・・・照れちゃって選べなかったの。


 そもそも、永遠の美を追求する魔法使いやってたり、美少年とはいえ、同い年の男の子をかいがいしく育ててその子と婚約するような私ですよ。そんないろんな男性から言い寄られても、ドキドキで嬉しいけど照れて逃げちゃいますよ。はい。


 そしたら、高嶺の花だなんて言って、今度は声かけづらい女になっちゃったみたいで町を歩いても視線は感じるけど、ほとんどの男性が声を掛けてくれなくて、声を掛けてくるのは、不純な男だけ。ちなみに不純っていうのがわかるのもフレッドの件で感知魔法をマスターした成果。そういう男を断っていたら、さらに高嶺の花だなんて言われて・・・。でも、自分から行ける勇気なんてなくて・・・うーん。

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