純愛

@umi_mer

第1話  彼女

あるところに美しい女性がいた。だがその女性は誰とも付き合うことはなかった。恋人も友人はたった一人を除いてはいなかった。

「柚木さんってなんで誰も寄せ付けないんだろうね。」

「さあね。嫌いなんじゃないの?人間」

そんな噂が会社に流れていることも彼女は知っていた。でも関わりを持つことはなかった。

柚木ゆづきさん!!おはよう。今日も頑張ろうね」

「・・・・・」

彼女は話しかけた彼を横目で見ながら無言で自分のデスクについた。

沢田さわだ先輩。優しいですよね。あんな無視されても話かけるなんて」

「柚木さんも話し返せばいいのに。なんでだろうね。まあ私たちが話しかけても無理だし沢田さんにも無理でしょ。」

彼女の声を聞いた者はこの会社にはいなかった。

「沢田君。この資料のここの間違い訂正お願いします。」

「えっ・・・話した!?柚木さんが」

周りは驚いていたが彼は驚きはしなかった。

「別に声が出ないわけじゃない。関わりたくないだけなんだけど」

彼女は小さな声でつぶやいた。しかし彼の耳には届いていた。

「そうなんだ。関わりたくないのはなんで?」

「・・・・!」

彼女は少し驚いたがすぐにいやそうな顔をしてまた自分の仕事に戻った。彼女が話したことにより会社は少しざわついたが気にとめることはないようだ。

「沢田先輩!!今日一緒にご飯食べに行きませんか??」

「ごめんね。今日は用事があるからまた今度行こうね。誘ってくれてありがとう。」

沢田は忘れ物に気づき会社に戻ってきた。そこには柚木がいた。

「うわっ!びっくりした。こんな遅くにどうしたの?」

「あなたこそこんな所にいても大丈夫なの?」

「ん??なんで?」

「誘われていたでしょ?ご飯」

「あーね・・・あんまり好きではないんだ」

「そう・・・・」

彼女は他の人には一切口を利かないのに彼には少しだけ話をする。なぜなら彼女は知っていたからだ彼が人をあんまり好きではないことを。

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