プロローグ 7
アナスタシアは 照準を
狙いは、腕の肘関節。手振れは射撃管制システムで抑えられる。限界までチャージされた砲身は、熱を帯びて灼熱の炎の様に光っていた。引き金から指を放す。空気の破裂音と共に徹甲弾を
装甲が少し歪んだだけだがそこを集中しして数発放つ。
そこからアナスタシアはセレクターを連射に切り替え、再度引き金を引いた。連射してる分さっきよりかは威力は劣る物の連射速度はまさに
装甲は、ボコボコに歪み内部の骨組みがむき出しになっている。肘関節はスパークを起こしており、アナスタシアは、あと一押しであることに確信が着いた。
しかし、それでも
突如、ヘルメット内に
『警告。小型飛翔体を検知。方位220』
特定された方位に目を向けると、ミサイルのようなものがこちらに接近していた。
...巡航ミサイル?それにしては、速度が少し遅すぎない?...
すると飛翔体のフレームが火花を散らしパージされ、中からは黒い球体がびっしりと埋まっていた。球体は、飛翔体からホーミング状に射出。それぞれが自立した軌道をとってアナスタシアに接近した。
「何んなのあれ!?」
『解析結果から、ミサイルの類と考えられます。一定の距離を保ちつつ迎撃することを推奨します。発射まで残り40秒』
サポートAIのシアは、淡々とそう告げる。
やむを得ず、球体に目標を定めた。
すべての球体にマーカーをつけると、射撃管制システムが自動で照準を定めてくれるので、引き金を引くだけある。
球体は発射を予測したのか。自立的軌道を取りつつも回避行動に入った。
アナスタシアは、即座に引き金を引いた。
迎撃すると球体は、ボン!という小規模爆発を起こした。連続して、鳴るその爆発はまるで花火の様だ。数が多い分、多少の弾幕気味になっては仕舞うものの、何とかすべて撃ち落とすと、いつの間にかレールガンの砲身が真っ赤になっている。
『-
銃身が展開され、排熱される。白い熱がモアモアと湧き上がった。
オーバーヒート中は射撃できないためその間を利用しマガジンを再装填する。
マガジンはあと一個だ。
『警告。ミサイル接近中』
「!?」
急激な警告からか、とっさに緊急回避を行った。後方からだ。数は4体。
「ぐうぅ!」
無理にスラスターを一気に吹かしたため、胸への圧迫感が苦しくなる。
しかし、ミサイルを検知したのが遅れたこともあり、回避しきれず左脚部スラスターに着弾した。
『左脚部スラスター損傷、左脚部スラスター損傷』
...まだいける!まだ!...
『-
レールガンのクールタイムが終了すると、残り三発のミサイルを撃ち墜とす。しかし、爆初の煙の中から、さっきと同じ黒い球体が次々と出現した。
レールガンで次々と倒していくも如何せん先ほどよりも圧倒的に数が多い。
アナスタシアは、最後の賭けに出た。レールガンの出力を限界にまで引き上げる。画面に映る球体をすべてマルチロックオンするとグリップが展開され支えている左手で握った。
『フルバーストモード、レディ』
そして、全身に力が入るのと同時に引き金を目いっぱい引いた。
「行っけーーーーーー!!!」
『ファイア』
サポートAI の音声をかき消すかのような、轟音が空間に響き渡った。弾丸は、まるで光の雨の如く解き放たれる。球体が横から集団で来ているのを確認すると、グリップを握ってる手で銃の横を押しつつ体全体でレールガンを薙ぎ払うかのように操作する。
「ぐぅーーー!」
その荒々しい反動はスーツの反動制御システムで何とか制御できている状態だ。球体の爆発音もその轟音によって次々と飲み込まれる。
『フルバーストモード、オフライン』
すべて打ち尽くすと、レールガンが再度クールタイムに入った。レーダーでも球体の存在は確認されていない。だがその反動は凄まじく、体への負担は尋常ではない。
「ハァ...ハァ...ハァ...」
アナスタシアは、呼吸を整える。口の中が鉄の味で一杯だ。弾薬尽きたレールガンを捨て、高周波ブレードを手に取ると
『エコー4!後ろだ!』
「え?」
咄嗟の掛け声に振り向こうとしたその時、ゴンッと何かがヘルメットに張り付いたのを感じた。手を伸ばして確認しようとした瞬間、アナスタシアの頭部が爆散した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ライモンは、堕ちていくアナスタシアを見た。ヘルメットに引っ付いた球体から、爆弾の類であることが理解できた。戦闘のさなか仲間が先に逝ったことに対してライモンは、顔が曇った。
「クソ!!エコー1、エコー4がロスト、エコー4が殺られた!」
『落ち着け!まだ30秒ある。諦めるな!』
二人は、現在40体近くの
ライモンは、迫りくる銃弾、剣撃をまるで空中を跳ねるかのように躱していく。各スラスターをの出力を己の感覚のみで、調節し複雑な軌道を可能としているのだ。
剣撃が振り下ろされる瞬間にフラッシュを放った。その一瞬だけ動きが鈍ったのを見逃さなかった。急激な加速をかけて一気に
直撃すると関節部が炎を噴く様に爆散した。
素早く動き、相手の動きに合わせて、適切に対応し一瞬の隙をついて弱点を一気に叩く。そうもしなければ、勝てる相手ではない。
『警告、前方より
..4体だと?!...嫌な予感しかしねぇ...
ライモンは、疑問と悪寒を同時に感じた。
『警告。ロックオンされています』
咄嗟に体が横へ動いた。すると、前方から爆煙を吹き飛ばして何かが横を通過していった。
発射源を確認すると
『
「分かってる!」
...
前期大戦で宇宙から地下施設を爆撃するために使用された地下拠点制圧用兵器。
...ちっ!こんなのを小型化してんのかよ!...
本来の使用用途とは、異なる物を空間戦で持ってくるなんてどうかしている。
しかも、初速
『エコー2用心しろよ!あれの威力は、俺達が一番よく知っているはずだ』
「分かってます。”オールラウンダー”の実力あてにさせてもらます」
...懐かしいな...
宗一郎は、その言葉にむず痒くなった。昔のコードネームを言われるは、いつ以来だろうか。
『”ポイントマン”ここからは、パーティータイムだ。派手に踊ろうじゃないか』
「了解!」
2人は、息を合わせると同時にスラスターを吹かした。爆発的な加速を背に全身に力が入った。あっという間に、
『警告。敵にロックされています』
...ここだ!...
フライトユニット付属ミサイルポッドを全弾発射。しかし、
だが、ミサイルが爆発すると黒い煙ではなく白い煙がそこら一体を包み込んだ。
そんな中、内1体が爆散した。残り3体は危機察知するとスモークからすぐに離脱する。
「あめぇよ!!」
スモークから抜け出した瞬間、宗一郎がヒートソードを片手に切りかかった。
そして迎撃する間もなく、1体は真っ二つに切り裂かれる。
...二つ目!...
残り2体は、ライモンを捉えると
バレルロールして回避行動をとるが、弾頭がフライトユニットを掠める。その衝撃は凄まじく、掠っただけでフライトユニットの主翼が吹き飛び、スーツ全体にまでダメージが響いてしまうほどだ。
バランスを崩す前にすぐにフライトユニットを切り離すと、左前腕部からアンカーを射出した。アンカーは
そして追撃を仕掛けようと加速の姿勢をとった時、違和感と悪寒が同時に襲った。
再度
「!?」
『エコー2!』
初撃を横っ飛びで何とか躱した。しかし、空間振動でバランスがぶれライフルが吹き飛んだ。
再度、
瞬間ライモンの上半身が吹き飛んだ。
1秒だ。たった1秒で起こったのだ。
宗一郎は全身から汗がブワッと噴き出た。
...こいつ、対応したのか!?...
情報が不足している分確証したとは言い難いがここ数回の戦闘で急激な成長は見たことがない。実際それはないはずだ。
『発射まで残り時間10秒です』
...やるしかねぇか...
「
10秒もかからずに仕留めるしかない。そう判断すると、確実に倒すためにはスーツの
「ふん!」
メインスラスターに、エネルギーが集中する。ブーストする際、世界がスローモーションになる感覚が来た。そこから、一瞬の内にして自分の間合いに入る。
ヒートサーベルを一気に振り下ろす。しかし、空中に浮いたのは腕だ。
...後ろ!...
レーダーよりも先に数多の戦闘経験で培った感覚で、相手の行動は予測が着いた。
振り様にレールガンを構える。ガツンと銃口が腹部に当たった。
直ぐに引き金を引こうとした瞬間、
「ちぃ!」
弾切れのレールガンを手放すと、ヒートサーベルをもう片方展開し、切りかかる。
「はぁ!!」
両方の剣が交じり合う、そう思っていた。しかし、勝負は一瞬にして終わりを告げてしまった。
振り下ろされた双牙のヒートサーベルは、
ゴフォッ!
モニターが血で一杯に染まり肉の焼ける匂いが鼻をツンとする。何が起こったかわからなかった。自分の渾身の一撃が通用しなかったのだろうが、この短期間にこれだけの反応速度は尋常ではない。
「バ....ケ...モ..ノ......め」
返り血を浴びたそのモノアイは、まるで血を欲するかのような死神の如く赤黒く発光した。
宗一郎は、リフトから発射されたラビロンを横目に息を引き取った。
この戦闘における死者の数は90名。各隊共に全滅である。そしてこれが、誰もが予想しなかった、最悪のシナリオの幕が開けたのだった。
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