プロローグ 5
クソ!当あたれ!
マクマードは、内心悪態を付きながらも目の前の
最後は躍起になってフライトユニットの両脇にに搭載されているミサイルポットを発射した。
『着弾。撃墜確認』
「はぁ...はぁ...はぁ...、今ので6機目」
「ノア、敵残存は?」
『レーダーから、
戦術強化兵には、一人に付き一つ高性能サポートAIが設けられている。ノアに索敵を任せつつ息を整える。
『後方より、熱源接近。IFFに該当あり。
振り向くとそこには、3人の戦術強化兵が向かってきていた。
見た限り、各部に複数の被弾箇所がある。
『エコー7、生きてるか』
「生きてます。なんとか」
『こっちに、合流しろ。単身では危険だ』
「了解」
マクマードは、3人の背後についた。
『前方に複数の熱源を確認。識別反応からして
『確認した。エコー7、遅れるなよ』
「了解」
4人は、そのまま空域に散らばった
ライモンは
AG5に備え付けられているグレネードランチャーで回避パターンを予測し
直前に右腕を切り離したことで直撃を防いだか...
『ナイス』
『いえいえ』
安心しているのもつかの間に、後ろから2体の
...凄い!跳弾を利用したのか...
発砲していた
『警告。複数の
レーダーでも確認できた。60体ぐらいだろう。
『了解、確認した。さぁ、お遊戯の時間だ』
ライモンが敵を陽動し、隙を狙ってアナスタシアとリュウが仕留めにかかる。マクマードは、その3人の援護だ。AG5を構え敵を援護を開始する。
...目標をロックして、
背部高出力レーザー砲とAG5を駆使して敵を、墜としていく。
数が多い分1人で3人の援護は、容易ではない。それでも、ついて行けるのは、3人ののおかげだ。なぜなら、
...練度は他の部隊より群を抜いて高いですね...
『まだまだ!』
迫る敵は、みるみる3人の餌食になっていく。まるで、3人で一つの生き物のように、動いている。援護しているはずのこちらも必要ないといわんばかりの手際の良さだ。特に、リュウは小柄な体系にもかかわらず、盾の角度をずらし弾丸をそらして敵に当てるなんて芸当をするあたりは本当に20歳と疑うレベルの練度だ。
『またあの3人だ。これで54機目!』
『おい、お前ら!こっちもエコーに負けてられないぞ!』
無線での声からして他の部隊も、士気が高まってきている。
『敵損耗率75%。
そんな中、上からの砲撃で前方から接近していたレイヴン4機がまとめて爆散した。
『こちらエコー1。4人とも全員生きてるな、よし』
『隊長。今までどこにいたんですか?』
『フラッド1が集中砲火を浴びていたからな。そっちに取り掛かっていたんだ』
『まさか一人で?』
『まあな』
『死ぬ気ですか!』
『安心しろ。お前らが束にかかってきても俺には勝てんから』
『それは、分かってますけど。他の二人、ザナックとガイルはどこです?』
あたりを見回してもどこにもいない。今呼ばれた二人はエコー隊の隊員である。先ほどまで一緒にいたはずだが、
『最初の攻撃で、逝ったよ。直撃だった』
『!?』
リュウは、仲間の戦死報告に俯く。お調子者で有名な二人組だったとはいえ、仲間がいなくなるのは彼女にとって、とても辛いものだ。
『辛いのはわかる。だが、悲しむのは戦争が終わってからにしろ』
『了解です』
『アージー。敵損耗率は?』
『敵損耗率、90%です。母艦ラビロンより入電。リフト射出1分前、これより
...通信方法が変わった?通常は、オペレーターを通してくるはずだが...
木下はハッとなって、何かに気づいた。
『クシフォスはどこだ!』
あたりを見渡してもどこにもいない。普通あの巨体ならすぐ見つかるはずだが。戦闘に集中していて、レーダーにも反応がなかったため気づかなかったのだ。
『各員レーダーを同調させろ。探すんだ!』
各自それぞれのレーダーを同調することで広域索敵と解析を行った。しかし何度スキャニングするも自分達のレーダーでは発見できなかった。
『駄目だ、レーダーに反応がない』
『エコー6。そっちの複合センサーを併用して、見つけられるか?』
『やってみます』
アナスタシアは、対ステルス用全方位スキャンを開始した。
レーダーからは、やけにスキャニングにぶれがある箇所を発見した。
そこに、サポートAIのシスクで詳細解析を行う。
『見つけました。場所は
『クソ!急げ!』
そうして宗一郎が、防衛に向かおうとした次の瞬間、
『高熱源体接近』
『!?』
直上から高熱線が、
『離れろ。巻き込まれるぞ』
損傷部からスパークを発すると
「ぐっ」
爆風と高熱に耐えるも苦し紛れに声が唸った。すぐさま、スラスターを吹かし、後ろへ下がった。宗一郎は、なんとか爆炎から抜け出すと、レーダーとヘルメットに備わってる対人センサーを使用して、周囲の状況確認を行った。しかし、誰一人反応がなかった。衝撃でレーダーが故障したか?
『エコー隊、各員応答せよ。リキッド隊、クライム隊応答せよ』
無線で応答するも返事もない。
『システム損傷、サブプログラム起動します』
レーダーが起動した。サブプログラムが起動し損傷した部分を補ってくれたのだ。多少のブレはあるものの各員の場所を割り出すことができた。しかし、リキッド隊とクライム隊は、信号が消えていた。全滅だった。
...よしまだ生きてるな...
『エコー隊、応答せよ』
『ゴホッゴホッ、エコー2、生きてます』
『エコー2、状況報告してくれ』
呼吸がしにくい。爆発の影響で、肺から強制的に空気が抜けたのだ。ライモンは、システムチェックをすると、左足のスラスターとメインスラスターの出力が安定しないのを確認した。出力を補うためにフライトユニットで何とかバランスをとる。
『リアクターが損傷した。出力が上がらない』
『いけるか?』
『まだ戦えます』
すると他からも無線がつながった。
『こちらエコー6、動けます』
『エコー4、健在です。こちらはライフル以外の武装をやられました』
よし、後は
『エコー7、応答せよ』
『ハァ...ハァ...ハァ...、こちらエコー7』
『マクマード、大丈夫か?』
『左腕と腹部を損傷しました』
徐々に煙が晴れてきてマクマードの姿が確認できた。しかし、姿はとてもひどいものだった。破片が
宗一郎は彼に一つ問いた。
『マクマード行けそうか?』
『ハァ...ハァ...、覚悟は....できて......ます』
マクマードは、意識が飛びそうになるのをこらえる。
その声は、出撃前よりもとても重く強いものだった。
『わかった。頼むぞ』
宗一郎はそういうと全員に無線をつないだ。
『全員わかっていると思うが、俺達はこの作戦で死ぬ。だが、この作戦が人類に対して今後どのような意味を持つのか、それは全員が理解していることだろう。だから俺からは、言えることは一つだ。”最後まで信じて任務を全うせよ”』
『『『了解』』』
突如、ヘルメットに
『警告。粒子リフトによる高熱源体接近中。総数50体』
振り向くと、上空から粒子リフトで続々と現れること機影を確認した。
『解析完了。N-10です』
『クソ!サイクロプスだ!』
サイクロプスは宗一郎達を捕捉するとエレクトロライフルを構えた。
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