殺戮兵器としてメチャクチャ恐れられていた俺、クソザコナメクジなお嬢様の護衛になる~多分コレは恋の物語~

常闇の霊夜

最弱との遭遇


「あ゛ぁ゛?!今俺の名前をバカにしやがったか?」


「いえ!そ、そんなことは……」


「確かに聞いたんだよなぁ!この俺の名前が女々しいってぇ!?」


「うわぁ……アレが『安達太良あだたら』先輩か。流石にアレはやりすぎじゃないの?」


「安達太良先輩は基本的に本名で呼ばれる事嫌ってんだよ。マジで容赦なくボコボコにするからな。この前なんか、よく知らんが奴の逆鱗に触れたヤクザグループを一家まとめて全員警察に送り飛ばしたって話だぜ?」


二十年前、俺がこの世に生を受けた日。俺の名前は『瑠莉奈ルリナ』と名付けられた。いくら何でも女々しいとは思わないか?いや俺は母さんの結論に文句を言う訳じゃ無い。……単純にウチの両親が付けた名前をバカにする奴が嫌いなんだよ。


「二度と俺の名前で笑うんじゃねぇぞ」


「はいぃ」


今度バカにしたら二度と口きけないようにしてやるからな……。まぁいいか、しかしもうすぐ高校も卒業か。なんだか早い様な短いような。それは良いや、さて今日も今日とてバイトの時間だ。


「うーっすバイトです」


「店長!?この人誰です!?」


「バイトだ、昨日変な奴が皿を壊しまくったせいでひどい目にあったからな」


「いやだからってなんでこんな、ってなんだぁ?!」


俺の能力、『万物製造』は文字通り万物製造を製造できる能力だ。マジで何でも作れるよ。この程度の皿とかなら余裕で量産出来る。そして生成できるものは一旦生成してしまえばぶっ壊れるまで使う事が出来る。


試してないけど十年くらいなら平気で使えるんじゃないかな。そこまで持たせた物無いけど。


「はい、えー皿ニ十個、コップ十五個、追加で食器類も含めて……諸々で五万ね」


「まいど悪いね。この辺治安悪いから」


「今度からは護衛付けた方がいいんじゃねぇの?」


「それも検討だな」


そしてこの能力、デメリットはほぼない。作りすぎるとちょっと疲れる程度であり、特に体積を消費する訳でも、なんか体が悪くなる訳でも無い。だからって無駄に使う気はないけどな。


「五万か、何に使うかな」


「あの……」


「ん?」


何に使うか考えてたんだが、そんな俺の前に何かちっこい奴が現れた。小動物的な奴だ。まるで太陽と言うモノを浴びていないのか、肌はアルビノ的であまりにも弱そうな奴が、俺の目の前に現れた。


「すみません、ここはどこでしょうか」


「あー。地図で言うならここだ」


「……ちず?」


キミ地図知らない系の人?いくら何でも地図を知らないってのは流石にちょっと、ねぇ何?えっどういう事?キミ箱入り娘って奴なのか?


「まぁなんにせよ名前は?」


「わ、私は、『福音ふくね』です。えっと、帰らないとみんな困ります」


福音ねぇ。なんか知らんが可愛い奴だな。完全に小動物的な可愛いだが。しかし箱入り娘となると、そろそろ護衛が来てもいいところなんだが。全然来ねぇじゃねぇか。どうなってんだ。


「護衛の人いる?」


「ごえい?周りにいる人ですか?」


「あーうん、そう」


「これを鳴らすと人が来ます」


一応携帯は持ってたんだねキミ。さっきから凄い音してたけどこれかぁ。まぁとにかく電話するとして……


「おーい来たぞって何!?」


「助けてください!」


「ワァ捕まってる!」


「しまった!盾我クンもいないのにどうすれば……!?」


ちょっと目を離した隙に白昼堂々誘拐仕様としてる奴がいる!まぁ誘拐して金をふんだくる気なんだろうな。こいつらの目的は。んじゃ助けてやるか、ちょっとは関わった仲だからな。


「へっへー!オラオラさっさと車に乗せちまいな!おっとお前ら動くんじゃねぇぞ動いたらこのお嬢ちゃんを痛めつけるからな?」


「成程手が出せないって訳だ」


「その通りだ!オラオラ早ぐえぇっ!?」


「じゃ手を出しますね」


俺の肩から拳を作って殴る!はいこれで一人目始末した、んじゃ次!既にこっちは作成完了してるんだよな!食らえゴム銃!


「ぐわぁ!」


「なっこの野郎ぉ」


残った一人は顔面ぶん殴って終わり!んじゃお嬢様救出してね。後は警察に任せちゃいましょ。俺関係ないってーの。


「で、大丈夫かよ?」


「え……は、はい!」


「そうか。んじゃ帰んな。また捕まるぞ」


さてと、これからどうするかなぁーっと。もう帰る以外にやることないんだよね。適当に飯屋寄って帰るか?


「この度は本当にありがとうございました!なんとお礼を言えばいいのやら……」


「いやお礼……は、欲しいけど。ところで護衛とかいないの?」


「護衛はいるのですが、今日は非番だったのです。流石に毎日護衛となるとお嬢様も窮屈そうですし……」


「どんな奴かは知らんが、確かに常に隣に誰かいるのってきついしな」


「……そこで、折り入ってお願いがございます。どうかお嬢様の護衛として働いてはいただけないでしょうか」


……え?マジで?いや別に問題はないけどさ、いいの?俺不良ぞ?悪い奴ぞ?ダメそうだぞー?


「ま、確かにこの能力は持て余してたからな。んじゃやってやるよ護衛の仕事!」


「ありがとうございます……!では一度お嬢様の家に向かいます。こちらの車にどうぞ」


いやー……なんか凄いリムジンじゃん。VIP待遇って感じ?怖いねなんか。とは言えあのお嬢様は可愛かったし、守るにしても問題は無いよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る