71『宵の明星』
【#オンライブフェスDAY2】3D Live Stage【オンライブ公式】
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◇
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【もう何度言ったか分からんけど現地民いいなぁ】
【会場の盛り上がりがエグすぎる】
【月一で開催しろ】
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【因幡今回は転ばなくてえらいぞー】
【THEY'RE ALL AMAZING!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!】
【一曲目から最高かよ…】
『──はいっ、というわけで! ここでスペシャルゲストのみんなに登場してもらうよ!!』
一期生みんなで歌う一曲目が終わり、会場の盛り上がりと期待感が最高潮に達した頃。ステージから観客席を見渡した
【スペシャルゲスト??】
【ゲスト!?!】
【誰だ…?】
【みんなってことは…?】
初めて配信をした時と同じく…いや、今回はそれよりも更に豪華になったプロモーションビデオが流れる。てかなんで先輩達差し置いてオレが最初なんだよ!? そう、桜ちゃんが今「みんな」と言った通り、幸いなことに今回はオレと同じようにいきなりステージへぶち込まれる仲間がいるのだ。二期生の
【このPVはまさか!】
【流れ星くん!!流れ星くんじゃないか!!】
【あれなんか見覚えのある流れ星だなぁ!?】
【嘘やろお前!!】
落ちてくる沢山の流れ星は暗くなった会場を照らしては消え、照らしては消え…そして最後に一際強い輝きを放つ星が落ちてきた。さっき、ほんっっとうにさっき
星がステージに落ちると同時に合図が出る。今だっ!
『よっ! …と、ととっ!?』
ぴょこんとジャンプして見事着地に失敗する。ついでによろけたばかりか、そのまま尻もちまでついてしまった。
(は、恥ずかしすぎる…!)
服の上から付けていた機械の類は特に壊れたりはしてないようで大丈夫そう…そう、大丈夫、大丈夫だと現状から努めて目を逸らしつつ、立ち上がろうとするが…
ワアァアアァア!!!!
『ひえっ』
…鳴り響く大歓声に驚いて腰を抜かしてしまった。えっ、なに、何事!? オレ今出てきて転んだだけなんだけど!? なんか盛り上がる要素あります!??
そのまま呆然と会場が映し出された画面を見つめていると「あかり」と声をかけられた。いつの間にやら隣まで来ていたらしい
『あっ、ありがとうございます…』
『のーぷろぶれむ。最高にあかりらしい登場の仕方だった』
『だね。あかりさんならやってくれると信じていたよ』
『わ、分かります…わ、私も今日何度も転んじゃって…』
他の一期生の先輩達まで集まってきてしまった。司会進行役をしてくれている桜ちゃんに助けて! と目線を送る。するとドヤ顔とともにウインクが返ってきた。オレの気持ちが通じたらしい。さすが桜ちゃん!
『はい、あかりちゃん…まずは今の気持ちとか聞いてもいいかなー?』
『え゛っ!?』
と安心したのも束の間。なぜかインタビューが始まってしまった。ちょっと桜ちゃん!?!?
【すごいわちゃわちゃ動くな宵ぃ!!】
【いちいちリアクション大きくて可愛すぎるだろ】
【どことは言わんがめっちゃ揺れるなぁ】
【ある一部分がデカすぎる】
【デカすぎるがちっちゃい】
【この様子だと宵は今回の事何も知らされてなさそうだな??】
【またしても何も知らない宵あかりさん】
【こいついつも何も知らされてないな】
【とりあえずなんか言え】
コメントからも会場からも聞こえてくる【さっさとなんか言え】という声。ほんまこいつらはよぉ…!
…もういいや、とりあえず率直に思っていたことを言うとしよう。
『え、と…スパッツでちょっと残念だったなぁ、と』
『…えっ??』
『ええっ??』
『ぶふっ…!?』
『わかる…』
【は??】
【あのさぁ…】
【いきなり何言ってんだこいつ】
【スイッチ入ってきたな】
【もしかしてまだ酔ってらっしゃる??】
【いざな大笑いしてて草】
【ツボりましたねこれは…】
【永遠さんはさぁ…際限なく甘やかす人??】
【いや永遠さんは素で同意してるな…】
【うちの宵がご迷惑を…】
さっき転んだ時、画面見たら偶然見えちゃったんだよね。パンツではなくスパッツだったのが。まぁこんだけスカートが短ければそりゃスパッツだよねって感じではあるが、それでももう少し攻めて欲しかった感じはある。
『そこは今後のアップデートに乞うご期待。ちなみに私のワンピースの下は…』
『わーわー!! ちょっとハル!!』
『ふーふー…ぶふっ、あーだめだちょっと、ちょっとマイクオフにさせて…ふふ…』
『だ、大丈夫ですか、
『なー、そろそろ出てもいいか??』
『わっ!? も、もうちょっとだけ待っててね竜乃ちゃん…あっ!?』
【草】
【竜乃ちゃん!?】
【二人目は竜乃姐か!】
【桜ちゃん…】
【いやこれは桜ちゃんは悪くないよ】
【宵が悪い】
【宵、詫びこんよいよい頼む…】
『オレ別に悪くないだろ! …あーもう分かったよ! ん、ん゛ん! みんな、こんよいよーいっ!』
会場のバカみたいな(直球)こんよいよいコールの勢いに負けてこんよいよいを半ば叫ぶように言う。こいつらほんとこんよいよい好きだな!
そんなことしているうちに次の準備が整ったのか、再度会場が暗くなった。映し出されたのはどこまでも広がる大空。そこへ現れたのは巨大な竜だった。大きく咆哮を上げると、数多ある鱗から光が溢れ出し、竜を包む。光が収まると、そこには天空竜乃先輩が立っていた。
『スペシャルゲスト二人目っ! 天空竜乃ちゃんです!』
『よぉ、みんな。久しぶりに本当の姿で空を飛べて楽しかったぜ。今日はよろしくな!』
【竜乃姐!!!】
【クソデカドラゴンすき】
【さすが竜乃姐は堂々としとる】
さすがは先輩、盛り上げ方がとても上手い。オレとは違い、会場の大歓声にも腰を抜かすどころか正面から受け止めていた。
『それじゃあ竜乃ちゃんにも今の感想を…』
『それもいいが先輩。さっさとお姫様も呼んじまおうぜ。ほら来いよ、ミラ!』
『ふふ、竜乃ちゃんたら…はぁい、すぐ行きますね♡』
次に映し出されたのは巨大な城門。それが開かれるとそこにはその門など比較にならないほど大きな、真っ白なお城があった。玉座へ向かうもそこには誰もいない。しかしその部屋から見える花畑へ目を向けると、そこには悪戯っぽく微笑みながらこちらを見つめる彼女の姿があった。
『今はもはや記憶にのみある王城の姿…また見れて嬉しく思います──ご機嫌よう、皆様、ミラ・エインズワースです』
【ミラ様来た!!!】
【ミラ様本当にお姫様だったんだ…】
【竜乃姐なんやかんやでミラ様のこと好きよね】
【Her curtesy is beautiful. Very natural】
スカートを軽く持ち上げながら、優雅に挨拶をするミラ様。ふつくしい…すごく3Dを活かせている。天空先輩と同様、元の設定を守った挨拶もいいね…二人ともプロだなぁと思う。
『今日のスペシャルゲストはこの三人だよ。もちろん、今後も3Dのメンバーはどんどん増えていって、最終的には全員に実装される予定だから安心してね!』
『あれっ私の台詞!?』
『みんな待ちきれないみたいだし、全員が揃ったところでライブを再開しちゃうよ!』
『それも私の台詞だよ!? あとハルは物真似しないで! 最近似過ぎてて分からなくなりつつあるから!』
【俺の推しもいずれは…!】
【実装確約ありがたい…】
【毎秒3D化していけ】
【もう偽桜ちゃんと言うのすら憚られるクオリティ】
今日ステージへ上がる全員が出揃ったところで、早速ライブに戻るようだ。まぁ歌うとしてもオレの出番はまだ先だろうし、とりあえずは壁になっているとしよう。…先輩達の勇姿をゼロ距離で見れるとか今考えるとヤバいな??
(…いきなりステージにぶち込まれた時はどうなることかと思ったけど…)
凄いものを一気にワッと見せられ過ぎて麻痺してしまったのか、ステージ上にも関わらずそんなことを考える余裕が戻ってきたらしい。
となればちょっと横にズレつつ、気配を消してフェードアウトを…
『準備はいい? あかり』
…なんて上手くいかないのが世の中である。登場した時と同じく歌うのもどうやらオレが初手らしい。永遠さんがそんなことを言ってきた。…良いものを見せてもらった、あるいはこれから見せてもらうための対価として歌うと考えれば少しだけ前向きになれそうだ。本当に少しだけだけど!
『何を歌えば…あっ、ま、またオレが選んでいい感じですか…?』
『今回は決まってる。そのために練習もしてきた。ちなみにこの歌』
『はい??』
永遠さんがそう言うと流れてくるBGMは、まったくオレに馴染みがないもの…というか、たぶん初めて聞く歌だった。…いや待て待て待て!?!?!
『いやっ!? いきなり言われても歌えないですよ!!?』
なんならオレこの歌初めて聞いたんですけど!?
自分でも驚くくらい大声が出た。そりゃそうだよ必死なんだもん! 歌うのは覚悟したけど初見の歌とは聞いてない! てかなんで永遠さんはちゃんと練習してるんだよ!
…が、しかし。オレの過去最高に必死な言葉も虚しく…返ってきたのは永遠さんと桜ちゃん二人の「あー分かってる分かってる」みたいな感じの微笑みだった。
『あかりに負けないよう頑張る』
それだけ言うと永遠さんは用意されていたピアノの前に座ってしまう。他の先輩達にも助けを求めるが、観念しろと言わんばかりに頷かれてしまった。唯一、
まぁそれはそれとして。
『せっ、せめて歌詞! 歌詞を!』
『えっ?? うーん、スタッフさーん!』
もう歌うしかないということは理解した。いつも通り逃げ道もないってことも! でも歌うにしても最低限歌詞は必要だ。あれば初見でも歌えるってわけじゃないが、なかったら初見じゃまずどうしようもない。
少し待っていると、スタッフさんが会場を映しているディスプレイ達とは別に、もう一つディスプレイを持ってきてくれた。カラオケのように歌詞が表示されるようになっている。これならなんとかなる…いや無理だろ! と内心で二転三転していると、永遠さんが
『いくよ』
と、短く言って、ピアノを弾き始めた。ついでに会場も暗くなった。……えっ、開始!? もう開始ですか!!?
(もぉおぉお!! 嘘だろちくしょう!!)
流れる歌詞を頼りに、覚束ないながらもなんとか歌い始める。そしてワンフレーズ、ツーフレーズと進むごとに、気がつく。
(あれ…オレ、普通に歌えてる…?)
一応歌詞が表示してあるとはいえ、おそらくは完全初見な歌を…? もしやどっかで聞いたことあったのか…? …そういえば歌祭りの時に歌った歌も、初めての時そんな感じだったっけ…。このTSにチート特典なんてないと思ってたけど、もしやこれがそうだったり…?
【歌えてるじゃねーか!】
【歌えません!(歌える)】
【ステージで歌いたくないがための言い訳だったと思われる】
【宵はさぁ…】
(…い、いやっ!! 今はそんなこと考えてる場合じゃない!!)
観客の人達のビビるほどの歓声…歓声かこれ?? なんか歌えてるじゃねーか! みたいな罵声? も混じってるけど…を受けて、再度意識を歌へと集中する。悲鳴が出そうになったが今回はなんとか抑えた。
何も見てるのは観客の人達だけじゃない。それに推しが…推しがこの歌のためにわざわざピアノを弾いてくれていているのだ。それに恥じないよう、ともかくこの場は全力で歌いきるしかない…あとここでやらかしたらほんっとうに洒落にならないやつだろうし! 覚悟を決めろ宵あかり!
自分の中から溢れてくる感覚に素直に従いつつ、宵あかりになってから学んだことをフル活用して、
(あの時は桜ちゃんとゆいなちゃんをイメージしたけど…)
今回はオレの歌の師匠といっていい存在である
こうして見つけたブレンドを意識しつつ歌うが、まだ掴みきれていない。当然と言えば当然だ。オレが真似しようとしている二人は本当にヤバい(語彙不足)のだから。…サビに入る直前でようやく、その端を掴んだ…気がした。いや、気がしたままじゃ終わらせない、このまま手繰り寄せちまえ!
【歌いながら成長してやがる…】
【宵…本当に宵なのか…?】
【ちょっと綺麗すぎるだろ…】
【宵リスナーが困惑し出してて草】
【これが宵の本気モードか】
【表情がいつもと違いすぎる】
【おどおどした感じはどこ行ったんだ…】
【別人インストールしてない??】
【永遠さんめっちゃ楽しそうな顔してんな】
【お母さんにやってもらうな】
【She is the first star!!】
『例えこの夜が明けないとしても 僕はただ歌い続けるよ』
『君がこの
オレの調子が上がるのに合わせて、永遠さんのピアノにも更に熱が入ってくるのが分かる。
『澱んだ暗闇の中にその答えがあるはずだから』
『行こう 今 この夜を』
ピアノの音が止まる。大きく息を吐く――
(…あぁ)
――歌い、きった。
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