第3章 アリスとオリエント村 第12話

第12話 村娘って、何⁉️


光の教会の祭壇の前、僕は光の宝珠に手をかざした

緊張の一瞬だ。


光の宝珠から、司祭の前のとても高価だという魔法紙にもやもやとした光が

流れていく。魔法紙が一瞬、明るく光った…


魔法紙を見た司祭が何故か微妙な、そして珍妙な顔をしてる

でもなんか薄ら笑いみたいで感じが悪い

「これは…」と言いながら両親にその魔法紙を渡した。


父ちゃんも、ちょっとびっくりしてる、お母ちゃんが黙って

その魔法紙を僕に差出した。


その魔法紙には、こう自動記述がされてた。


アリス・キルヒアイス

人族    年齢10歳

クラス   村娘


魔法    土魔法  豊潤なる女神の加護有り


それだけだった

僕が見えるステータス画面とは随分と違うんだよね


それにっ⁉️えええ〜っ⁉️ 職業適正が村娘って‼️

農家とか農業とかの間違いじゃないの‼️

クラス村娘って何よ⁉️


騎士は、剣士は、魔法使いは‼️冒険者は〜‼️

それに魔法は火、水、風、土の魔法を使えるんだけど‼️


土魔法だけなのっ⁉️


司祭さんの微妙な顔の薄ら笑いの意味が分かった。馬鹿にされた‼️

そりゃ、かつての冒険者の戦士と魔法剣士の娘が職業適正が『村娘』じゃぁね


村娘って職業なの?


そりゃぁ、お母ちゃんと父ちゃんは冒険者を引退してからは

半農半猟の生活だけど・・・


有名な冒険者の娘しかも剣の師匠は父ちゃんに魔法の師匠はお母ちゃんじゃん❗️

剣で並の大人なら打ち負けないだけの技術と体力は有ったし・・・

しかも使える魔法が土魔法だけだって⁉️

僕は火、水、風、土の魔法を使えるんですけど・・・


土魔法の豊潤なる女神の加護って農家なら泣いて喜ぶ加護だけど。


農業をする村娘って事なの❓ 前世の実家が農家ってのも影響あんの⁉️

冒険者は、ダンジョン攻略は❓ 一角の武将になって、国起こしとかは❓

嘘だ‼️と言いそうななる僕を後ろから優しく抱きしめて


お母ちゃんが諭す様に言う。

「あら、アリスちゃん良かったわねぇ。豊潤なる女神の加護なんて、凄いわ。」


そりゃぁ、確かにそうだけど・・・


嫌だぁ〜❗️僕、村娘に収まる気なんて、無いんですけど・・・

「あっ!それでアリスの作る野菜は美味いのか」なんか棒読み状態の父ちゃん。


お母ちゃんと父ちゃんのフォローで、なんとなくホットした表情の司祭を後に

して我が家に三人で帰った。


教会を出る時も僕を優しく抱きしめてくれたお母ちゃんが、そっと耳打ちする

『良いのよ、これで…貴女の事はママが一番良く知ってる』


まぁ、後で知ったのだけど、魔法適正を四つ以上を持っていると『ヤバい』らしい


王宮召し抱えの魔法使いとかの強制イベント発動の可能性大

だからの認識阻害の魔道具の首飾りだったのさ

お母ちゃんの判断に後で感謝したものさ。


だけど自由な冒険者暮らしは〜? 例えば、武将としての立身出世は〜?

と、これはこれで不自由感が半端無い❗️


それに、宝珠の儀式の魔法紙は公的に通用する物だから能力を隠す場合には

大変に都合が良かったのだけれども。


ただ農業従事者?として公的に認知された事に僕はショックを受けてしまった。


意味不明のクラス村娘だもんね〜

しかも豊潤なる女神の加護持ちねぇ〜

僕が畑を耕せば良く作物が育つし大人顔負けの耕作スピードだし

お家の畑の収穫量は既に隣の農家の1.5倍になってるしね

それはそれで有難いんだけども。


此処はオルザルド帝国辺境伯爵領ズワルド公爵領の東方辺境と呼ばれる場所

(辺境に辺境と付いているんだから凄い田舎って事だよね)

最果ての地と呼ばれる地域だ。スグルト川と呼ばれる大河の向こう側は魔の森だ

(異世界でお馴染みモンスターと呼ばれる生き物がいっぱい居る場所だよ)

そのオリエント村の土地は痩せた貧しい土地だった。


魔の森が近くにあるから村だけど、冒険者ギルドもあって

冒険者目当ての宿屋や歓楽街も田舎だけどもある

痩せた土地の村ながらも、やって来る冒険者達で賑わいを見せていた

それがなきゃ廃村だよね、こんなすご〜い田舎。


そんな貧しい村で生まれ育った僕は半農半狩の家ということで

お母ちゃんに教えて貰った弓のレベルも大人並です

何せハーフエルフだけに母ちゃんの弓の実力は中々のモノですよ。


他に剣術や槍術も習得してるので下手な冒険者よりかは強いのかなぁ、と思う。


だからアリス紅蓮団も子供の遊びというより、自警団予備軍の扱い?

になっている。なっている? いるのかなぁ?


うちの村は比較的、平和だけど此処は異世界!

盗賊にモンスターは当たり前に出て来るファンタジーな世界。


それに師匠がお家のお母ちゃんと父ちゃんという名の通った冒険者だからね

自分で自分の身を守れるのは大事!

村の大人達の信頼度が違う。


お母ちゃんに提案して紅蓮団の皆んなに簡単な読み書き算数を教えていたよね

まぁ使用人を使う程度には裕福だから教育に人手を割けるというのもあったけど

読み書き算数はお母ちゃんで、剣の指導は父ちゃん(脳筋だかんね)

キルヒアイス家版寺子屋だよね。以前に話したヤツさ。


この異世界に庶民が通う学校と言う物は無い。だから教育は重要な事だと思う

教育を受けられるのは王族とか貴族と大商人とかの一部の姉弟だけだ

(貴族とか大商人の姉弟が行く学校ならある)

この世界で一般庶民が読み書きと算数が出来るだけでも凄い事だった。


だからキルヒアイス家で寺子屋みたいなモノを始めたのだった。


これはアリス帝国への布石だ(大笑)

まぁ、文化レベルを上げるのは悪い事では無いと思う。

だから、アリス・キルヒアイスたる僕には落ち込んでいる暇などは無いのだ。

目指せ❗️アリス帝国‼️




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