最終話 僕と美紅と春の庭
「どうした
「
廊下で一人月明かりのさす庭を眺めていると、
母さんの問題発言を伝えると、美紅はうなずいた。
「なるほど。それ故に『鬼丸』を使えるのじゃな」
「あー、そういうことか」
そういうことなら受け入れるしかないか。
『鬼丸』を使えなかったら、みんなに出会ってなかったのだから。
「美紅はこれからどうするの?」
美紅は僕を見ると、小首を傾げた。
「さて?
「え?」
「
「だっ、誰に聞いたの!?」
美紅はふふふ、と笑うと綺麗な顔を近づけて来た。
近い近い。
今にも唇が触れそうな距離で、美紅は言った。
「我の
「えっ!」
「うむ、決めた! とりあえず、あの曲垣とやらに勝つほどの腕前にしてやる」
「ちょっと!」
美紅はすっくと立ち上がると宴会場と化した座敷の障子を開いた。
「曲垣とやら、一志と試合せい!」
「ちょっと、美紅!」
恐る恐る曲垣くんを見ると、これまたやる気に満ち溢れた顔で立ち上がったところだ。
——冗談キツいぜ。
わあっと盛り上がるみんなと嬉しそうな美紅。どこから持って来たのか木刀を取り出す曲垣くん。
そして逃げる僕。
「待て、一志!」
「無理だってば!」
美紅が追いかけて来る。
飛び出した庭は、春の訪れを予感させた。
飛翔刀鬼伝〜僕の家に伝わる刀には時空を超える力があってだな〜完〜
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