第283話 僕の部屋は賑やかで
空間を出る時はいつも通りだった。
パッと出た先は僕の部屋の僕のベッドの上で、驚く
「ぎゃあ!」
「お、すまぬ」
くそ、今回は避けきれなかった。
「大丈夫か?」
「美紅さん!」
曲垣くんとオペラが寄ってくる。なんかほっとする。
「おお、お
美紅は相変わらず尊大な態度だ。それでも嬉しそうに笑顔で尋ねているから、オペラも同じく笑顔で返事をする。
「あはっ、元気だよ!」
「あんたも元気そうだな」
曲垣くんもかい。
「美紅、早く降りてよ」
僕はまだ美紅の下敷きになったままだ。
「おお、忘れていた」
「忘れないでよ!」
美紅が僕の上から降りて、僕が起き上がると、握りしめていた『鬼丸』が手の中からぴょんと飛び出した。
『おおお、鬼姫ぇぇ! お会いしたかったぞぉぉ!』
意識を取り戻した『鬼丸』が涙を流さんばかりにして全身で喜びを現している。
「『鬼丸』、そなたのおかげで戻って来れた。礼を言う」
『ありがたや、鬼姫!』
なんだよ『鬼丸』のやつ。僕の前ではあんなに喜んだこと無かったぞ。
と、不貞腐れようとしたその時、真上から聞き覚えのある声がした。
「一志、どけてぇぇ!」
「一志殿!」
え? 誰?
見上げようとした僕の上に、ドサドサと降って来た人達がいる。
「ぎゃああ!」
「いたた……。あっ、美紅!」
「お主は、
僕の上に降って来たのはなんと鎌倉時代にいるはずの美羽と其角さんだった。
「あっ、お懐かしや鬼姫!」
「再びお主らに会えるとは、なんと良き日じゃ」
「わたしも本物の美紅に会えるなんて夢見たい!」
「おお、そうじゃ! こうして触れ合うのは初めてじゃな」
美紅と美羽はお互いの手を取り合って喜んでいる。
——それより。
「早く降りてぇぇ!」
「おお、すまぬ。一志殿」
なんでみんな僕の上に降ってくるんだ。其角さんに手を引っ張った起こしてもらう。ふとみれば曲垣くんが目をキラキラさせている。
「其角さん! 俺、其角さんの刀大事にしてます!」
「おお、曲垣殿! それはありがたい」
皆が僕をほったらかしてわいわいやっていると、廊下を駆けてくる足音がする。
ガラッと部屋の戸を開けて顔を見せたのは、母さんと
「なに? なんの騒ぎ——ぎゃあ! 二重人格女が二人になってるぅ!?」
ううーんと唸ると、
「
「おお、お母上! また母上の菓子を馳走になりに来たぞ!」
「あら嬉しいわ。 それに美羽さんも!」
「お母さん、久しぶり!」
「
なんだこの大騒ぎは。
つづく
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