第252話 甦れ、双子の鬼よ

 僕は月河げつがさんに行ったのと同じ方法で反魂玉を飲ませることにした。ポケットに残っていた三つの反魂玉のうちの二つに美紅みくつのから鬼力きりきを注ぐ。


 その間に月河さんは二人のバラバラになった手足を探して来た。


「どれがどれかわからんわい」


 そう言いながらドサドサとそれを二人のそばに置いた。


 うう……怖い……。


 いや、とにかく急がなくちゃ。


 鬼力を注いだ反魂玉を、僕と月河さんと二人で一つずつ手にすると、今にも途切れそうな呼吸をしている双子鬼の——北辰ほくしんさんと南冥なんめいさんの口元に持って行った。


「お願い、生きて!」


 口に反魂玉を押し込むと、喉が動いて飲み込まれていく。


 瞬きをする間に、二人の身体は見る間に修復されて、ちぎられた手足もウニウニと動いて繋がってしまった。


 やがてパチリと目を開くと、僕の姿を見つけてカッと睨んで来た。


 僕は慌てて月河さんの後ろに隠れる。


「月河さん、説明して!」


「おう、北辰、南冥、大丈夫か? 実はこの一志かずしがな……」




 つづく

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