第77話 もしかして行く当てがない?
「それにしてもなんだってこっちに帰って来たんだ? その様子だと実家にも寄ってないんだろ?」
僕が聞くと、オペラはベンチに座ったまま脚をぶらぶらさせながらつまらなそうに答えた。
「別に……なんとなく、かなぁ」
その表情を見た僕は、もしかしたら彼は行くところが無いのではないかと直感した。
「僕のうち、来る?」
「えっ!? いや、いいよ。ごめん、迷惑かけたくない」
「別に迷惑じゃないよ」
「ごめん、ダメなんだ」
何が『ごめん』なのか、急にオペラはソワソワし始めた。
「こっちに来れば一人くらいノッてくれるヤツがいるかなって、思ったボクがバカだったんだ。ごめん」
そう言うとそそくさと立ち上がる。
「じゃあね」
「えっ? 待って——」
僕の話も聞かずにオペラは駆け出した。お酒飲んでた割にはまっすぐ走って行く。
「
「りょーかい」
美羽はすっとベンチの高さくらいに浮かび上がると、そのまま飛んで追いかけた。公園から出ようとした
「ぐぇっ!」
喉元が締まってびっくりした彼は、宙に浮いて自分を捕まえている美羽を見てもう一度驚いた。
つづく
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