第5話 嫌な予感がするのですけど?
すらりとしたスタイルの女性だった。
色素の薄い
長い袖を翻し、振り返ったその瞳と目が合う。瞳は
亜麻色の髪を着物と同じ色の赤色のリボンのような紐で高いツインテールにしている彼女は、ともすれば都会の街中にいそうなコスプレ姿だが、圧倒的にそれを否定するのが、口の端から覗く犬歯と両手の鋭く長い爪だった。
「——いや、長いネイルの人もいるか」
うっかり呟いてしまう。
彼女の瞳がすうっと細められた。
なんだこのかわいそうな生き物は?
彼女の声が聞こえて来た気がした。ゾワッと背中に悪寒が走る。圧倒的に彼女の方が異質で強い、それを感じて僕は震えたのだ。
ふと、僕を観察していた女性の視線が止まる。
……刀だ。
僕の抱えている『鬼丸』に視線が向けられている。その証拠に、彼女はツカツカと僕に近づいて来た。
そして長い鋭利な爪を向けながら、
「その刀はなんだ?」
と、聞いてきた。
つづく
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