Ⅷ
「禁則事項? それを話すと、何か、未来に影響したりでもするのか?」
「多少なりとは……。と、言ってもあなた自身もそうですが、あなたに関わる人の未来も変わるという感じですね。私たちがこうして、未来から来たのもあなたをサポートするためでもありますし、私たち自身にも関係があります」
「へぇ、二人は未来の俺とは一体、どういう関係なのかも禁則事項で言えないんだろ? まぁ、それは仕方がないとして、あんたらが未来人だという事は、ここはひとまず、信じるとして、結局のところ、俺を呼び出したのには、他にも理由があるんじゃないのか?」
今までの話を信じるとして、この二人がまだ話をしていないことは、まだあるはずだ。
だとするならば、一体、これから何を言い出すのだろうか。重たい話でなければいいのだが。
「はい。僕たち、二人がこの世界に来たのは、ただ、あなたの時代を知りたかっただけではありません。これから起こることにどうしても、あなたの力が必要。いや、あなた自身が、未来のあなたにつながるために、しなければならないことなのです」
「私たちは、この世界に干渉はしていますが、そもそもこれ自体は、未来の坂田さんが、今の時代に生きる坂田さんに頼んだことなのです」
富山も一緒になって、犬伏の言葉に付け加える。
「それで、この後、その俺に何をしろと? 言っておくが俺は普通の人間だ。それに何を期待するんだ?」
「期待ですか……。期待というよりも落としていかなければなりません」
「落とす? 一体、何を落とすんだ?」
「それはこれから起こる現象をあなた自身が、愛という力を持って落とすんです!」
言っている意味が分からない。愛で落とす? Why? 誰を?
「あの……どういう意味……というか? ふざけてはいないんだろうな?」
俺は犬伏を睨みつけ、ちょっと強張った表情をした。
それでも平然としていた犬伏は、俺の質問に何事もなかったかのように話を続ける。
「これはふざけているように見えますが、実際にこれを野放しにしておく”少々、厄介になります。と、言いますと、これを黙って見過ごしていたら三年以内に世界は少女たちによって、滅ぼされるでしょう。SFやファンタジーのようにも聞こえるかもしれませんが、今、話していることは、事実なんです。では、まず、なぜ、あなたが愛の力で落とさなければいけないのか、そこから説明をしましょう」
犬伏は立ち上がって、近くに置いてあったホワイトボードを自分たちの後ろに持ってきて、俺が見やすい位置に設置する。
「まずは、災害をもたらす少女たちについての話です。ここに一人の少女がいると仮定します。この少女の中には、世界を滅ぼす悪魔と言いますか、天使がいます」
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