俺の日常は突如、非日常な青春ラブコメに変えられた

佐々木雄太

第1章  舞い降りる使者

 高校生になって、二度目の春がやってきた。


 朝起きて、カーテンを開けると、桜の花が舞っていた。窓を開け、空気の入れ替えをする。冷たい春風が部屋の中に入って来て、肌に当たると、身震いをするほどだった。


 大きな欠伸をして、部屋を出る。階段を降り、一階の洗面所で冷たい水を浴びながら、顔を洗うのが起きた後にする毎日のルーティンだ。


 顔を洗い終えると、トイレを済ませ、手をきれいに洗い、リビングへと向かう。

「あ、お兄ちゃん。おはよう」


 と、キッチンの方はから挨拶をする人物がいた。左手にはフライパン、右手にはフライ返しを持っており、丁度、朝食の準備をしている最中だったのだろう。


 その人物は中学三年生になったばかりの妹の栞だった。


 両親が共働きでありながら、家事の多くは、栞がほとんどやっているのである。


「ああ、おはよう。あと何分くらいでできるんだ?」


「うーん、あと五分から十分くらいかな? ご飯がもう少しで炊けるから……」


「そうか。出来たら呼んでくれ」


「うん、分かった」


 と、そのまま俺は、リビングのソファーに横になりながら、床に置いてあったリモコンに手を伸ばし、テレビの電源を入れる。いつも見ている朝のニュース番組を見ながら、朝食が出来るまで、だらだらと過ごす。


「お兄ちゃん、もうすぐ朝食が出来るから深い眠りにつくのだけは止めてよね。こっちだって忙しいんだから、起こしたりしないよ」


「ああ、分かってるって、呼ばれたらすぐにそっちに行くから……」


 そう言いつつ、俺は、朝から流れるニュースをだらだらと見ながら、興味のあるスポーツ情報はしっかりと見る。エンタメとか犯罪にかかわるニュースはほとんど関心がなく、頭の片隅に入れるくらいしか見ない。


 はぁ、朝から日本も物騒だよな。平和が一番。こんな普通の暮らしが一番だな。


「お兄ちゃん。ご飯炊けたから、もう朝食が出来るよ。ほら、早く席に座って!」


「分かった」


 俺は、ゆっくりと体を起こして、テーブルに並ぶおいしそうな朝食を眺めながら、自分の椅子に座り、栞が向かい側に座るのを待つ。


 栞は、お椀に炊き立てのご飯を二人分用意しながら、俺の方に一つ、自分の所に一つ置き、向かい側の自分の席に座る。

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