80.増援の騎士団
私は、マルギアスさんとともに道を歩いていた。
とりあえず、御者をしていた騎士が向かっていたであろう最寄りの村への道を辿っているのだ。
「マルギアスさん、あれは……」
「ええ、何かあったみたいですね……」
しばらく歩いていると、遠くの方に煙が見えてきた。
それが、騎士団とグーゼス様の戦いで起こったものかはわからない。ただ、何かが起こったということだけは確かなようだ。
「とにかく、行ってみましょう」
「わかりました。ルルメアさん、念のため、私について来てください」
「……はい」
マルギアスさんは、私の前に立って歩き始めた。
そういえば、彼は私の護衛である。だから、万が一のことを考えて、私を守ろうとしてくれているのだろう。
その気遣いは、私にとって嬉しいものだった。何より、今の私は魔力も消費して、肉体的にも疲れているので、守ってもらえるのはありがたいものである。
「……どうやら、本当に騎士団のようです」
「そうですか……やはり、グーゼス様がこちらにもやって来たのですね」
「ええ、そのようですね……」
私達は、遠目から騎士団の姿を確認した。
彼らは、明らかに戦闘があったような状態だった。怪我をしている騎士や破壊された馬車などが辺りに散らばっている。その破壊された状態からして、グーゼス様が爆発したのだろう。
「かなりひどい状態ですね……」
「ええ……」
私は、ゆっくりと息を呑んだ。辺り一面には、騎士達が転がっている。
彼らは、動かない。気絶しているのか、はたまたもっとひどい状態なのか。まずはそれを確認しなければならないだろう。
私とマルギアスさんは、ゆっくりと騎士の一人に近づいた。すると、わかった。彼の呼吸している音が聞こえてきたからだ。
「……よかった」
「ええ、他の人も確認してみましょう」
「はい」
私もマルギアスさんも、少しだけ安心していた。まだ一人しか確認していないが、それでも助かっていてよかったと。
それに、騎士の一人に息があったということは、他の人達にも希望が持てる。という訳で、私達は他の騎士も確認していく。
「どうやら、皆生きてはいるようですね……流石は、騎士といった所でしょうか」
「ええ、そうですね……」
強靭な騎士達は、グーゼス様の爆発にもなんとか耐えられたようだ。
これで、また少し安心することができた。気絶しているため油断はできないが、とりあえず助かっていた本当に良かった。
こうして、私達は増援の騎士団の無事を確認するのだった。
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