11/11~11/20

11日


こんなお菓子で、そんな破廉恥なことをして、馬鹿みたい。

そしてそうは思いつつも、お菓子を買いすぎてしまう私も、馬鹿みたい。

どうせ出来るわけないんだから、ただ無心にお菓子を食べる。授業の休み時間、一人でポリポリ。

やがて人が集まる。皆で食べる。……思ってたのと違うけど、まあいいか。


「皆でシェア」




12日


スカートの裾を掴み、軽く足をクロスし、腰を、頭を下げる。飛んでくる罵声、ゴミ。そんなものに私は負けない。誰が私にどう価値をつけようと、私の価値は、私が一番良く知っている。

ほら、最前列に私の価値を知ってる人もいる。投げられたゴミが当たっても、私を見てくれる。だから私は、踊れるの。


「混沌とした劇場」




13日


野原に寝転んで、大きく息をする。……ん、少しだけ草食べちゃった。苦い、と思いながらも、きちんと接種できた新鮮な空気に、肺も心も満たされていく。

蝶々が私の鼻先に止まる。くすぐったくてくしゃみをして、ああごめんね、と笑った。

飛んでいった蝶々が、空の青に吸い込まれていくように見えた。


「和む」




14日


思いがけぬ光を見て、私は泣いた。誰にも気に留めてもらえない、そんな私のことを、初めて見つけてくれたのは君だったの。

目に映る光に、チカチカと、酔ってしまいそうだよ。それでも君を見つめることをやめられない。君という光を見つけた私の宿命。君という光から離れられない、そんな私を笑って。


「Light」




15日


人は星の数ほどいるから。その中で偶然貴方と出会えたこの世界に、運命に感謝。そう言ってグラスを交わす。今日限りの仲。だからこそ話せること。普段出さない自分を、淫らに隠さず、堂々と。

そうして一夜限りの晩酌は進んでいく。明日のことなど明日考えればいい。明日を忘れるために来たのだから。


「今日という日」




16日


図々しい君が嫌い。特に食べ物に関しては酷い。私が寿司屋とか焼肉屋とかに行こうとすると、「私も〜」ってついて来る。そしていっぱい食べて、「お財布忘れちゃった!」までがセット。

だから私はお金を節約するため、料理をすることにした。君があまりにもいい顔で食べるものだから、見続けたくて。


「食べてる時の顔は好き」




17日


ああ、私の大好きなアイドル。どうして今日も貴方はそんなに可愛いの?アンチにも負けず、いつも笑っていられるの?

ある日、彼女のアンチが彼女をブスなくせに、と言った。なんて失礼な!怒っていると、彼女が。

「は〜!?私は世界一可愛いだろ!!」

……このくらいの気持ちで私も生きていきたい。


「世界一可愛い!!」




18日


あの青さに手を伸ばしても、決して届きそうにないから、僕は飛んだ。でも飛んだところで届くはずもなく、僕は着地も出来ず、ただその場で転んだだけだった。その拍子に擦った頬が痛んで、僕は泣いて、成す術もなく地面を転げ回る。

その後見上げた青は、さっきと少しだけ、違って見えた気がしたんだ。


「青に焦がれる」




19日


この景色をどんなに私が好きだと思っても、貴方には陳腐なものにしか映らないみたい。

私が嫌いな食べ物は、貴方にとっては大好物みたい。

価値観が全然違う、真逆と言っても過言じゃない私たちだけど、私たちは一緒にいる。

ここだけは同じ。相手の違う価値観すら、愛おしいと思ってしまうからなの。


「真逆な二人」




20日


雨の日になると思い出す。あの日もこんな雨の日だった。君は桜の花びらの散った傘をさし、遠くに行ってしまったね。

だから僕は、雨の日になると君のことを思い出す。

街中で桜の傘を見ると思わず追いかけてしまうよ。でも分かってる。君じゃない。

……君はその日、車に跳ねられてしまったのだから。


「遠くに行ってしまった君」

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