カツカツの生活

「さて、お前さん達はステータス値がマスターランクの奴らと同じくらいだね。

これなら、スタートするランクが高くてもいいだろう」


そして、渡されたギルドプレートのランクはプラチナのクラス4だった。


「……なんで?」

「すまないねぇ……本当ならダイヤからスタートさせてやりたいけど、規則だからね」

「いや、ブロンズからで良かったんだけど」

「本音はさっさと金を返して欲しいからさね。プラチナなら大体の依頼を受けれるさね。

後、プラチナの受けれる依頼の危険度が高いから、報酬も高いさね」


なんと……。アンタそれでいいのか……。


「ふむ、余達なら大丈夫であろう」

「まあ、レアルさんが言うなら……」

「おすすめはこれだよ」


渡されたのは、危険度が10とそこそこ高い、ゴブリンの巣を破壊する依頼だった。

達成報酬金額は、50万ファスだった。


……高っ!

日本円と同じだと考えてるからか?

いや、それでも高いよな。


「どうさね?」

「受ける。レアルさんとクロルもいい?」

「あぁ、いいぞ」

「キュイ!」


二人の承諾も得たことで受けることになった。


「それじゃあ、行ってくる」

「あぁ、頑張って来な」


ギルドマスターに見送られ、ギルドを後にする。


そして、依頼に合った場所に着いた。


「うわ……」


ゴブリンの集団がいた。

気配察知での反応は500匹程。いつ溢れてもおかしくない状況だった。

ちなみに、ゴブリンは同人誌みたいに女性を襲わない様だ。

そんな光景見たくなかったので安心だ。

……いや、安心でもないか。攻撃されるのには違いないから。


俺は、ミニガンを生成する。

込められているのは実弾では無く、氷属性の弾だ。

さっき、これが出来ることを知った。

そして、撃ち出すと同時に轟音が響き渡る。

10分くらいして、ようやく弾が尽きた頃には辺りは冷えこみ、ゴブリンの殆どが居なくなっていた。


「余は、あの時あれを受けてたら、何も出来ずに死んでいたぞ……」

「いや、まさか。そんなわけないでしょ」

「カオルの余に対する考えを知りたい程だ……」

「かっこよくて、強くて、美人なドラゴンさん」

「そ、そうか……」


レアルさんは照れた様子で微笑む。

……可愛い。


「さて、残りも殲滅しますか」

「そうだな。ここからは余に任せてくれ。【闇に呑まれよ】」


辺りが暗くなる。遠くを見ると、明るい。

つまり、ここだけが暗いのだ。

そして、いつの間にか残りのゴブリンが息絶えていた。

気配察知からもゴブリンが残っていないのが分かった。


その様子を見た俺は、レアルさん最強じゃね?という語彙力がどっか行った感想を持った。


「よし、依頼完了だな。初めてにしては上出来ではないか?」

「……俺いる?」

「いるに決まっている。余の……パートナーだからな」


レアルさんは微笑みながらそう言ってくれた。


「そっか。よし、帰ろう!」


こうして、俺達は帰還した。

帰った時に、門番さんに「さっき行ったばかりだよな?」と聞かれた。


冒険者ギルドに入ると、ギルドマスターが座って待っていた。


「おや、早かったね。一日で帰ってくるとは思って無かったよ。

ちゃんとやれたかい?」

「あぁ、しっかりとやったぞ。な、カオル」

「バッチリだよ」


俺は親指をたてる。


「うん、良さそうだね。

さて、依頼達成を確認するのに数日かかるさね。

報酬も確認出来たら支払うよ」

「……今日泊まる金やご飯を食べる金が無いんだけど?」

「…………お前さん、今までどうやって生きてきたさね」

「本当にね」


俺、運で乗り切ってるよね。


後、ギルドマスターがお金を貸してくれました。

貸したお金は報酬から引いとくそうです。


ご飯を食べる為に、通りに出る。


「安くて美味しいとこがいいよね」

「余は食べなくてもいいぞ」

「キュイキュイ」


賛同するかのように、クロルは鳴く。


「一緒に食べようよ」

「しかしな……」

「ね?」

「むぅ……」


すると、「あんちゃん達!これ食べないかい!?」と呼び止められる。

そこには、いい匂いがする美味しそうな焼き鳥があった。


「いいね!これ幾ら?」

「1つ10ファスだよ!」

「6つちょうだい!」

「あいよ!」


そして、6つの焼き鳥が手元に渡った。


「まいどあり!」


俺達は、そこにあるベンチに座って食べることにした。


「美味しい……」

「だね」

「キュイー」


そして、一人三つ食べ、お腹も膨れた。


「じゃあ、早めに宿を取ろう」


そして、宿に向かった。


宿にて。

流石に、二つ部屋をとるお金は無かった為、レアルさんと一緒の部屋になった。


「カオルよ。何故、床に寝転んでいる?」

「……だって、ベッド一つしかないとは思わないじゃん」


俺は女性と寝るなんて出来ないぞ!?

ましてや、レアルさんみたいな綺麗な女性と!

でも、それを言ったらヘタレにしか思われないから、言わない。


「何を言ってるのだ?余と一緒に寝れば良いだろう?」

「……断る!」


すると、レアルさんはベッドから降り、俺を持ち上げる。


「え!?」

「ほら、一緒に寝るぞ」


……逆だよね?なんで、俺が女の子みたいな扱いされてるの?


深夜……。クロルの寝息が聞こえる。

その寝息を耳にしながら、まだ寝れない俺はこれからの事を考える。


別に、日本に帰りたい訳じゃない。

家族は小学校の時に事故で亡くなっている。親戚は誰一人、俺を引き取らなかった。

学校に行っても、友達もいなかった。

俺は一人ぼっちだった。

この先も一人だと思っていた。


「でも……今は、レアルさんとクロルがいる」


ここなら、ひとりじゃない。


「……本当にそうなのだろうか?」


もしかすると、急にレアルさんは居なくなるかもしれない。

そうすると、また一人になる。

……元に戻るだけだよね。


「でも、一人になるのは……嫌だな……」

「馬鹿者」


声はあげなかったけど、急に抱き締められたから驚いた。


「カオルを置いて余は居なくならんぞ。言ったであろう?余とカオルは、パートナーだと」

「レアルさん……」


言って欲しかった言葉をレアルさんは口にしてくれた。

嬉しかった。


「だから、大丈夫だ。安心するといい」

「そっか……ありがとう……」

「良い。今日はもう遅い。ゆっくりと寝るがいい」


そして、いつの間にか俺は寝ていた。



――



「カオルは寝たか」


すぅすぅと寝息を立て始めたことから推測した。


「カオルはまだ13歳か……。頼りになるところもあれば、少し抜けていることもある。

今のところ抜けていることが多いがな」


ふふふと微笑む。


「余の意味するパートナーを、カオルは理解しておるのか?

それとも、全く違う方向に考えておるのか?」


カオルを撫でながら、そう口にする。


「カオルよ……余の意味するパートナーは……将来を共にする者ということだぞ……?」




ーーー

あとがき


今回もここまで呼んで下さりありがとうございます。

次回は一気に2年の時を飛ばします。

……あんまり良くない気がしますが。

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