今度は山登りです

俺は、早朝から走ってる。

楽しいからだ。ものすごいスピードが出てるのが分かる。

動体視力も凄く上がっているおかげで、木にぶつかることが無い。

油断したら、ぶつかりそうだが。


「お、森を抜けた!」


だけど、今度は山に突入しました。


「山かぁ……ドラゴン居そう」


ゲームの王道では、こういうゴツゴツとした山にはドラゴンが住み着いているものだ。


山の中腹辺りまで来た。ものすごい吹雪が降っている。

めちゃくちゃ魔物が出てきたが、銃をぶっぱなして葬り去った。


《危険》


俺は、そこからすぐに離れる。

俺がいた場所には何も残っていなかった。


「えぇ……」


見上げると、ドラゴンがいました。


『ほう……今のを避けるか……。ここまで来ただけはある……』

「……喋ったァァァァ!?」

『む……?余の言葉が分かるのか……?』


ド定番の漆黒のドラゴンだけど、喋るのは予想してなかった。

しかも、女性の声。


『まあ良い……余の宝を盗もうとする不届き者よ……消し去ってくれるわ!』


そのドラゴンはものすごい咆哮を上げる。

防御力とかが高くなければ、鼓膜やられてたね。


「途中でゲットした、とっておきを使う時が来ましたか!」


その名も魔法!

はい、魔法です。ファンタジーの定番の魔法さんです。

お腹が空いて、また魔物を食ったら、そいつがたまたま氷魔法を使う魔物だったみたいです。


魔法の使い方は簡単!

イメージするだけ!なのは、魔力操作を覚えている人のみだそうです。

そして、構造理解のスキルで、魔法の構造を理解したので、氷魔法以外の魔法も使えます。


「アイスフォール!」


何となく言ってみました。

上に巨大な氷の塊をドーンと作ってドーンと落とす魔法です。


凄い風圧と轟音が響き渡る。


『な!?』


やっぱし、生きてましたか。

でも、ドラゴンを地面に叩きつけれたから、まあいいだろう。


『やるな……』


そして、氷の塊を消し、刀を瞬時に生成。ドラゴンに近づく。


《危険》


閃光が走る。

避けたから良かったが、さっきまでいた場所は跡形もなくなっていた。


『今のも避けるのか』


そして、ドラゴンは空高く飛ぶ。


《危険、回避不可》


「回避不可とか来ましたけど!?」


打開策ある?……氷の塊はあんなとこに生成出来ない。

今から来る攻撃は避けれない……


「なら、耐える!」

『ぬ?避けないだと……?いいだろう!』


魔力の塊がドラゴンの口に集まる。

そして、一つの雫が落ちる。


『【竜の雫】』

「来い!」


閃光と共に、青色の炎が全てを包み込む。


そして


「……耐え……た……ぞ……」

『な!?』


何も残っていない場所に、俺だけが立っていた。

だが、服は破け、息も絶え絶えだった。


しかし、強靭な意思は残っていた。


「こっちの……番だ……」


全てが恐れる程の殺気が膨らむ。


手には刀が生成されていた。


空を飛んでいたドラゴンの前まで飛ぶ。


そして、一振り


「ガァアアアアアア!!!!!」


ドラゴンは墜落する。

そして、俺も……。


雪が舞い上がり、静まった頃に俺は立ち上がった。

そして、ドラゴンの首を


『待て!』

「ぬ?」


ドラゴンの首を落とす手前で止められた。


「どうした、命乞いか……?」

『違う……。余は死んでもよい……。余の宝……余の子供だけは……殺さないでくれ……』

「え?別にドラゴンさんの子供狙ってなかったぞ」

『ふぇ?』


え?そんな可愛い声出さないで?君ドラゴンでしょ?


『そ、そうだったのか……。余はてっきり、余の子供を狙う者かと思い……』

「いや、普通にこの山を越えようとしただけだぞ?」

『すまなかった……』

「まぁ……いいよ。とりあえず……寝かせてくれ……」


俺は倒れ、意識も落ちる。


目が覚める。

起きる。

周りを見渡す。


「ここどこ?パート3」


服も破けてた為、生成する。


「キュイ!」

「ドラゴン……?ちっちゃい!」


着替えていると、ちっちゃいドラゴンちゃんがいた。


「キュイキュイ!」

『ほほう……余の子供も、お主のことを気に入ったそうだな』


あ、あのドラゴンさんだ。ってことは……


『ここは余の住処だ。あのままお主を寝かす訳には行かないかったからな』


あ、やっぱり、ここドラゴンさんの住処なんだ。


「そういえば、自己紹介がまだだったね。俺の名前はカオルだよ」

『余は……黒竜神と呼ばれておる』

「黒竜神って呼んで欲しいの?」


ドラゴンさんは首を横に振る。


『余はそんな大層な者では無い。余にも名がある』

「それは何?」

『知りたいのか?』

「教えてくれるの?」

『教えるぞ。余はレアルと言う』


レアルさんというのか。


「そういえば、この子供ドラゴンちゃんには父親がいるの?」

『……人間にやられた』


ドラゴンさん……レアルさんから、一瞬だが、煮えたぎる様な怒りを感じた。


「ごめん」

『良い』


少し間が空く。


『カオルはこれからどこに行くのだ?』

「分からない」

『分からないとな?』

「実は俺、異世界から召喚された人間なんだよね」

『異世界人か……なるほど……あの強さも納得がいく』


そんなに強い訳では無いと思うんだよね。


『ふむ……余もついて行こう』

「え?いいけど……子供ドラゴンちゃんはどうするの?それに、その格好で行ったらで、まずいことになりそうだけど?」

『余の子供は、余とカオルで守れば良い。それに余は偶に人族が暮らす地に降り立つぞ?』

「守るのはいいけど、レアルさんが降り立ったら大騒ぎ間違いナッシングだよ?」


多分、国が騒ぐレベルだよね。

すると、目の前にいたドラゴンさんがいなくなっていた。


「どこに行ったんだ?」

「どこを見ている?ここだぞ」


見上げていた首を元に戻すと、黒髪ロングの和風美人さんがいた。

……胸もデカい。身長も俺より高い……。

って、もしかして


「レアルさん?」

「そうだ。レアルさんだ」

「うそん……」


レアルさんは、美人さんだった様だ。


「レアルさん、めっさ美人だね」

「……少し照れるな」


レアルさんは頬を赤らめる。


え、かわよ。


「さて、この姿をとるのも何百年振りだろうな」

「何百年も降りてないのかい」


偶にじゃないやん。


「さて、人里に行こうではないか」

「そうだね」

「キュイ!」


子供ドラゴンちゃんが俺の頭に乗る。


「我が子よ……余よりカオルを選ぶのか……」


レアルさんは肩を落とす。


「レアルさんよ、そんなに落ち込まなくてもいいじゃん」

「冗談だ。我が子と仲がいいことは良いからな」

「キュイキュイ!」


こうして、少しノリのいいドラゴンのレアルさんと、子供のドラゴンちゃんという仲間が増えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る