第18話 対空攻撃のお話

https://www.nicovideo.jp/watch/sm1620239

 この動画を見ていて「あれっ?」と気になったことがある。PvPでレビテーションで浮かんだPCが近接攻撃しかできないファイターPCを一方的に攻撃しようとしたのである。高レベル環境にありがちなサブ技能生やし過ぎでエンハンサーのワイドウイングを習得していることを失念していたが… 『ソード・ワールド2.x』って空からの攻撃でハメることってできたっけ?


 問題の動画が投稿されたのは2011年、『2.0ルールブック改訂版』が出る前である。なので実家にあった改訂前のルールブックを読んで当時はどんなルールだったのか確認した。


『2.0ルールブック(123)改訂版』は改訂前のサプリやシナリオ集の「ルールブック〇ページ参照」に対応するため旧版のページも表記されているが、『ルールブック2改訂版』では旧版30ページの後新規挿入の「種族特徴強化」2ページを挟んで旧版35ページに飛んでいる。答えはこの失われた4ページにあった。


 少し話が脱線する。『2.0改訂版』『2.5』の戦闘ルールは「3エリア(簡易/基本)」「一直線(標準/上級)」「平面(熟練)」の三段階制であるが、『2.0』初期は「平面」がデフォルトで今でいう熟練戦闘が基本ルールブックに載っていたのだ。元々TRPGの戦闘はテーブルの上に駒を置いて移動力が足りるか考えながら自由に動かすものだったのでデザイナーも簡略化の発想がなかった。しかし『2.0』初期ルールは乱戦まわりのトラブルが多発して見直す必要があったこと、ルール簡略化の要請が出たこと、私の推測だがオンセで駒の距離感のわかりにくさもあって三段階制となった。『2.0改訂版』『2.5』ともに熟練戦闘ルールはサプリメントへの収録となったため、『2.0旧版』と比べると基本ルールブックだけでできることが減った形になる。


 話を戻す、『2.0ルールブック2改訂版』で削除された4ページには熟練戦闘に先送りになった乱戦エリアの扱いのほか高低差に関する記述があった。城壁の上に立っている、空を飛んでいるなどの理由で明らかに武器のリーチを超える高低差があれば乱戦は成立しないとされていたのである。つまり当時は「飛行能力」と「遠距離攻撃」があれば近接しかできないキャラをハメることができたのである。


 しかし『2.0改訂版』の熟練戦闘ルールは戦闘エリアが「完全な平面」と規定され前述の高低差のルールはばっさり削除された。ルールが退化してるじゃねーかw そもそも『バルバロステイルズ』に高低差を扱ったシチュエーション戦闘があるのにコンテンツを丸ごと否定するルール改訂ってw


 PCが空を飛ぶ手段が少ないため、飛行モンスター相手に詰まないようにする必要性はわかる。しかし改訂時に「重要な変更点」として明記せずさりげなく書いていたため、今まで当たり前のように空中スルーをやっていた人に見過ごされる可能性も。また地上の凸凹ならいざ知らず、明らかな上空に剣で攻撃というのは想像力がついてこれない人もいるだろう。


 書き方もよくない。「空を飛ぶ能力のあるキャラクターでも、戦闘に参加するときには、近接で渡り合える高さまで降りてきているものとします。(『2.5ルルブ2』91頁) 」という表現では、「考えなく動くモブモンスターや魔剣で斬りかかるドレイクならともかく、俺が近接の届く高さに降りる理由がない。」と反発する飛行騎獣シューターにうまく説明できる自信がない。TRPG初心者の頃に「プレイヤーの創意工夫を『ルールに無い行動』という理由で却下するのは野暮」と教えられた私はあえて「高度を取る」宣言を却下するのに抵抗がある。


追記

 2.5の熟練戦闘ルールに「人数超過の乱戦エリア」というのがあり、橋の上など限られたスペースでは乱戦エリアに入れる人数に限界が発生します。ルール上「侵入不能地形」の概念があるわけですが、川の上を飛ぶなど「侵入不能地形」を無視できるキャラなら高低差が無くても一方的に攻撃することは可能です。(エルフが水中から槍で突くなどの対処法はあるけどね)

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