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クラクラしていたのもあったけど、生理痛も辛くて、持っていた痛み止めを保健室で飲んだ。

窓際の暖かさでウトウトして、痛みも和らいで、スッカリ寝てしまった。


「何だ、寝てるのか。」


誰かの声がする。


「ん……。」


「あっ、起こした?

ごめん。」


「さ、堺君!」


堺君がそばにいた。


「調子はどうだ?」


「だいぶ、いいかな。」


「そっか。

良かったな。」


「堺君はどうしたの?」


「寝不足でクラクラするから、寝に来た。」


本当に眠そうだ。


「何で寝不足?」


「いやぁ、兄貴が彼女とヤってるのがうるさくてさ。」


「え?」


「兄貴の部屋が隣だから、聞こえちゃって。

親が旅行中だからって、俺のいるのにな。」


「……。」


「弓弦の兄貴より、まだ良いか。」


「え?」


「俺達の前でも平気でするからな。」


「……。」


「まぁ、興味はあったから見てたけど。」


「……。」


「ごめんごめん、こういう話は苦手かな?」


「苦手と言うか分からないかな。」


「そっか。

弓弦に教えてもらえば良いさ。」


「……。」


「じゃ、俺は寝るわ。」


「あっ、おやすみなさい。」


「うん、おやすみ。」


堺君はカーテンを閉めて、そのまま寝たみたい。

私も、もう一度寝た。


「沙希!」


寝ていたら弓弦の声がした。


「……。」


「起きた?」


「うん……。」


「調子はどう?」


「大丈夫。」


「そっか。

何か沙希、顔色悪かったのに、余計な事を言ってごめんな。」


「え?」


「沙希が絡むと感情を抑えられなくなる。」


「……。」


「恋愛ってこういう事なんだな。」


「……。」


「そういう表情で見られると、ちょっと動揺すると言うか。」


「え?」


「キスしたくなる。」


私は慌てて自分の口を手で覆った。


「あからさまに拒否るなよ。」


「ごめん……。」


「それより髪、ボッサボサなんだけど。」


「え?」


「直していい?」


「あっ、うん。」


弓弦は真剣な表情で髪を整えようとしている。

それが何だか心地よい。


「だから、そういう表情するなよ。」


そういうって、どういう?って思った瞬間に……キスされかけた。


「ちょ……。」


「他の男の前でそういう表情しないでよ。」


「分からないよ。」


「自覚して欲しいんだけど。

めっちゃ色っぽい表情する時があるって。」


「ちょ……、何を……。」


「顔、赤い……。」


「見ないでよ。」


私は手で顔を隠す。


「可愛いなぁ……。」


弓弦がそう言って頭を撫でる。

ビックリするくらい心臓がバクバクして来た。





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