わからなかった

 白と黒の四角いタイルが敷き詰められた白い空間。空には草木が生い茂り、白一色となって世界を部屋を彩っている。

 そこに、異物感のある椅子と机がび二対あった。

 誰かが座っている。

 僕も真似て椅子に座ってみた。

 どこからか陶器のお皿が机の上に置かれた。あたりを見舞わしても、空虚なモノクロデだけ。

 机に目を戻すと、お皿の中に、何かがあった。

「なあ、そこの」

「なあ、そこの」

「お前だよお前、そこの」

 何かは喋っていた、感情の起伏のない、ただただ無機質な声で。

 何かから赤い液が出てきた。

いつの間にか、皿の左右に置かれたフォークとナイフで何かを食べた。

「あ”ぁい”っ」

呻いていた、体中がグシャグシャになって、赤い血を流していた。

 眼の前の人もなにか食べていた。

 よく見れば見たことがある人だった。

 自分だった。

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