ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! ミドくううううううううううううううううううううううううううううんんんんんん!! 死んじゃイヤっスううううううううううううううううううう!!!」
フィオはミドに覆いかぶさって叫んでいる。するとマルコが横で悔しそうに言う。
「ボクのせいです……ボクがもっと、もっと頑張っていれば……」
「こんなことなら、もっとエッチなことも許してあげれば良かったっスうううううううううううううううううううう!! お尻くらい触らせてあげれば良かったっスうううううううううううううう!!」
フィオは倒れているミドに覆いかぶさるように抱きついて泣きわめいている。マルコも膝をついて歯噛みしながらミドの側で涙を流している。
その時、背後に誰かが歩いてくる足音が聞こえてきた。足音の主が二人に言う。
「……何やってんだ? お前ら」
「ひぐっ! えぐっ! ぎ、ギールぅうううううううううううううううう!!! ミドぐんがぁぁああああ! ミドぐんがああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
そこに立っていたのはキールだった。
顔面の穴という穴から涙やら鼻水やらなんらかの液体を垂れ流しながらフィオが叫んでいる。マルコはキールを直視できず、
どうやらキールは歩ける程度には傷が治った様子だ。服は破れたままで、奥には痛々しい傷跡が見えるが、キール本人は平気そうな顔をしている。よく見るとキールはミドの生身の肉体を背負っていた。そしてキールが言う。
「とりあえず
「何言っでるっズかぁぁぁあああああああああ!! よく見るっズぅぅううう! ミドぐんの生命線はぁああああああ! ミドぐんの生命線はぁぁああ、もう
「は? 何言ってんだ。繋がってんじゃねぇか」
「ひっぐ! ひっぐ! ……え?」
キールに言われて、フィオとマルコがミドの生命線を見た。二人は目をこすって凝視する。そこには、ゆらゆらと揺らめいている生命線が見える。その先を目で追っていくと、しっかりとミドの肉体と繋がっていた。フィオとマルコが、そんな馬鹿なといった表情で驚く。マルコが言う。
「え、どうして!? 確かにさっきまで……」
「う、嘘じゃないっス! 本当にさっきまで切れてたっスよ!! 奇跡っス! 奇跡が起こったっス!!」
フィオがキールに向かって弁解するが、キールは「ヘ~、キセキカ~、スゲェナ~」とまったく信じていない様子でミドを零体の隣に寝かせた。するとノイズが走るようにミドの霊体がブレ始めた。そして霊体が磁石で吸い寄せられるように肉体の方へ動いていく。そのまま重なっていくと、ゆっくり同化して一つになっていった。
「──う」
そのときミドの肉体から声が漏れた。キールとフィオ、マルコの三人は緊張が解けたように口元が緩み、そのまま見守る。するとミドの青白かった肌が徐々に血色が良くなっていき、頬が桃色に染まる。それを確認した三人はミドが肉体に戻ってきたと確信した。
「うわぁあぁああああああああああああああああああああああああああああああああんんんっ!! ミぃいいドぉぉおおおぐぅううううぅぅん〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰!!!!」
フィオは感極まって、ボディプレスでも仕掛けるような勢いでドスンッとミドに飛びついた。
「ぉごふっ!?」
「ミドくぅぅううううううううううううううううううううううん! ……あれ??」
「〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰ッ!」
その時フィオの頭がミドのみぞおちに直撃して、ミドが悶絶して苦しそうにプルプル震えている。
「ミドぐぅううううううううううううううううううううううううううううううんんんん!! 死んじゃダメっスうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!」
「お前がトドメ刺したんだろうが」
キールは呆れた様子で言う。するとその近くでマルコが悲しそうな表情で立っているのに気付いたキールが声をかける。
「マルコは無事か?」
「はい」
「あの二人は気にすんな、いつものことだから。どうせミドがセクハラでもしてフィオが怒り出すってのがお決まりのパターンだ」
キールがまるで預言者のような口ぶりでマルコに言う。すると言ってるそばからフィオの叫び声が聞こえてきた。
「んぎゃああああああああああああああああああああああ!! ちょっと、どこ触ってるっスかああああああああああああああ!!」
「あれ~、おかしいな~。夢の中で『エッチことしてもいい』ってフィオに許してもらった気がするんだけどな~」
「そんなこと許した覚えはないっス!! いっぺん死んだ方がイイっスぅ!!!!」
「ちょ!? フィオそんなもの人に向けちゃダメだよ! キール! ごめん、助けてぇ! まだ体がうまく動かせなくって……。フィオ待って、落ち着いて! 話せば分かるからああああああああああああああああああああああああああ!」
どうやらミドがフィオのお尻を撫でまわしたのがきっかけのようである。火炎放射器をミドに向けながらフィオが感情的になっていた。
「ほらな」
「あぁ……なるほど」
キールは振り返ることすらせずに言った。マルコは少し納得したように同意する。
そして、やれやれといった態度でキールが近づき、ミドに肩を貸して立ち上がる。フィオを落ち着かせるように、両手を上げたマルコがミドの盾になるように立つ。するとミドがいつものようにヘラヘラと言う。
「お疲れキール。いや~今回は大変だったね~」
「まったくだよ。ミドといると人生飽きねぇよ」
「それは良かった。人生には適度な
「ふざけんな。いくら
「それもそうだね~」
ミドとキールはお互いに軽口をたたいて、最後には小さく笑い合った。
「それからフィオ。お前、アレどうするつもりだ?」
「へ? 何の話っスか?」
「アレだよ。お前が派手にやったんだろうが」
キールがアゴをクイっと動かしてパプリカ王国の方に目を向けている。フィオも同じ方角を見る。
どうやらドッペルフを討伐した結果、女神の絵本の呪いは消滅したようだ。亡霊らしき存在は一体も見当たらず、パプリカ王国を
──しかし、それ以外の別な問題が広がっていた。
「あ」
「あ、じゃねぇよ」
フィオが声を漏らすと、キールが間髪入れずに言った。
パプリカ王国からオレンジ色の熱い光と、真っ黒な煙を立ち昇っている。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
「いやああああああああああああああああああああああ! 誰かあああああああああああああああ! なんとかしてえええええええええええええええええ!!」
「水だあああああああああああああああ! もっと水を持ってこおおおおおおおおおおおおおおい!!」
「一体誰なんだ! こんな酷いことを!!」
国民たちは亡霊から肉体に戻ったのは良かった。しかし目覚めて最初に見えた景色は火の海と化したパプリカ王国だったのだ。
まるで地獄絵図のように燃えている国のあり様を目の当たりにして阿鼻叫喚だ。燃え広がっている炎を必死で消そうと水をかけている大勢の人たちが見える。
現状では人の住む建物に燃え移っておらず、大半が街路樹や人の住んでいない空き家である。フィオも人が住む民家は避けていたようだが、このままでは
「あ、あぁ……」
「あのままだと家や店にも燃え移るだろうな。そうなったら竜肉のから揚げどころじゃねぇな」
フィオがパプリカ王国に来たのは珍しい竜肉の専門店があるというのが理由だ。このままでは竜肉どころではなくなってしまう。
フィオは脂汗を垂らしてプルプル震えだし、振り返って叫んだ。
「ミドくん! なんとかしてほしいっス!」
「えぇ!?」
ミドはフィオに責任を丸投げされて困ったように笑う。キールが「逃げるか?」と聞くとミドは少し沈黙してから言った。
「キール、ボクをあそこまで運んでもらえるかな」
「わかった」
そういうとキールがミドに肩を貸したまま歩き始める。向かった先は王家の墓を覆っている大樹の中心である。ミドはそこまで行くとキールから離れて大樹に触れてつぶやいた。
「森羅万象 ──
ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……ドクン………………………………………………。
その時、地面が揺れ動く。
ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンっっっ!!!
「!!?? なななななな、なんスかぁ! 何が起こってるっスかあああああああああああああああああああああああ!!!???」
フィオは突然の地震のような揺れに驚いている。マルコもどうすればいいのか分からずオロオロしながら周囲を警戒している。
ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン!
ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク! ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ! ドドドドドドドドドドドドドドド!!!
ミドの森羅が生み出した大樹がドクンドクンと脈打ち出す。その速度は徐々に上がっていき、心なしか大樹が少しイキリ立って膨らんでいるように感じられる。
大樹の新緑の葉が
すると水滴は突然、上空目掛けて水鉄砲のように撃ち放たれる。その勢いはミドが放つ『
大樹から放たれた水滴は上空で雨雲を生み出し、一瞬でパプリカ王国全土の上空を覆いつくした。ゴロゴロと不穏な音を立つ。するとポツリポツリと小さな水滴が地面に落ちて弾かれた。
──次の瞬間。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
とてつもない豪雨がパプリカ王国に降り注いだ。その勢いは激しく、あっという間にパプリカ王国の火事を消し止めてしまったのだ。
ぱふんっ!
王家の墓を包み込んでいた大樹は水弾を吐き出し終えると一気に枯れていき、ピンクの花びらを散らせながら一瞬で消えていった。
雨が降っていた時間は、およそ三分程度だろうか。豪雨がおさまり始めると雨雲の間から光が差し込んでくる。神々しい光が差し込んでくる先に七色の虹が生まれ、パプリカ王国の空を美しく彩った──。
しかし王家の墓の上では、その美しい光景にそぐわない会話が繰り広げられている。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、もう最悪っス! 下着までビッショビショっスよぉ!」
「それは大変だ! 風邪ひくといけない。早く着替えるんだ! さぁ、早く服と下着を脱いでフィオ!」
「ちょちょちょ、ちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 素っ裸にされるっスううううううううううううううう!!」
ずぶ濡れで透け透けのフィオの服をミドが掴んで引っぺがそうとする。しかし、得意の四次元袋から木製バットを取り出したフィオが、ミドの顎をグイグイ押して抵抗している。
二人のじゃれ合いを見てキールは、またかと呆れてため息をつく。すると傷口に響いたのか「あっ、
「…………ふふっ」
それを見ていたマルコは堪えきれずクスっと笑ってしまう。
「あっ! マルちゃんにまで笑われたっス! ちょっと、早く離れるっスよミドくん!」
「ダメだよ! フィオが濡れたのはボクの責任だ! 早く一緒にお風呂に入ろう! さぁ、恥ずかしがることはないよ。ボクとフィオの仲じゃないか!」
「
最後には、ミドの
こうして、パプリカ王国の事件は幕を閉じた──。
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