TSロリサキュバスの健全配信活動!

吉武 止少

第一部プロローグ

第1話 えっちな女の子デビュー


 大学三年生のゴールデンウィーク、おれは死んだ。

 死因は多分だけど自動車事故。

 車を買ったばかりの後輩、望田大悟もちだだいごに誘われてのロングドライブ。その予定だったんだけど、高速で逆走してきた車が正面に突っ込んできて、男二人の悲鳴が車内に響き渡ったところで意識は暗転。

 そこで俺の人生は終わった。


 ――と思っていたら、意識は再び覚醒した。


 転生モノの小説とかにありがちな展開のやたら若い美人なママンのおっぱいを吸っていたわけでもなければ、『本当は死ぬはずじゃなくて』とかそういう解説とともに便利な超絶チートをくれる神様もおらず、目を開けたらそこは異世界だった。


 トンネルを抜けたら雪国だったレベルの唐突さである。


 おれが目覚めたのは異世界と聞いて多くの人が思い浮かべるであろう剣と魔法のファンタジー世界。

 中世ヨーロッパ風の文明は科学の代わりに魔法が発展しており、エルフや獣人がいわゆる普通の人とともに暮らしている。

 国はいくつかにわかれていたけれど、全面戦争をするほど仲が悪いところはなし。なぜならば、これまたよくある話で魔王率いる魔族の国が共通の敵として認識されていたからだ。

 ちなみに奴隷も存在する。

 真っ裸のおっさんたちが檻付きの馬車でドナドナされていったり、真っ裸の女の子たちが鎖に繋がれた状態で首から値札を掛けられているのを見た時はドン引きだった。

 異世界転生なら奴隷を買ってめっちゃ懐かれるのもテンプレだ。おれは気を取り直して奴隷ハーレムを築こうとした。

 しかし、大きな問題が立ちはだかった。


 おれはサキュバスだったのだ。


 淫魔サキュバス


 魔力量は高いものの攻撃魔法はあまり得意ではなく、幻惑やら認識阻害、判断能力低下といった補助魔法で撹乱かくらんしたり、密偵として敵地に潜入する魔族のことだ。

 肌の色は一般的な人間と一緒。

 悪魔的な翼や角、尻尾がついてるものの、意識すれば隠せるので見た目はそのまま人間になれる。

 サキュバス族の者は例外なく超ド級の美人であり、そしてしかいない。


 そう。

 おれは女の子に転生したのだ。

 それも悪魔っ娘。


 転生直後におれを保護してくれたのがこの淫魔のお姉さんで、ボンキュッボンのダイナマイトボディにコケティッシュな雰囲気が良く似合う美人さんだった。

 淫魔は魔素溜まりと呼ばれる魔力の淀んだところに自然発生する種族らしく、似たような種族なら発生前になんとなく生まれるのが分かるらしい。だからこうしておれが生まれるのを待ち構えて、いろんなことをレクチャーしてくれたのだ。

 おれが発生したのは人族の領域であり、お姉さんは潜入工作をしている最中なんだとか。


 お姉さんはほぼ一日を掛けておれにこの世界の常識を教えてくれた。普通はもう少し時間がかかるものらしく、『頭が良いのね』なんていいながらたわわに実ったメロンでおれを挟んでなでなでしてくれた。

 もうそれだけでヤル気マックスになり色々聞いたけれど、まぁサキュバスという種族そのものが割とハイスペックなんだろうな。おれはもともとそこまで頭良くなかったし。

 そのあと数時間ほど魔法の手ほどきをしてもらったけれど、これまたあっさり習得した。こっちは種族特性なのか、まったく苦労しなかった。

 目の前に魔法陣みたいなのを出してもらったときはファンタジー感満載でちょっとテンションあがったけれど、なんかさらっと覚えられてしまって肩透かしである。

 お姉さん曰く、これもまた優秀な部類に入るらしい。

 そして、その日の夜にはもレクチャーしてくれた。

 文字通り、手取り足取りレクチャーされた。あれよあれよという間にベッドに運ばれてしまい、


「女の子同士でも、すっごく楽しめるのよ?」


 なんて言葉とともに襲われた。


 おれは、おとことしてのそんげんを、うしなった。


 まぁ詳しくは思い出したくないけれど、そういうことが得意な種族だってのははっきりした。

 うん。なんかもう、すごかった。

 ちなみに「最初の相手は自分で選びなさい」ってことでブチってならないようにしてもらったので分類上は未だに未経験である。

 多分永遠に男の相手はしないだろうけども。

 考えただけで吐き気がする。

 サキュバスはそういったことをされたり、あるいは誰かにすることで精気を得る種族らしく、普通の食事はしなくてもOK。もちろん普通に食事することもできるけれど、エネルギー効率が格段に下がるらしくて、おすすめは誰かと致す・・ことだった。

 ちなみにその時にいろんな液体が出ることもあって、水分補給は必須。

 なのでサキュバスはおしっこはするけどうんちはしなくて良いのだとか。まぁ普通の食事を続ければうんちもするんだけど。

 朝になって仔鹿みたいにぷるぷるしていたおれに、お姉さんが魔領の方向を教えてくれた。

 そして、潜入工作の途中だから、とあっさり別れた。

 残されたのは昨日、お姉さんに責められすぎて足腰おぼつかない俺。

 ちなみに鏡で確認させてもらったおれの見た目はストレートのプラチナブロンドを背中の辺りまで伸ばした北欧風の美少女だ。年齢は12歳くらい。透けるような肌に桜色の唇。大きな目はぱっちり二重で、瞳の色は澄んだ紫色ライラック。見た目12歳なのに、鏡の前で笑顔になってみたりポーズを取ってみたりすると少し妖艶にすら見えるからサキュバスって凄い。

 あ、おっぱいもあります。

 ちなみに尻尾はふとももくらいまでの長さで、根元をイジられるとやばい。

 羽根は正面から見るとわずかに肩からはみ出して見えるくらいのミニサイズだけど、ぱたぱたしながら魔力を放出すると飛べる。こっちも根元の辺りはやばい。

 まぁ何はともあれ、おれは異世界でえっちな女の子デビューを果たしたのであった。

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