囘魂

ハヤマ

第1話 奥底の知られざる神様

 轟々荒れ狂う波風に、白い着物を着て倒れ伏す女性の黒い髪がさらわれる。

 空もすっかり黒く塗りつぶされ、足首辺りで波打っていた水が膝、腰、胸へとどんどん押し上がっていく。


 女性を取り囲んでいた人々は皆、水に飲み込まれ姿を消す。そんな光景を離れて見ていた自分は、逃げるでもなく自らその中に入り深く潜る。すると先程まで取り囲まれていた女性を見つけ手を伸ばす。


 やがて伸ばした手の向こうで、大きく、形容し難いナニかの気配がし、目の前が白く眩く光る。

 



 それに思わず眼を閉じてしまう――









---------------



 春にしては少し肌寒い風が、少し空いた窓から流れ吹き、サラサラと茶色の髪が後ろに流れる。

 自身の机の上には朝配られた進路希望のプリントが置かれ、握るシャーペンは書くでもなく唯彷徨うだけ。

 夏休みまでに提出だが、未来の進路など考えておらず、どうしようかと悩む少年、神野 湊かみの みなとは窓際の席で頬杖をついて外を眺めていた。

 5限目と6限目の間のたった10分間の休憩。クラスメイト達はもう放課後何するかの話で盛り上がっていた。

 休憩を有意義に使わずに、ぼうっとする自分の前の席にどかりと座る音が聞こえた。


「おきろーみなと。あと6限目だけだぞ!」

「寝てないし声でかいってしゅう…」


 遊んでいたシャーペンを置き、じとりと睨む。しゅうと呼ばれた少年はニッカリ白い歯を見せ笑う。


 柊とは高校に入ってから知り合い、友達になった。背は湊より低く、黒い髪に眼鏡をかけたごく普通の男だ。


「昼ご飯の後の世界史とかまじで地獄だって…」

「たしかに、あのおっとりした先生の声やばいよな!どうぞ寝て下さい!って言ってるようなもんだよ」


 世界史の先生の声真似をし、またケラケラ笑いだす。よく笑う男だと思っていたら、急に湊の机に身を乗り出して聞いてきた。


「なぁなぁ、今日バイトある?」

「今日はないよ」

「じゃあさ帰りに行きたいとこあんだけど、一緒に来てくんない」

「…どこにいくんだよ」

「詳細はまた放課後言うからさ、な?」

「ん〜」


 やけにキラキラと目を眩かせて見てくる柊に、何か良からぬ事を考えているなと、湊の直感が訴えてくる。しかし特に断る理由も見つからないので、ふたつ返事で承諾すると、柊は「よっしゃ!」と大袈裟に喜ぶ。


「そういや何書いてんの?…あー朝配られたやつか」


 進路希望調査票という字に、柊はうげぇっと顔を歪める。


「進学は金銭的に無理だから行かないけど…。だからといって働きたい仕事も無いんだよなぁ」


 頭を抱える湊に、いきなりシャーペンを奪い取ったかと思うと、柊は勝手に落書きをしだした。


「ちょっ!何すんだよ!」

「将来有名になるであろう俺が!直筆でサインしてあげているのだよ」

「いらんって!」


 無理やりプリントを奪うと、妙に上手い柊のサインと、湊くんへ♡という文字が書かれていた。


「消すのめんどくせーよコノヤロー」

「自慢していいのよ?」

「誰がするかアホ」


 そんなやりとりをしていると、あっという間に休憩時間が終わり、6限目の授業開始合図のチャイムが鳴り響く。


「やっば、授業始まる…んじゃまた後でな」


 慌てて席を立ち上がり、自分の席に戻っていく柊。結局書けず、変なサインまで貰った進路希望プリントは、鞄の中へ入れたのであった…






「気をつけて帰れよー」

「先生ばいばーい!」

「さよならー」


 やっと今日の授業が全部終わり、校門にいる先生に生徒達は挨拶をして家に帰る者、遊びに行く者と分かれていく。

 普段なら真っ直ぐ家に帰る湊だが、今日はぐいぐいと腕を引っ張る奴がいる。


「こっちこっち」

「こっちって・・・俺らの家と真逆の方向じゃんか。何処に行くつもりだよ」


 用事は無くても出来れば日暮れまでには帰らなくてはいけない湊は聞く。


「だーいじょうぶ!そんな遠くないし、おばさんにも迷惑かけないからさ」

「いや、それもあるけど場所は…」

和公園わこうえんのちょい先の建物」

「何の為にだよ」

「それは現地に着いたら言うよ」

「まじかよ……」


 行き先を聞いてもまったく検討がつかないし、唯遊ぶだけでもなさそうだ。

 半ば引っ張られながらニ人は和公園前わこうえんまで来た。ここの公園は名前の通り一般的な公園なだけでなく、昔ながらの小さいお寺みたいな建物や池があり、観光に訪れる人もいる程美しい。そんな所をわき見もせず通り過ぎ、建物が並び立つ道へ吸い込まれていく。

 やがて目的地に着いたのか、柊は立ち止まり湊の腕を離す。

 ようやく解放された腕を摩りながら湊は口を開く。


「ここが行きたかったとこ?」

「いんや、この奥」


 奥、と言うや否や、柊は建物の路地へと戸惑いなく足を踏み入れる。

 いきなりの事に驚きを隠せず、湊は慌てふためく。


「な、なにしてんだよ!誰かに見られたらどうすんの」

「大丈夫大丈夫。静かにしてれば見つかんないから」


 そう言いながらお構いなしに奥へと進む柊に、もうどうにでもなれ!っと湊も後を続く。


「最近この建物の裏路地から子供の声が聞こえてくるって話をクラスの奴から聞いてね…ならこの幽霊調査隊である俺"ら"の出番ではないかと思ってね」

「俺は調査隊に入った覚えないぞ!」


 この柊という男は超が付く程の幽霊、UMA好きなのである。湊はというと、あまりそういったモノには興味が無い。しかし毎回心霊スポットやクラスメイトが噂する場所へと"調査"というていで乗り気じゃない湊までも巻き込んで柊は行く。

 

 今も湊にお構いなく進んでいく背中に、一発だけ平手をしたのはしょうがないだろう。

 あまりの痛さに小さく悲鳴を上げて蹲る奴を追い越して先に進み、漸く建物の裏側へと辿り着く。ひょこっと角から頭を覗かすと、奥には木々と赤いのが見えた。


「なんだあれ?」

「いつつ…どーしたぁ。なんか見える?」


 ニ人して見るが、日陰のせいかよく見えない。正体を突き詰める為、慎重に近づくと、なんと湊が頭を下げれば通れるくらいの小さな鳥居であった。年月が経っているのだろう、所々綺麗な色が褪せている。


「建物の裏にこんな所があったなんて。あ、鳥居の先に階段あるよ…柊?」


 急に静かになった友達が心配になり振り返る。すると柊は俯いていた頭をバッと上げ、声を大にして言い放つ。


「よし!この先は湊隊員に任す!!」

「はあぁっ!?何急に怖がってんだよ!!言い出しっぺが先行け!!」

「いやいやいや無理無理こんなとこあるなんて地元に産まれてこの方初めて知ったし雰囲気怖いし」


 ぐいぐいとお互い押し合う。暗さが相まってか、怖さが浮き出た柊は一呼吸でそう訴えた。


「お願いします!今度奢るから先見てきてよ!!」

「んなので釣られるかっての!嫌ならもう帰るぞ」

「そんなぁ〜〜」


 幽霊・UMA大好きな割に怖がりな柊に呆れながら、来た道へと振り返る。



その時――






チリィーーーーーン





 とても澄んだ綺麗な鈴の音が、湊の耳に響いたのであった。

 

 その音に釣られ、鳥居の方へ再度向く。が、それ以外特に起きず、柊も特に何か聞こえた反応もしないので、聞き間違いかと思う。しかし何処か胸がざわつき落ち着かない。


「…お、おい?どこ行くんだよ湊」

「え……?」


 後ろから柊の戸惑う声に、鳥居の奥へと持ってかれていた意識が醒める。どうやら無意識のうちに足が前へ動いていたみたいだった。

 あんなに嫌がっていたのに、いきなり黙り出し、一点を見つめて歩き出す様は誰が見ても不気味だろう…

 尋常じゃない湊の様子に柊の顔が青褪めていく。


 暫くの沈黙に耐えきれず、


「も、もう帰ろっか…ね?もしかしたらクラスの奴が聞いた子供の声って、裏の林で遊んでる声が響いただけなのかもだし。帰ろう、湊」


 湊を落ち着かせる為か。自分自身に言い聞かせている為か。はたまたその両方か…柊は落ち着いた声で言う。

 そうしてまた湊の手をとろうと腕を伸ばしたとき、湊は背後に鳥居がある方へ一歩、柊の目を見つめながら下がり、柊の手を避ける。


「み、なと……?なにやってんだよ…はやくかえ「ごめん」…へ?」


 落ち着きが崩れ、震えた柊の声を謝り遮る。

 

 怖い…けどそれ以上にこの胸のざわつきが何なのか好奇心が勝り、どうしても湊は知りたかった。


「おれ…鳥居の先見てくるよ。柊はここに残ってて」

「はぁ!?ばかっもういいって!」

「大丈夫、何かあったらこの御守りが守ってくれるし」


 そう言い、ブレザーの内ポケットから手作り感溢れるボロい御守りを取り出す。


「いやそれ手作りっぽいじゃん!しかもかなり古いし。てかそんなに行きたいなら俺も行くし!」


 あまり御利益が無さそうなその見た目に、柊は思わず叫ぶ。

 しかし当の本人はというと、絶対の安心があるのか、表情が笑っていた。


「駄目、絶対ここに居て。それにコレは俺が子供の時から持ってるやつなんだけど、こうやって両手で包み込んで胸や額に当てると守られてる安心感があるんだ」


 保証の無い言葉。だが湊は、まるで本当に誰かが自分を守ってくれているかの様な顔に、柊はとうとう折れる。


「分かった、俺はここで待ってる…で・も!10分経ってもここに戻って来なかったら俺もそっちに向かうからな!」


 携帯のタイマーを起動し、湊に見せつける。画面には9分59秒から1秒ずつ減っていっている。


「ありがとう。それじゃ行ってくる!」

「転んで怪我とかすんなよ!」


 心配してくれる柊に手を振り、鳥居の前まで進む。潜る前に一礼して「お邪魔します」と、この先に居るであろう神様に頭を下げる。鳥居を潜ると、何か不思議な感覚にあう。まるで薄い膜を纏ったような破ったような…。

 暫く細い野道を歩くと、階段にあたる。

 建物があった場所とは違って木々に囲まれており、本当に不思議な場所である。

 階段を一段と上がるにつれ、不思議と先程までの恐怖が無く、逆に親しみがあった。

 決して階段下からでは見えなかった先の景色はどんなものであろうか。


 最後の一段を上り、意外と急だった階段に疲れた頭を上げると…


「きれい」


 ポロリと言葉が口から零れ落ちる。


 穏やかな風に吹かれ、青々とした葉達がサァサァと音を奏でる。

 日差しが差す開けた場所には人一人くらい余裕で入れそうな祠が建っていた。


 木々の奏でる音に乗る様に、祠へと足を進める。もう胸のざわつきは無い。

 御守りを握りしめながら辺りを見回すが、祠以外何も無い。一応祠には木製の扉があり、中に入れそうだったが、そんな罰当たりな事をするほど湊は落ちぶれていない。


 あの時聞いた鈴の音の正体らしきものは見当たらなかったが、これ以上居たら柊が来てしまう――そう思った湊は祠を後に、階段の所まで戻る。


(鈴の音と胸のざわつきは何だったんだろう…)


 何はともあれ、ここに用は無くなった。もう来ることは無いであろう。そう湊は思い一段階段を下りる――




ギィ…


「え?」


 いきなり扉の音が聞こえ振り返る。


「…あいて、る」


 開いてる

 

 祠の扉が、






 



 開いていた。




「ッ…!!」


 瞬間、心臓が暴れだす。

 冷や汗が背中を伝い、口が震える。


 少し開いた扉の奥は真っ暗で何も見えない。しかし確実にがそこに居る。


「ァ…っ……」


 震える口からは掠れた空気しか出ない。

 何秒、何分、何十分経っただろう…、扉の奥から目が離せずその場所で固まったまま時間だけが経つ。


チリン――


 あの音だ。

 あの時聞いた鈴の音がまた響くと、漸く奥に居たであろうモノの手が、扉に手をかける。

 その手は子供なのか、小さくて白い。

 扉に手をかけたが、特に開けようとせず、まるであちらも湊を覗いて見ている様な感覚になってくる。

 

 未だ石の様に動かない足の上に何か柔らかいものが落ちてきた。すると硬直が解れ、自由に動かせる様になり、すぐさまここから離れようと踵を返し、階段を駆け下る。


 息を切らしながら鳥居の元へ一目散に走る。すると携帯と睨めっこする柊の姿が見え、一気に疲れがどっと襲う。


「湊っ!おかえ〜ってどうした!?」


 鳥居を潜りその場で膝に手をつき肩で呼吸する湊に、柊は慌てて近寄ってきた。


「どどど、どうしたの?向こうになんかあったのか?」

「ゲホッ…ゲホッ!!だ…だいじょ、ぶ……オエ」


 ほぼ全速力でここまで戻ってきた為えずく呼吸。優しく背中を摩る柊に、もう帰ろう。と湊は言った。


「もう大丈夫。待たせてごめん、柊」

「全然!5分ちょいしか待ってないし」

「5分…?」


 柊の言葉に表情が固まる。

 あの祠での出来事が、湊にとって何十分にも感じたのに…。それがまだ5分しか経っていないのだという。


「ほら!また湊が可笑しくなる前に離れるぞ」


 固まっている湊を、柊は行きと同じ様に引きずってこの場を後にした。



---------------



 和公園を通り過ぎ、学校まで戻ってきたニ人。時刻はまだ16時半を回ったとこだ。


「…なぁ」

「なに」


 ここまで無言だったが、何か言いたそうに柊が口を開く。


「あそこで何があったのか言いたくないなら俺は聞かない。狐に化かされたんだと思う事にする。でもさ、一応神社にお参りしていこうよ」

「神社…」


 思い出したくないトラウマは無理に聞かない、と柊は優しく声をかける。しかし湊は神社という言葉に身を縮こませる。

 どうしても先程の祠が頭にチラついてしまうのだ。

 その様子に絶対寄ろうと固く決意した柊は、「ほら、ここだよ」と足を止める。


 見ると先程よりも立派な階段があり、上には大きな鳥居が覗いていた。


「初めて寄るかも」

「まじで!?湊ここに引っ越してきてから結構経つじゃん!」

「越してきたときは高校受験とかに忙しかったし、今はおばさんとニ人暮らしで生活費の負担が減る様バイト漬けだったりであんま外でてなかったから…」

「あー、そっか…。でも初詣とかはどうしてたのさ」

「ここでは一回もしてない」


 まじか…とあんぐり口を開ける柊に、初詣に行かないのがそんなに変なのかと疑問に思ってしまう。


「じゃさ、来年の初詣一緒に行こうよ」

「今4月だぞ。まだまだ先だなぁ」

「良いだろ!約束に時期なんて関係ないし」

「あははっ、良いよ一緒に行こうな」

「おう!」


 まだ先の約束事に顔を見合わせて笑い合う。そうして階段を上り切り、鳥居を潜ると、


「すげぇ、蛇がいっぱいある」


 参道の横の台には小さな白い蛇の置き物が幾つも置かれてあった。


「ここはな、大昔雨が降らず畑が枯れて困っていた村があって。神様に雨乞いをしたところ、大きな水の柱がたち、その水飛沫が雨へと変わり大干ばつを免れたって話があるんだ。村人はその時のお礼に神社を勧請して、水の柱がまるで大蛇の様だったから蛇をお祀りするようになった。って伝えられてるよ」

「へぇ〜。流石、詳しいね」

「まぁな!でも諸説が色々あって、雨乞いに人身御供や、蛇じゃなくて龍だったっていう話もある」

「曖昧なんだな」

「そんなもんだよ。結局は、神様のことなんて人間には分からないのさ」


 下がった眼鏡を掛け直しながら柊はなんて事のない様に言ってのける。

 ふと並んでる蛇のひとつに目がとまり眺める。


 とぐろを巻いた白い身体が、紅い目をより一層際立たせる造りになっている蛇の置き物。まるで今にも動き出しそうである。


「一個買ってく?」

「ん〜いや、いい」

「そっか」


 まじまじと眺めていた湊に、柊は買っていくか聞くが、置く場所に悩んだ為、今は買わないことにした。


「ほら、ここでお参りしてこ」

「うん」


 拝殿前にある御賽銭にお金を入れ、大きな鈴の付いた紐を揺らす。


カランカラン


 落ち着く音を聞きながら、ニ人目を閉じ祈る。

 あそこでの出来事は、もしかしたら祠の中に子供が悪戯とかで入ってしまい、そこへ湊が来てしまった為、出るに出れなかったのかも。と思うようにした。


「よっし!お参りもしたことだし、帰ろう!」

「そうだな」


 お参り効果だろうか、重たかった空気も軽くなり、すっきりした表情で鳥居を潜れた。


「ごめんな…俺があんなとこに誘わなければこんな事になんなかったのに」


 珍しくしょんぼりして謝る柊に、湊は思わず笑ってしまった。


「今に始まった事でもないし、それに止める柊を押し切って行ったのは自分だよ。お前が謝る事じゃないよ」


 低い身長を更に縮こませる柊の背を伸ばす為、思いっきり平手打ちをする。

 バァン!っと良い音と柊の悲鳴が響き渡り、声を出して笑う。


「いって〜〜!!」

「あはははははは!」

「湊テメェ!!」

「ごめんごめん!ってかなんか音聞こえね?」

「音ぉ?」


 騒ぐ合間に、着信音みたいなのが微かに聞こえる。湊の携帯は音が出ないように設定してあるので、多分柊の携帯だろう。鞄の中に手を突っ込み探している。


「鞄中汚ったな」

「だまらっしゃい!」


 軽口を叩きながら漸く見つけた携帯の通知を見ると、どうやら電話ではなかったらしい。


「母ちゃんからrimeだ」


 何か用事だろうか、そう思いアプリを開いた途端、柊が固まってしまった。


「どした?」

「…湊」

「お、おう」


 俯きながら湊の方へ向き、そのただならぬ様子に戸惑ってしまう…が、次の柊の言葉に湊は呆れ返ってしまった。


「母ちゃんに俺の秘蔵のエロ本がバレちゃったよぉ〜!!!」

「…はぁ?」


 見せてきたrimeの会話には、確かに数冊のエロ本が並べられた画像と、柊の母が煽る様に送ったスタンプ。


「隠してたのに!!気まず過ぎて家帰れないよ!!湊、重ねてお願いがある!今から家遊びに行かせて!!!」

「いや素直に謝ればいいじゃん!急にはおばさんも困るし」

「無理だよ〜、エロ本の内容熟女系なんだよ!!おばさんにも一応聞いてみてよ、ね?」

「お前の性癖なんか聞きたくなかったよ・・・」


 仲良い友達からのとんでも発言に引きつつも、仕方なしにおばさんに連絡をする。既読がすぐ付き、「いいよ!」っと可愛らしいスタンプと共に返信がきた。


「おばさんに感謝するんだな」


 湊に「ありがとうございます!!」と泣きつく柊に、そう言い放った。


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