入国手続き
「『ベネット王国全街道休憩広場専用他国発行商業許可証』は1,500ランドですが、入国時に国境の検問所で購入すると、入国税が免除されるとありますよ」
「入国税?そういえば、帝国に入ったとき、払った覚えがありませんね……」
「エマ様、今頃そんな事を……」
どうやら、国境の検問所を通らなかったので入国税を取られなかったのですが、不法入国状態だったのです。
バンベルク大主教領発行の身分証を頂いたので、不問に付されたのです。
「身分証を要求されたから、そのあたりをお考えになっていたと思っていましたが……」
「考えたこともございません!」
「胸を張ることではありませんが……」
「魔法が記載されていませんので、『収納』に税金が掛りそうな物は入れておきましょう♪」
「エマ様、私たちはパン屋ですから、なにがしかのパンを置いておかれた方が、よろしいのでは?」
クロエさんの提案で、朝、宿でせしめたパンとソーセージとビーフジャーキー、そしてカンパンの缶詰、10缶ほどの中身を●イソーさんの巾着型のトートバッグにいれておきました。
「試作品とかいえばいいでしょう♪」
その日のお昼は、帝国領最後の休憩場所で取ることにしました。
メニューはというと、珍しく『沖縄ソバ』、なんと100円であったのです♪
ネギのほかに、ちょっとだけ紅ショウガとお肉も入っています♪
このお店のメニュー表から、揚げ物、100円以下で買えるものを網羅したエマさんです。
魚、イカ、ゲソ、野菜のかき揚げ、イモ、カボチャ、チキン、ゆで卵、ウィンナーの天麩羅、ハッシュポテト、野菜コロッケ、うずら卵フライ、ハムチーズ、ベーコン巻ウィンナー、チーズオムレツ、ミートボール串、オリジナル唐揚げ
17種類、全て3等分にして、お皿に盛り付け……なんとも芸が細かいようですね。
ご飯はおにぎり等……
炊き込みご飯、みそ、鮭、ミニいなり……
梅干しは2人には口に合わないと判断したようで、これは1種類ずつ、お皿にもっていました。
「気に入ったものがあったら云ってね♪」
この美女3人組、健啖家なのです……
2人はフォークなんて物で、『沖縄ソバ』をズルズル……
「ご主人様、この揚げ物はビールにあいますね……」
「フレイヤ、まだ日が高いのでお酒は駄目ですよ、貴女、馭者なのですから」
「……」
「もう、物欲しそうにするのですね、仕方無いですね……」
このごろ、コンビニでも、ノンアルコールビールは売っているのですよ♪
エマさん、中身は32歳のおっさんですからね、嫌いではないようです。
●ブンさんから、『ドライ●●』なんてものを取り寄せ♪
500ミリリットルをお1人様、1本ね……
「これね、ビールじゃないのよ、だから酔っ払わないわよ♪」
「えっ!これ、ビールでは無いのですか!」
「ノンアルコールビールといってね、ビール風味の飲み物なのよ♪」
「これならフレイヤが、日中物欲しそうにしたら、出してあげれるわ♪」
のんびりとお昼を取り、午後4時過ぎには、国境に……
出国は簡単です、身分証と商業許可書を検められ、馬車を調べられて終わり♪
さて、ベネット王国へ入国です。
「身分証を見せていただく」
「旅商人か?」
「はい、王都ロンバルまで行くつもりです」
「露天商売をするつもりか?」
「はい、『ベネット王国全街道休憩広場専用他国発行商業許可証』を、購入させていただきたく考えております」
「なんの商売をするつもりか?」
「主にパンを売りとうございます」
「商業許可書をもって、向こうに見える事務所で手続きするように」
そして、馬車を調べている方に、
「おい、調べは終わったか?」
「変わった物はありません、保存食料と生活道具ぐらいです」
「そうか、では関税はなし、入国税は馬車一台として100ランドだ」
素直に支払っているエマさんです。
「これが領収書だ、『ベネット王国全街道休憩広場専用他国発行商業許可証』を購入するとき、この領収書をみせれば、代金から引いてくれる」
「よし、行って良し」
事務所に行き、
「『ベネット王国全街道休憩広場専用他国発行商業許可証』を購入に参りました」
「これが入国税領収書と教皇領発行商業許可証です」
「全員の身分証も見せてください」
「これです」
「ほう、バンベルク大主教領発行の身分証ですか」
しばらく目の前で、これらの書類を確認されていました。
「全部偽造ではないと確認いたしました、こちらが『ベネット王国全街道休憩広場専用他国発行商業許可証』です」
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