第二部 ベネット王国 移動パン屋さん
第六章 帝国領を南下
旅商人エマと2人の使用人
ボロい馬車をフレイヤさんが動かして、バンベルクを後にした一行。
しばらくすると、エマさんが、
「1度、取り込んで新しくしましょう♪」
まっさらにしていました。
綺麗な幌馬車ですね、アメリカの西部開拓にでてくる、コネストーガ幌馬車に似ています。
全長5.5メートル、全幅1.2メートル、全高3.4メートルほど。
ここに簡易トイレを設置しているエマさんです。
「結構大きい馬車ですね♪フレイヤ、こんなの1日中動かしていたら疲れない?」
「大丈夫です、3台ぐらいは動かしていましたから」
「こんなに綺麗な女性に、幌馬車3台?スコーネ公国って野蛮なのね」
「綺麗なんて♪言われたことがなくて♪」
「ご主人様に綺麗なんて言われると、身体も元に戻ったし、今夜こそはお願いしますね♪」
「私も、月のものが終わりましたし、お願いしたいのですが……」
「フレイヤさんと2人でご奉仕とか……」
「そうだ、云うのを忘れていましたが、フレイヤは奴隷から解放されていますよ♪」
「えっ!」
「フレイヤは魔法が使えるのですから、自分のステータスが見えるでしょう?」
慌てて、ステータスを表示しているフレイヤさん。
「本当です!奴隷の文言が消えている……」
「これ、預かったフレイヤの身分証」
身分証って、別にステータスを表示すればいい事なのですが、旅をするには、名前が記載された書類に、『この者は領民である』と記載されており、住んでいた場所の領主の印が必要なのです。
定住しようとしたら、この書類を定住地の領主に提出するわけです。
定住しなければ、その都度通行税を支払うことになります。
希望定住地に入る場合でも、最初は通行税を支払うのですけどね。
この書類、この世界では『誓詞』と呼ばれていて、嘘を書くと不思議なことに赤くなります、その上、偽造が出来ません。
この『誓詞』は、高位聖職者が所定の紙に魔力を込めることで、完成するようです。
各地の領主は、最寄りの高位聖職者から、『誓詞』を購入しているわけです。
もちろん、身分証以外にも、契約とかにも使われますので、商人なども領主あたりから、購入したりしているようです。
一般的に見える2人のステータスを確認すると、
※※※※※
名前 フレイヤ
年齢 18歳
性別 女
称号 元スコーネ公国戦士、楯の乙女、旅商人使用人
バンベルク大主教領発行身分証、所持
雇い主 エマ
※※※※※
魔法 『怪力』、『俊敏』、『冷蔵』、『回転車輪』の記載はありませんでした。
エマさんのものは、
※※※※※
名前 エマ
年齢 15歳
性別 女
称号 元カペー王国マルタン侯爵家養女(元カペー王国ルルー子爵家長女)、元カペー王国王太子婚約者、『還らずの森』踏破者、元バンベルク大聖堂付属マルドゥク神殿警護騎士団バンベルク分団食堂管理人、旅商人
教皇領発行商業許可証、バンベルク大主教領発行身分証、所持
※※※※※
こちらも、
魔法 『収納』、『植物図鑑』
家事魔法 『洗濯』、『熨斗』、『乾燥』
は記載されていません。
クロエさんは、
※※※※※
名前 クロエ
年齢 17歳
性別 女
称号 元カペー王国王妃付き女官、『還らずの森』踏破者、元バンベルク大聖堂付属マルドゥク神殿警護騎士団バンベルク分団食堂使用人、旅商人使用人
バンベルク大主教領発行身分証、所持
雇い主 エマ
※※※※※
当然、魔法 『植物図鑑』は記載されていません。
「2人とも、私が雇い主になっているけど、我慢してね♪女3人の旅商人、仲良くしてね♪」
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