ビーフジャーキーシチュー?


「やれやれ、結構大変でしたね」

「でも凄いですね、あれだけの洗濯物、2時間ぐらいですよ♪」


「ここを放り出されたら、2人で洗濯屋でもする?」

「いいですね♪夫婦でお洗濯屋さん♪」


 もう、クロエさんの中では、夫婦確定なのですか……違和感あるけど、女同士の結婚も認められている世界……

 男に抱かれるのは嫌だけど、女を抱くのは……ウェルカムです……


「今晩は2人っきりでお部屋♪処女を差し上げますわ♪女奴隷にしてくださいね♪」

「私も処女です!」


「1つ聞くのですが、なぜいつも女奴隷と云うのですか?」

「えっ?王国では、妻や妾でも建前として女奴隷となるのですよ、確かご説明したと思いますが?」


 聞いたような気が……

 どうやら、カペー王国では妻になる女性は、一応夫の所有物、奴隷のカテゴリーに入るのです、一応建前ですよ!でも女奴隷ですので、夫の云うことは聞くことになります。


「いやだ、ではあのままでは、あの馬鹿王子の奴隷となって、いいなりの生活が待っていたの?ぞっとするわ!」

「確かにあの馬鹿王子ですからね、評判最悪でした、でも大半の王国の女は男に従うもの、と教えられるのですよ♪」

「女同士なら、悪口もいうでしょうが、男の前では、そんなそぶりは見せないのが王国女というわけです」

 

「なんか嫌ね……でも、ここはゴトーネース帝国ですから、もう少しマシなのでは?」

「聞いたところでは、妻は夫に従う者らしいのですが、奴隷というわけでないそうですよ、妻からの離婚も神殿に申し出れば、審査の上、認められる事もあります」

「『つまみ食い』ぐらいでは、却下されると聞いています」


 少なくとも、王国を出てきたのは正解の様です。


 それより!お腹が減った!もう12時半ですよ!


 ハンスさんが、


「お昼まで引き延ばしてしまって、昼餉はどうされるのですか?」

「分団の皆様はどうされているのですか?」


「近頃は外に食べに行っていたのですが、ご存じのように就任式で、何処へ行っても混雑しており、飯もおいそれと食べられないのです」

「多分、個人に配布される『固パン』と『干し肉』でしょうね、私はそうするつもりです」


 この世界の『固パン』って凄く堅いと聞きます。

 何かに浸して食べるものらしいのですね。

 味は美味しいとは云いがたい物のようです。


「どうせ、今日は暇ですし、昼餉、すこし遅くなってもいいのなら、作りましょうか?どうせ、もうすぐ皆様の為に食堂を再開させるのですから」


 食堂とかを見せていただくと、確かに『固パン』と『干し肉』がおいてありました。

 一応、好きに取ってよい様ですが……毎日これではあきるでしょう……


 『干し肉』ってビーフジャーキーでしたね。


 とにかくシチューにしましょう。

 某調味料メーカーのサイトにあった、『薄切り肉のビーフシチュー』というレシピを流用。

 トマトソースはトマトジュースで代用、『完熟トマト100パーセント(無塩)』というものが50円でありましたので、これをバンバンとつかいます。

 デミグラスソースも、コンビニで赤ワインなどを取り寄せ、手作りしています。


 大量のビーフジャーキーをお湯で戻している間に、100円ローソンの『洋風ミックス野菜』、『玉ねぎみじん切り』、じゃがいもだけはコンビニで、『フライドポテト』で代用。

 バターでニンニクをたっぷり炒め、『洋風ミックス野菜』、『玉ねぎみじん切り』を炒めて……


 ビーフジャーキーの戻し汁に、炒めた野菜、入れ、トマトジュースをどばっといれて、お手製のデミグラスソースにトマトケチャップ投入……

 野菜が煮えてきたら、『フライドポテト』を入れ、塩・胡椒などで味付けて、軽く煮て出来上がり!


 めちゃくちゃ手抜きですが、大丈夫?

 自分で作りながら、なんという暴言を吐いているのでしょうね……


 でもね、『薄切り肉のビーフシチュー』というレシピを検索したわけで、多少アレンジしても、望めば自然とベストな物になるようです。

 さすが、神様の加護、『エンサイクルペディア』です。


 30分ほどで出来たのですよ、しかも40人前ですよ。


 『固パン』は半分はミルクに浸して、フレンチトースト風に……砂糖などは加えませんけどね。

 そして残りの半分はシチューに浸けろ、というわけです。


 盛り付けなどは、クロエさんが、ばっちりとしてくれています。

 さすがは元王宮の女官さんですよ。 


「1時になってしまいましたが、召し上がれ♪」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る