第四章 ご主人様のお仕事
強制的に町をブラブラ
翌朝、のんびりと起き、のんびりとモーニングをすませ、相変わらずの下女の服を着て、テントを収納しようとしていると、
「あれ、エマ様、誰か来ましたよ」
「多分工事の方ではないの?」
工事の業者さんではなかったですね。
大主教様の側にいた方です。
「改装の打ち合わせをしたいのですが?」
「任せますが、温泉の話しはお聞きになりました?」
「ハンス分団長から報告がありましたので、存じています」
「打ち合わせは浴場を作る為です」
なんでも普通の宿屋に改装、屋根裏部屋はそのまま私とクロエさんの部屋に。
4室ですが、1つは居間にしていただける様です。
居室は私とクロエさん、そして客間、家具はベッドとクロゼット、小さいテーブルとイスとか……
浴場は新しく作り、その周りに宿泊室を4つばかり。
そして使用人の宿舎も作るらしいのです。
新しい女奴隷さんの宿舎らしいのですが……
「女奴隷ではありますが、出自は悪くありませんよ、とくに下女は元貴族の娘です」
護衛の方も、ゴトーネース帝国に占領された、敗戦国の王族警護係りだった方のようです。
「2人とも奴隷になったばかり、カペーではどうか解りませんが、ゴトーネース帝国では奴隷に『調教』という呪術魔法をかけます、奴隷主には逆らえません」
「エマ様が奴隷主、何をしても構いませんよ、気に入られなかったら奴隷商が引き取る手はずです」
「そうなったら、この方たちはどうなるの?」
「そうですね……多分愛玩奴隷かと……2人とも美しいですからね……おかしな性癖の者が買っていくでしょう」
「2人の方々の衣服などは支給されるのですか?」
「ご希望なら、奴隷服ではなくメイド服とか、必要なものを着せますが」
「ぜひ、お願いします!」
「わかりました、善処いたしましょう」
「ところで、この施設ですが、バンベルク大主教館の付属施設としても構いませんね」
「構いませんよ、売り上げも渡しますが、食材費などの経費は払っていただければと」
「それは当然ですね、私、エマ様の事は知らされておりますので、申し上げますが、出所はわからぬようにご配慮下さい」
今日中に屋根裏部屋は改装を終えるようです。
「工事期間中にテント生活なんてさせたと云われては、大主教様の体面に関わります」
目障りだから、今日はバンベルクの町を散策せよと、小遣い付きでね……
……それが2人で20ランドなのですね、1,400円ですよ!子供のお小遣いですか!
「何時に帰ればいいのですか?」
「5時ぐらいですね」
仕方無いので、云われたとおり町をブラブラ……
「大主教様の就任式ということで、ごった返していますね」
「人がいっぱいいて、息苦しいわね」
「あれ、あそこにいるのはハンス分団長ではありませんか?」
「そうですね、何をしているのでしょう?」
「洗濯袋を抱えているけど……」
洗濯屋のロゴが入った袋ですから、すぐにわかるのです。
「ハンスさん、独身なのかしら?」
「40歳近いかと思いますが……でも、洗濯袋を持って、ウロウロしているのですから……そうかも知れません」
「分団に奴隷はいませんし……女性は近寄らないようですし……でも、普通に考えれば洗濯女はいるはずなのですが……」
「食堂の女性が『お持ち帰り』されたのですから、同じ理由じゃないの?後釜がいないのでしょう?」
「顔は怖い人たちですが、いい人が多いのにね……」
「知らぬ仲ではないし、洗濯してあげようかしら?」
「収納の力ですか?」
「これでも一応は女なのよ、魔法を使わなくても、洗濯ぐらい出来るわよ」
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