第6話

エリザベス王女の洗礼式を無事に終え、我が子とは切り離され

「グリニッジ宮殿」で、母アン・プーリンの戦いが始まる


朝目覚め、着替え、食事をし、散策し、という普通の日常で


彼女の目の前には常に前王妃キャサリンのスペイン王一派が自分の

世話をしてくれる


アンは、考えた

「どうすれば、スペイン王一派を粛正できるのか?」


しかしスペインは当時の最強国、ヘンリー8世も簡単に処刑はできない


そこで母アンは動いた


彼女は少女時代、ブルゴーニュ公国メヘレンで仕えていた時

そこの支配者マルガレーテの元で勉学をしていた時に魅せらた

ものがある


2冊の豪華絢爛に装丁された

「ベリー公のいとも華麗な時禱書」と「マリードブルゴーニュの時禱書」だ


時禱書とは絵画入りの簡易版聖書というもので

分かりやすく聖書の意味や祈祷方法などが記載されている


「そうだ、グリニッジ宮殿から英国国教会を変革し、カトリックと差をつけよう。」


母アンは、兄のロックフォード卿ジョージに依頼し、フランスから時禱書を取り寄せ

目立つところに飾る


そして毎日、母アンの侍女達全員に

スペイン一派も時禱書に従っての祈りを強要した


もし祈りを拒否すれば

「宗教裁判で、エリザベス女王の世話をしてる筈のメアリーもろともペイン一派は排斥できる筈・・」

これがアンの命がけの作戦だった

・・

ヘンリー8世が新設した英国国教会は、ローマカトリックと教義内容はほぼ同じ


どちらも神父が説法をし

信者は聖書を読む事はなく

聖書を勝手に解釈した神父の言葉を信じる宗教

いわば、「神父教」です


そこに、簡易版であるものの「時禱書」を自ら読むという新しい風を

アンは吹き込もうとした


これは完全に神父無視であり

プロテスタントのルターに近づくもののであった


なので、これは母アンだけの戦いではなくなる


その後100年間も続いてしまった

英国内の宗教戦争のきっかけとなってしまうのです

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