第4話 洞窟に生息するドラゴンを叩き殺す
とある日の朝、突然クルトに言われた。
「クエストに行くぞ」
そう言われて今、冒険者パーティーは町から遠く離れた洞窟にやってきていたのだ。
豊はパーティーの中で一番心が弾んでおりそのわけは異世界創作の定番の冒険者パーティーたちとのクエストができるからだ。憧れの冒険を通して仲間達と一緒に時間を過ごし関係を深め日々を彩ることができると思っていた。
そしてもう一つワクワクすることがあった、クルトたちが洞窟にいるドラゴンを討伐しに行くというのは豊が一番最初に描いた話である。なので自分が心を込めて描いたドラゴンが目の前に現れることにとても期待を寄せていた。
(ということは今後起きる展開も自分が描いた話通りに進むのか)
洞窟の中は迷路みたいになっておりとても複雑で全体的に暗く少し背筋が凍るぐらいの寒さで魔術師であるソフィアの魔法の火だけが頼りだった。
そしてソフィアは魔術師であるが他のメンバーの役割はこうである。リーダークルト 剣士、ルシア 銃士、キャップ ヒーラー、そして豊が槍使いである。
今回のクエストの内容は突然洞窟に凶暴なドラゴンが最近湧いたので探検の邪魔になりあまり安全ではなくなったのでそのドラゴンを討伐するという内容だ。
そのドラゴンは気が荒くむやみに近づくことはできないのでクルトはそれに合わせた作戦を考えてきたという。
このクエスト討伐は報酬が高いがその分危険と隣り合わせなのでパーティーメンバー達は十分に気を引き締めいて確実に獲物を倒すという気持ちでいっぱいだった。
それで異様な空気が流れる洞窟を歩いていると目の前に巨大なムカデみたいな生物が2匹現れた、そうすると豊が「ここは俺に任してくれ」と自信ありげに言いこの生物に立ち向かっていった。
(ここは完全に倒しパーティーメンバーに俺は役に立つんだということを示さなければ)
豊はクルト達にわざわざこの冒険者パーティーに入れてもらった見返りとして役に立たなければという思いがあった。
そしたら一匹が物凄い勢いで豊に襲い掛かってきたが華麗に避け槍で胴体を綺麗に二つに分け倒した。
「よし」
だが後ろに気配を感じ振り返るともう一匹がもうすでに豊に襲い掛かってきたがそれをクルトが綺麗な剣さばきで切り倒した。
「槍を使うと動きが遅くなるから気を付けろ」
クルトがそう言うが危険な状態に陥った豊は固まってしまい動かなかったが十秒ほどしてからやっと動き出し窶れた声で「今度から気を付ける」と言って答えた。
その後も洞窟を歩いている時、豊はこう思った。
(もしかしたらこの世界にいると下手すると死ぬんじゃ…)
この世界は現実世界とは違う体験ができ楽しいこともあるかもしれないが危険は元にいた世界以上にあるので死ぬことも十分あるのだ。
先ほどまでは異世界らしいことができると胸が高まっていた豊だが死というものを身近に感じ今は魂を抜かれてげっそりとした感じをしていた。
冒険者メンバーはここまで長時間歩いてきて少しずつ疲労が溜まってきた所でソフィアは一体何処にドラゴンがいるのかと言ったらクルトこう答えた。
「そのドラゴンが何処にいるのかはわからないがこの近くに大きい湖があるからそこに行けば見つけることができるだろう」
続けてドラゴンも生き物だから水分を補給しなければ死ぬ、それとドラゴンが水を飲めそうな大きい湖はあそこぐらいしかないと話した。クルトはそこにずっと見張っていればいずれはドラゴンが現れると考えていたのだ。
それから少し歩いた所にクルトが言ったとおりそこには水が涼やかなブルーの色をした大きい湖があり冒険者メンバーはそれを見た瞬間強い感銘受け疲れ無くなったように感じた。
そしてクルト達は時間的に日が落ちる頃なので今夜の夕食の準備をしたのだ。
数時間後、クルト達の目の前には美味しそうな食卓が並んだが豊はあまり浮かない表情をしていた。
(この世界に来て数日経つけどそろそろ元の世界のご飯が恋しくなる)
(ラーメン食べたい…)
就寝して次の日、ドラゴンを討伐するため物陰に隠れここで獲物が現れるのを待っているクルト率いる冒険者メンバーの姿があった。
クルトはドラゴンが現れた時どのようにして倒すかの作戦を話し始めた。作戦の内容はこのドラゴンは凶暴なため近づいて近距離攻撃するのはリスクがあるので銃士のルシアと魔術師のソフィアで遠距離攻撃をし弱らせてから槍使いの豊と剣士のクルトで近距離攻撃をし止めを刺すという内容だ。
パーティーメンバーが役割を分担し一人ひとりの負担をあまりかけずにドラゴンを討伐する戦法なのだ。
そして待ち構えて数時間後まだドラゴンの姿は無かった。けれでもこの場所は他の場所に比べて明るく冷たい風が吹き抜けるがそこまで寒くなかったのでここでじっと辛抱しているのが苦に感じなかった。
それからもずっといつ来ても戦えるようにするため集中力を切らさず待っていたが今日の所は来なかったので冒険者メンバーは明日こそはここに現れることを大いに期待した。
だがしかしこの場所に待ち構えて数日経ったがドラゴンがこちら側に姿を見せてくれることをなかったのでパーティーメンバー達の中では今日も現れることはないのではという雰囲気が流れていた。
このような雰囲気が流れる中でキャップがこう言った
「本当にここにドラゴンが来るのか、全く来そうな雰囲気がないんだが」
続けてルシアやソフィアも不安に思い本当にここで大丈夫なのかと言い放った。
そういうとクルトが数日だけではまだ判断できないからもう少しここで見張ろうと話したら少し不安がらも冒険者メンバー達はそのことを受け入れた、クルトの判断力は今までそんなに間違って選択することは無かったのでそれを見てきた冒険者メンバーはその方が正しいのだろうと思いすんなりとそのことを受け入れたのであった。
そんな中豊はこう思っていた。
(まあこの場所にドラゴンが現れるのは確定なんだけどね)
もちろん豊はこの世界を作った作者なのでここにドラゴンが現れることも分かりきっているのでキャップ達とは違って不安はなかったが一つのことで頭がいっぱいだった。
(早く自分が描いたドラゴンが目の前で動いているのを観たい)
そうしているうちにクルト達の所に異様な唸り声と大きな足音が聞こえてきたのだ。その唸り声と大きな足音がだんだんこちらに近づいてきこれを聞いた時クルトが何かを思い出した。
(この唸り声と大きな足音は…)
そして圧倒的な存在感を示しながらついにドラゴンがのしのしと現れたのだ。
ドラゴンが現れた時パーティーメンバーはやっと来てくれたと喜んでいたが中でも豊は人一倍喜びを感じていた。
(俺の描いたドラゴンが目の前いて動いている、これはすごい…)
自分自身で描いたものが目の前で動いているのは現実世界ではありえないことなので豊はとても感激し貴重な体験をしたと思ったのだ。
(描いたものを動かすのはアニメというものあるけど描いたものを目の前で観るのはこうでもしないとできないだろうな)
そしてドラゴンの動きを観ていると周りをキョロキョロしあまり落ち着かない様子だったが湖の水を飲み始めた。
それを観たクルトがメンバーにこう言った。
「無防備に水を飲んでいるドラゴンの隙をついて奇襲攻撃をするぞ」
それでクルトの合図とともにドラゴンへの攻撃が始まった
「よし行くぞ」
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