LIVING BY NECK HUNTING sidestory 慈善の女神と死の天使

SEN

LIVING BY NECK HUNTING sidestory 慈善の女神と死の天使

LIVING BY NECK HUNTING sidestory 慈の女神と死の天使

台本:SEN  声劇4人台本(男1・女3) 所要時間:60分




説明欄や詳細文などに『作品タイトル・台本URL・作者名』の明記をお願い致します。

※各作品の著作権は放棄しておりません。無断転載や自作発言等、著作権を侵害する行為はお止め下さい。もちろん無断での改編や再配布も禁止です。

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※アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない、雰囲気を壊さない程度であればOKです。


配役表

ネイア:

ミアナ:

ヒナミ:

セキヤ:


登場人物紹介↓


ネイア(女・9歳/17歳)

小さな頃から教会で育ちヒナミとセキヤに剣技を教わっていた。セキヤの教会でミアナと共に育つ。ヒナミの裏の仕事である暗殺者を手伝うべくみるみる強くなっていく。


ミアナ(女・8歳/16歳)

ネイアの妹。ネイアと共に剣技を教わるが成長は乏しい。その反面とても優しく慈悲深い。暗殺はネイアが行いミアナは暗殺の後始末を手伝っている。


ヒナミ(女・24歳/32歳)

元クルシアルというヘッドハンターズで連覇を成し遂げているチームの一人【神雷】の名を持つ傭兵。姉を探し旅を続けていた時にセキヤに会いネイアとミアナを親のように愛す。


セキヤ(男・22歳/30歳)

ハイン街にある教会で神父をしている。ある男から預かったネイアとミアナと一緒に生活している。身体が弱くいつも木陰で難しい本を読んでいる。穏やかで優しく誰に対しても分け隔ての無い慈愛で街人から支持を得ている。









本編↓



セキヤN

「悲しんでどうなるのか」

「立ち止まったらそこで止まり」

「後ろを見たら後悔しかない」

「だから前だけ向いて」

「幸せになったら振り向いて」

「悲しみなさい」


Livingbyneckhunting サイドストーリー 慈善の女神と死の天使




ヒナミN

ゼス歴ニアオス十二刻蒼月…エフナ大陸はヘッドハンターズで盛り上がっていた。…興味が無いわけでは無い。ただもぅあの大会には出れない。私は大切な人を失った。姉さんは今…どこで何をしているのだろう……タハバナ国を滅ぼし消息を絶った私の姉…アキミ……もぅ半ば諦めている。どれだけ旅をしただろうか…何ヵ国渡り歩いただろう。噂を聞き足取りは掴めるものの既にそこにはいない……もぅいい…休め…ジキアのこの剣が…囁いている気がした。


ヒナミ

「はぁ……今夜はこの街で休むか」


ヒナミN

私は宿を探した。だが今はヘッドハンターズ会場から近い事と夕刻であるが故ハインの街は人であふれかえっており宿は全て満室だった。


ヒナミ

「チッ……何がヘッドハンターズだ」


セキヤ

「お困りの様子ですね、お嬢さん」


ヒナミN

神父のような恰好をしている一人の男が声をかけてきた


ヒナミ

「今しがたこの街に着いたんだ…宿が無くてね。お手上げだよ」


セキヤ

「私の教会に来ますか?もうじき嵐が来る、屋根があり雨風を凌げる所が必要だと思いますよ」


ヒナミ

「それは助かる、が、教えはいらんぞ?女神なんていないんでな」


セキヤ

「あははっ…無理強いするつもりはありませんよ…私は女神を崇めるために教会を建てた訳ではありませんから」


ヒナミ

「は?じゃぁあんた、なんで神父なんてやってんだ?」


セキヤ

「子供達の為ですよ…今のこの時代、戦災孤児だらけです…この大陸ではヘッドハンターズのおかげで戦争は減ってはいますがリヴィア大陸からの難民はまだまだ増え続けています。国からの支援と街民の寄付で何とか食わせていけてるのは全て教会のおかげですよ」


ヒナミ

「子供…か。なるほど」


ヒナミN

自分の憎しみだけで旅をしてきた私は心が痛くなった…こんな偉いヤツもいるんだなと…この時代、自分の事で精一杯だろ…普通。

しばらく歩くと街の終わりかけの所に丘が見えてきた、その丘の上に小さな古ぼけた教会はあった


ミアナ

「しーんーぷーさーまー!!おーかーえーりー!!!」


セキヤ

「あ、あははっ」


ヒナミN

遠くから小さな女の子が手を振って叫んでいた…あの子も戦災孤児なのだろうか。神父は困った顔をして手を振っていた。

教会に着くともう一人、女の子が顔を出した。


ネイア

「神父様、おかえり。…···だれ?」


セキヤ

「ただいまネイア…この方は……えーっと」


ヒナミ

「旅人…ヒナミよ。宿が無いので泊めてもらうことになった。よろしくねお嬢ちゃん達」


ミアナ

「お姉ちゃん泊まってくの!?やったー!!ねーねー旅のお話聞かせてー!!」


セキヤ

「こらこらミアナ…お姉さんは疲れてるんだぞ?大人しくしていなさい」


ミアナ

「えー!!いーじゃんー!!ねーねー!!」


ヒナミ

「ふふっ、いいよ?泊めてもらうんだ、たっぷり話してやろうじゃないか!」


ミアナ

「やったーーー!!」


ネイア

「…」


セキヤ

「お疲れなのにすいません」


ヒナミ

「いいんだよ、タダで泊めてもらうわけにはいかないからね。バイトだよバイト。あ、薪でも割ろうか?力には自信がある」


セキヤ

「あっはは…大丈夫ですよ。ありがとうございます。それではヒナミさん、この子達を少し頼みます…私はまだ少し街に用事がありますので」


ネイア

「神父様」


セキヤ

「大丈夫だよネイア…雨が止む頃には戻る。良い子にしてなさい」


ネイア

「はい、必ず帰ってきてください」


ヒナミN

夕刻だというのに神父様はまた街に戻っていった…ネイアという子は心配そうにずっと神父様の背中を見つめていた。私はその子達と三人で料理を作り神父様の帰りを待っていた


ミアナ

「四人分作ったの初めて!!んー!美味しそうだねぇ!!」


ヒナミN

ミアナの印象は明るく元気、優しい心を持ったサンディオムのようだと思った


ヒナミ

「そうね…しかし、偉いわね。あなた達」


ミアナ

「ん?偉い?なんで?」


ヒナミ

「いつからここにいるの?」


ミアナ

「んー…わかんない!多分赤ちゃんの時からだよ!」


ヒナミ

「そぅ…あなたは?」


ネイア

「答えたくない」


ヒナミ

「……そぅ…悪かったわ」


ヒナミN

このネイアという子の印象は闇夜の空に光るリフィーティアのようだった…まだ8歳かそこらだろう…何を見て来たというのだろうか。やはり戦争は世の中をおかしくしている。本当にヘッドハンターズはこの大陸を救っていると言えるのだろうか


◆SE雨が降り出す


ミアナ

「あ、雨降ってきちゃった!神父様の言った通りだ!」


ヒナミ

「あーあ…きっと神父様びしょ濡れだね」


ミアナ

「ねー」


ネイア

「…」


ヒナミN

どれだけ待とうと神父様は帰ってこなかった…仕方なく冷めた料理を三人で食べた。夜も更け寝室で話しているとミアナは寝てしまった。ネイアという子は…ずっと外を眺めていた。


ヒナミ

「帰ってこないわね」


ネイア

「…ねぇお姉さん」


ヒナミ

「ん?なぁにネイアちゃん」


ネイア

「あなた…強い?」


ヒナミ

「え……まぁ、そこそこだとは思うけど、どうしたの?」


ネイア

「………神父様を救ってあげてほしいの」


ヒナミ

「え…それはどういう意味なの?」


ネイア

「神父様ね、私達の為に街でお仕事してるの…とてもいけない仕事」


ヒナミ

「いけない…仕事?」


ネイア

「人を殺してる」


ヒナミ

「え…人を?」


ヒナミN

一瞬耳を疑ったがハッキリと聞こえた···少女の口から聞いてはいけないような言葉が聞こえた


ネイア

「神父様は暗殺って言ってた」


ヒナミN

暗殺?あの方が?身体付きもそんなに丈夫そうには見えなかった。どちらかと言えば病弱で華奢な方だと思えたからだ…しかし、何故暗殺を…教会の神父ともあろう者が


ネイア

「ヒナミさん?」


ヒナミ

「あ、あぁ…悪い。そうだね······ネイアちゃんは私にどうして欲しい?」


ネイア

「神父様の依頼主を……その」


ヒナミ

「殺してほしいの?」


ネイア

「っ!?」


ヒナミ

「神父様には普通の生活に戻ってほしい…よね?」


ネイア

「……うん」


ヒナミ

「なるほど……調べてみる価値はありそうね」


ネイア

「神父様には言わないで!お願い…」


ヒナミ

「わかった…今日はもぅおやすみ?私が守ってあげるから」


ネイア

「うん」


ヒナミN

小さな剣を抱きしめネイアは寝床に入った。この子達は何を見てきたのだろうか···やはり世界が腐ってきている。こんな子供達が人を殺せと懇願する······剣を抱いて寝ている……何て世界だ


数刻過ぎた頃、雨の中足音が近づく···窓から少し覗くと男が1人。セキヤだった


◆SEドア開閉


セキヤ

「いやぁまいった···もの凄い雨だ」


ヒナミ

「お帰りなさい。返り血が洗い流せるからいいじゃない」


セキヤ

「······はぁ···ネイアから聞いたのかい?」


ヒナミ

「えぇ···辞めさせたいんだとよ」


セキヤ

「······そうですか」


ヒナミ

「教会だけでは食っていけないから暗殺か?それとも趣味かい?」


セキヤ

「まさか······こんな事やりたくはない」


ヒナミ

「体型からして…力で解決って訳ではなさそうね。毒殺?不意打ちってところかしら?」


セキヤ

「ご明察。僕はこの通り痩せこけて剣なんて重くて振れない···依頼が来るのは全て毒殺や不意打ちによる殺しだ」


ヒナミ

「依頼主は?どうやって依頼を受けている」


セキヤ

「聞いてどうするんです?」


ヒナミ

「討つ」


セキヤ

「無理だよ···かなう相手ではない」


ヒナミ

「ミアナは知らないだろうからわからないけど···ネイアは貴方にまともでいて欲しいと願っている。それを叶えてやる。通りすがりのただの旅人がな」


セキヤ

「······元ヘッドハンターズ」


ヒナミ

「っ!?」


セキヤ

「自称、この国の代表選手という男だ」


ヒナミ

「……へぇ?腕がたつのにこういうせこい真似させるのね?この国の代表は」


セキヤ

「不穏な種は消しておきたいんでしょう……しかし貴女、ヘッドハンターズに反応しましたね······もしかして貴女は」


ヒナミ

「そう、元代表選手の1人よ。クルシアル、聞いたことあるかしら?」


セキヤ

「っ!!?······無敵のタハバナ国の代表チーム、クルシアルの1人だというのか?」


ヒナミ

「えぇ······もう解散したけどね」


セキヤ

「······伝説に会えて光栄だよ」


ヒナミ

「そりゃどうも」


セキヤ

「しかし討てた所でどうしようもない」


ヒナミ

「何故?幸せに暮らせばいいじゃない?この教会で」


セキヤ

「稼ぎがなくなると私達は飢え死にだよ」


ヒナミ

「寄付は?あんた昨日言ってたじゃないか」


セキヤ

「詭弁です。今はこんな世の中ですからね…皆、人に寄付できるほど余裕はないのですよ。まずは我が身、保身です。当たり前ですよ…こんな世の中ですから」


ヒナミ

「やろうと思えばなんだってできる……だから暗殺かい?」


セキヤ

「…」


ヒナミ

「わかった……私も手伝ってやる。その暗殺業」


セキヤ

「いや…見ず知らずの旅人に頼むわけにはいかない」


ヒナミ

「見ず知らず?もう知ってるだろう?それに……私がこの子達を気に入ったんだ。それ以外に何か理由がいるかい?」


セキヤ

「いえ……わかりました…明日また仕事があります。同行……願えますか?」


ヒナミ

「任せろ…一先ず着替えて髪を乾かせ、病になるぞ?」


セキヤ

「はい、ありがとうございます」


◆SEドア開閉


ヒナミ

「どこに行っても……腐っているな、この世界は」




ヒナミN

翌日は晴れた




ネイア

「今日も行くの?」


セキヤ

「あぁ、皆待ってるからね」


ネイア

「……」


ミアナ

「早く帰ってきてね?私いい子してるから!」


ヒナミ

「偉いなぁミアナは!大丈夫、今日は私も手伝うから、早く帰ってくるよ!」


ネイア

「!?」


ミアナ

「本当!?やっったー!!」


ネイア

「あのっ!お姉ちゃ」


ヒナミ

「大丈夫、安心しな」


ネイア

「……うん」


セキヤ

「では、いってきますよ。今日も一日、女神ニヘリア様のご加護がありますように」


ヒナミ

「二人は教会の片付けだな!頼んだよ」


ミアナ

「わかったー!ばいばーい!!」


ネイア

「うん、いってらっしゃい」



ヒナミN

ネイアは勘の良い子だった。二人の隠しきれない殺気を敏感に感じていた…あの歳で何て子だ…


その日の任務はある貴族の傭兵を毒殺することだった…そいつもヘッドハンターズ代表選手候補だった。二人でやるのだから他愛もなかった。注意をひき厨房に忍び込み昼食に毒を盛る…それだけ


セキヤ

「離れた頃に騒ぎになり逃げおおせる…こういうことを一人でやってきたんだ」


ヒナミ

「危ない目にもあっただろう……もしお前が死んだら…あの子達はどうなる?考えたことはなかったのか?」


セキヤ

「飢えて死ぬよりいいんです…ネイアも薄々感づいていますし…あの子達は強い」


ヒナミ

「ネイア、あの子はかなりの素質がある……磨けば光る原石なんてもんじゃない。鉱脈だよ。あの子達は私が鍛えてやる…私の姉さん仕込みの剣技を」


セキヤ

「それは心強い…たしかタハバナ国の剣流は…居合…でしたよね」


ヒナミ

「良く知っているな、何年かかるかわからないが任せておけ」


セキヤ

「貴女の旅はどうなります?お姉さんを探しているのでしょう?」


ヒナミ

「あぁ………セキヤ、私…言った事あるか?お前に」


セキヤ

「ありますよ、お話してくださいました」


ヒナミ

「そうか……ならいいんだ。この剣もそう言っていてな……な?ジキア」


◆SE剣構える


セキヤ

「そうですか……今日はもぅ終いです。食材を買って帰りましょう」


ヒナミ

「あぁ」



ヒナミN

夕刻までに帰ると二人は嬉しそうに駆け寄ってきた。ネイアも私がついていることで安心していたようだった。ミアナは…相変わらず平和だ。夕食を食べると2人は外に遊びに出て行ってしまった



ミアナ

「ねぇねぇお姉ちゃん!」


ネイア

「なに?」


ミアナ

「あの木の下にプチペノの巣があるんだよ!」


ネイア

「へぇ」


ミアナ

「見に行こうよ!」


ネイア

「もぅ暗くなるからだめよ、また明日」


ミアナ

「ちぇー!じゃぁお片付け手伝うー!」


ネイア

「うん、手伝おう」


セキヤ

「ネイア、ミアナ」


ミアナ

「?」


ネイア

「はい」


セキヤ

「二人に少しお話がある…嬉しいお話だ」


ミアナ

「やったー!!」


ネイア

「まだ何も聞いてないわ、ミアナ」


セキヤ

「ヒナミお姉ちゃんもここに住んでくれることになった!」


ミアナ

「えーーーーーーー!?本当っ!?ほんとにほんと!?」


ネイア

「え」


ミアナ

「やったー!!嬉しいぃぃぃお姉ちゃぁぁん!!」


ネイア

「本当ですか…神父様」


セキヤ

「あぁ、嬉しいかい?ネイア」


ネイア

「はい···とても」



ヒナミN

2人ともとても喜んでいた。それから幸せな日々が続いた···2人の成長に私も嬉しくなった。セキヤも同じだろう。暗殺業も二人で行っていたので危なげなく順調だった。今がずっと続けば良いのにと思う。


······けど



私は···幸せ···なのだろうか······




···8年後



ネイア

「踏み込みが甘いわ、ミアナ」


ミアナ

「ふぇぇぇ」


ネイア

「こうよ」


◆SE抜刀→斬撃


ネイア

「ね?」


ミアナ

「ぉぉおおお」


セキヤ

「やってますね、二人とも」


ミアナ

「神父様!お帰りなさい」


ネイア

「シスターは?」


セキヤ

「後片付けしてますよ、最近は依頼も激しくなってきていてね」


ネイア

「手が足りないなら私も行こうか?」


ミアナ

「私も!死体の片付けぐらいならできるよー?」


セキヤ

「また頼むかもしれないね」


ヒナミ

「ただいま」


ミアナ

「シースター!おかえり!」


セキヤ

「早かったな」


ネイア

「お帰りなさい···珍しいわね。返り血をそんなに浴びて」


ヒナミ

「一瞬不意をつかれてね、ついつい本気でやってしまったよ」


ミアナ

「今日は何人?」


セキヤ

「16人?だっけか?」


ネイア

「かなりの数ね」


ミアナ

「でも2人なら大丈夫だねー!」


セキヤ

「シスター1人でやってしまっていたよ」


ミアナ

「神父様役立たずだ!あっははっ!」


ヒナミ

「そうね···ふふふっ」


ネイア

「早く血を流してきて、シスター。ご飯はミアナが今から作るから」


ミアナ

「えええっ?!······わかったー」




ヒナミN

あれから8年。私達は暗殺一家になっていた。ミアナとネイアはみるみる強くなり暗殺を全員で行った時もあった。しかし最近暗殺というには激しく一日に数十人という依頼が来ている。私1人の力では及ばず二人の…というよりネイアの力を借りる事が多くなった。ミアナは後片付けとして動いてくれていた。


その日は夕刻に仕事をして夜には教会で食事をしていた。いつも通り楽しく過ごした…



そんないつも通り過ぎる日だと思っていたのに



セキヤ

「······いつもと違う」



ヒナミN

セキヤがそういうと教会に緊張が走った…私とヒナミはすぐに物陰に隠れ入り口を睨みつけた


ミアナ

「何?何が違うの?」


ネイア

「また夜襲よ。ミアナ、こっちに来なさい」


ヒナミN

ネイアはミアナを更に奥に隠れさせた。冷静かつ適切な選択だった


セキヤ

「5人……いや、7人か」


ヒナミ

「囲まれてるわね……性懲りも無くよく来るわね」


セキヤ

「あぁ……やれそうかい?」


ヒナミ

「愚問だわ…ネイア」


ネイア

「こっちは大丈夫よ」


ヒナミ

「私は更に裏を取る、ここを任せていいかしら?」


ネイア

「えぇ…それこそ愚問よ?シスター」


◆SE抜刀


ヒナミ

「頼もしいわ、ほんと。頼んだわ」


◆SE走り去る


ネイア

「さぁ……狼さん達。いらっしゃいな?」


◆SE扉が空きガラスが割れる


ヒナミN

扉が空きガラスが割れた。扉からの侵入者は無く、窓から一人、颯爽と侵入者が入ってきた…それにすかざず反応するネイアは


ネイア

「ふっ」


ヒナミN

一瞬にして侵入者の首を飛ばしていた


◆SE斬撃→血しぶき


ネイア

「一人」


ミアナ

「すごぉぉぃ」


◆SE弓矢が引かれる


ネイア

「ミアナ、伏せて」


ヒナミN

冷静に話すネイア。外からこちらに向け弓が放たれようとしていた


ネイア

「ミアナ、貴女の剣を貸して」


ミアナ

「うん!」


ネイア

「ありがと……そこね?」


◆SE剣を投げる→刺さる


ヒナミN

ミアナの剣を受け取ると暗闇の外に勢いよく投げた。それが命中し侵入者の叫び声だけが響く


ネイア

「……二人め」


ミアナ

「何で見えるのぉぉ?凄い……あれ?神父様は?」


ネイア

「……ん?シスターと一緒じゃないかしら?」




●間3拍




ヒナミ

「なるほど…教会を八方向から囲い全員殺すつもりだったのね……しかもあれは名うての傭兵ばかり……早く数を減らさないと厄介ね。ネイア達が心配だわ」


セキヤ

「ヒナミ」


ヒナミ

「っ!?……セキヤか……よく抜け出せたわね」


セキヤ

「あぁ…何とか。様子は?」


ヒナミ

「あと6人って所かしら…ネイアがもぅ既に2人殺しているわ」


セキヤ

「恐ろしい子だね…本当に」


ヒナミ

「えぇ…でも楽しみだわ。あの子は底が知れない…もっともっと強くなるわ」


セキヤ

「僕は…あの子達に普通の生活をさせてやりたかった……全ては僕のせいかもしれない…許してくれ。ヒナミ」


ヒナミ

「え?」



◆SE刺さる



ヒナミ

「ぐっ!!!?」


セキヤ

「君を殺さないといけない」


ヒナミ

「ゔぅっ…なぜっ?」


セキヤ

「このナイフには毒が塗ってある……じきに手足は動かなくなるだろう」


ヒナミ

「セキヤ……なぜっ!?」


◆SE剣が落ちる


セキヤ

「凄い効き目だね…これは」


ヒナミ

「セキヤ!!!」


セキヤ

「今度の標的は……君なんだ。ヒナミ」


ヒナミ

「っ!?」


セキヤ

「タハバナ国ヘッドハンターズ元代表、チームクルシアル神雷のヒナミ」


ヒナミ

「……なぜ受けたの…そんな依頼」


セキヤ

「受けざる負えないよ……二人が人質に取られている」


ヒナミ

「っ!?どういうことなの」


セキヤ

「今あの教会には爆薬がしかけられている。傭兵はただの囮さ」


ヒナミ

「……あの子達を売ったということなの」


セキヤ

「違う。人質に取られていると言ったろ…俺がしくじったら……あの子達も教会も無くなる。跡形も無く」


ヒナミ

「……なんて卑劣な」


セキヤ

「すまない……本当にすまない………俺は…どうしたらいいか」


ヒナミ

「……」


セキヤ

「本当は迷っていたんだ……四人でどこか遠くに逃げようかと…しかし私は弱い……君達に護ってもらってばかりだ」


ヒナミ

「…セキヤ」


セキヤ

「あの子たちはとある方達から護ってやってほしいと預けられた…とても勇敢で強そうな方達だった……だが…この子達をほおって何をしているかと思えばあれだ」


ヒナミ

「…あれ?」


セキヤ

「ヘッドハンターズだよ……この大陸はもぅそれしかない…表だっての覇権争いができるあの大会目当てで子を預ける……腐ってるとは思わないか?この世は」


ヒナミ

「私がそいつらをぶん殴ってやる……だから」


セキヤ

「もぅ遅い……あの子達ももぅ魔力に魅かれているよ。ヘッドハンターズに」


ヒナミ

「……」


セキヤ

「すまない…本当にすまないヒナミ……君を巻き込んでしまった……僕は君を愛していた…すまない。君を殺さないと二人は殺され…僕も殺されてしまう」


ヒナミ

「……だからって……愛していたなら………殺さないでよ……なんで…なんでよ!」


セキヤ

「すまない、ヒナミ。僕の為に死んでくれ」


◆SE抜刀


ヒナミ

「……セキ…ヤ……セキヤァァァ!!!」


セキヤ

「さよならだ」




◆SE斬撃





ネイア

「シスターに何してんの、あんた」


◆SE血しぶき→落ちる


ヒナミ

「っ!?ネイア……あなた…セキヤを…」


ネイア

「シスターを殺そうとしていた。だから殺した」


ヒナミ

「……うっ…うゔぅっ……」


ミアナ

「シスター!!大丈夫?……なんで神父様がシスターを……」


ネイア

「神父様は悪魔に心を売ったのよ。選択肢はいっぱいあったのに…愚かだわ」


ヒナミ

「……助かったわネイア……ありがとう」


ネイア

「いいのよ……私はシスター、大好きだもの」


ヒナミ

「……他の連中は?爆薬は?」


ネイア

「全員殺したわ。爆薬も全て河に投げ入れてきた」


ミアナ

「私も手伝ったんだよー!えっへん!」


ヒナミ

「どこまで凄いの……あなた達は」


ミアナ

「死体!片づけないと!」


ネイア

「そうね、また墓地に埋めよう…今夜は徹夜ね」


ヒナミ

「二人とも……私はセキヤを埋めるわ……ありがとう」


ミアナ

「いいの、慣れてるから!」


ネイア

「ここにはもぅ居れないわね。3人でどこか別の教会を探そう」


ミアナ

「シスターを主にして新しい教会を建てたらどうかな!」


ネイア

「ミアナ……いいわね、それ」


ヒナミ

「⋯⋯二人とも」


ミアナ

「神父様から預かってるお金もあるし!」


ネイア

「そうね」


ヒナミ

「⋯⋯え?」


ミアナ

「言っていいのかな、お姉ちゃん」


ネイア

「言って⋯⋯ヒナミも知っておいた方がいい」


ミアナ

「だよね!⋯⋯神父様からね、今まで貯めてきたお金を預かったの!ほんの数日前よ?」


ヒナミ

「え⋯⋯なぜ?」


ネイア

「⋯⋯私たち2人にね、こう言ったの」




セキヤ(回想)

「このお金はお前達に預ける。僕はもうすぐ最大の罪を犯すからその時は僕を殺してくれ。いや、殺したくなるはずだ。その時は迷わず、僕の首を落とせ……これは⋯⋯ヒナミには内緒だよ?」




ネイア

「最近になって4人とも命を狙われていたからね。私達3人をここから遠ざける為なのか⋯それとも暗殺に引き込んでしまった自分への償いなのか⋯真相はわからないわ。」


ヒナミ

「うっ⋯⋯ぐぅっ⋯⋯ぅぅぅ」


ミアナ

「さっきからシスター泣き虫!ほらほらシスター!泣かないのー!」


ヒナミ

「⋯⋯あなた達は⋯⋯悲しくないの?⋯親同然⋯⋯セキヤは⋯父親みたいなものなのよ?」


ネイア

「悲しいわ⋯悲しいけどね」



ミアナ

「ここで悲しんでどうなるのか」

ネイア

「立ち止まったらそこで止まる」

ミアナ

「後ろを見たら後悔しかないの」

ネイア

「だから前だけ向いて」

ミアナ

「幸せになったら振り向いて」

ネイア

「悲しみなさい」


ヒナミ

「っ!?」


ネイア

「神父様の教えよ⋯⋯シスター」


ミアナ

「毎日聴いてたでしょ?」


ヒナミ

「うっ⋯⋯うぁぁぁぁっ!あぁぁぁぁ!!」


ミアナ

「大丈夫だよシスター⋯私達もう子供じゃないから」


ネイア

「生きていけるよ⋯⋯大丈夫」


ヒナミ

「⋯⋯セキヤ」




ネイアN

3人でセキヤの墓を教会の近くに立てた。これでよかったんだ⋯そう思うしかなかった


ミアナ

「いよおぉぉし!どこに立てるー?ヒナミ教会!」


ネイア

「少し遠い街にしましょう⋯足取りがつかないように」


ミアナ

「そうとわかったらしゅっぱーつ!ほら!早く!シスター!」


ヒナミ

「⋯⋯うん!二人とも⋯ありがとう!あなた達2人を置き去りにした奴らを引っぱたいてやらないと!」


ネイア

「ふふっ⋯⋯そうね」


ミアナ

「そうだそうだー!あはははは!!」


ネイアN

私達3人は夜明けと共に歩き始めた⋯⋯最後にセキヤが言っていた言葉は、シスターには言わないでおこうと思う





●間5拍




セキヤ

「ヒナミに⋯⋯伝えてくれ




愛してる」







ネイア

「⋯⋯⋯自分で言え⋯⋯馬鹿」













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